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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
2章 世界最強の剣士編
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46話 最高の装備完成

 ダンジョンから戻った翌日、皆には11時に拠点に集まってもらうこととした。だが、リサには1通の手紙を託して、朝も早くから学校へ行ってもらった。俺は学校の責任者はメリル先生しか知らないので、メリル先生宛ての手紙を託した。内容はリサを1カ月ダンジョンに連れて行って問題がないかの確認。もちろん卒業式には出席させるが。




 リサを学校へ送り出し、しばらくすると、リサは返事の手紙を持って帰ってきた。返事にはダンジョンへ同行させることに問題はないが、怪我をさせるような危険なことはさせるなだった。敵は最も危険な敵だが、リサは後方からの支援なので、直接の危険はない。いざとなればアスカを連れて逃げてもらうが、前回3人でも逃げることに問題はなかった。今回も心配はしていない。


 俺はリサとセイラさんに食堂に来てもらって話しをした。



「セイラさん、明後日からダンジョンに行く予定です。1カ月間を考えています。食料の準備をお願いします」


「はい、今日中に準備するので、不足がないか確認してください」


「分かりました。それとリサ、魔法学校からは1カ月間、リサをダンジョンに連れていくことは問題ないとの回答だった。ただし危険なことにはかかわらせるなと条件が付いていた。俺としては後方支援が主なので問題ないと思っているが、リサ自身はどう思う?」


「私も問題ないと思います。私は万が一の時はアスカちゃんを連れて逃げるのも役目ですし」


「うん、その認識でいてくれれば、こちらも安心だ」




 リサとの話しが落ち着く頃、ガンズとマルスも合流した。



「明後日からダンジョンに行く。目的は30階層のボス討伐と地図の作成。31階層には降りるだけで、探索は今回は考えていない。どうだ?」


「ああ、異議なし」


「はい、それで行きましょう!」



 皆の了解を得て、ダンジョン探索の準備を始めることになる。まずは装備を取りにガデンさんの店に行くのと、前回の戦利品の換金にマイルさんの店に行く。




 セイラさんに後の準備をお願いして、まずはマイルさんの店に行く。換金は少ないと思っていたが、それでも6ゴルにもなった。どれだけ冒険者は稼げるのか!そして金の受け取りになったときに、ガンズは6等分に分けると言い出した。アスカも人数に入っていることになる。



「おいおい、アスカの分は受け取れないぞ。皆に迷惑をかけているのに、金までもらうことはできない」


「いや、これはクランのルールだ。参加者数とクラン1人分の人数で割る。皆も問題ないよな?」



 マルスもリサも頷いていた。俺はアスカと一緒に礼を言った。その後は必要な物を購入して、クランの資金から支払う。酒は……まあ大目に見るか!前回の反省を踏まえ、カルパス対策のジャムやソースをいろいろ買った。そして俺はふと気付いた。



「リサ、種火と水があれば魔法でお湯は沸かせるのか?」


「はい、種火って言い方がアグリさんらしいですね(笑)」



 俺はマイルさんに質問してみた。



「マイルさん、細くてもいいので長時間火を携帯できる道具はありますか?小型でないとダメですけど」


「うーん、皆さん固形燃料に火打石が定番ですから」



 マイルさんは店の若者へ倉庫をさがしてくるよう頼んでくれた。



「マルスさん、リュックはお借りしてもいいですか?」


「リサには大きくない?気にならないならプレゼントするよ」


「ええっ、いいんですか、もらってしまって」


「うん、もう使っていないから構わないですよ」



 準備は順調なようだ。そして若い店員が戻ってくる。手には2つの物を持っていた。



「グリムさん、1つは小型のランタン、もう一つは魔道具のようですが、私も詳しく分かりません」


「リサ、一緒に見てもらえるか」


「はい」



 魔道具はちょうど太めの金属ペンくらいの大きさだ。リサが魔道具を手に取ってみる。えっという顔をした。



「何かあったか?」


「はい、魔力を吸い取られました。これで使えるということかな?」


「思念を送ってみてくれるか」


「はい」



 するとろうそくのようにポッと火が付いた。これは使えそうだ。ちなみに俺も思念を送ってみたが、動作しなかった。リサ用だな。



「リサ、これがあればポットの中の水を沸騰させられるか?」


「はい、問題ないですよ」


「分かった、今回は固形燃料は予備として持って行く程度にしよう。マイルさんこれはおいくらですか」



 マイルさんが値段を確認すると3ゴルだそうだ。だが、この品は100年以上も前に発掘された物らしく、店にとっては不良在庫扱いらしい。壊れても文句なしという条件で1ゴルにしてくれた。




 次にガデンさんの店に行く。すぐに個室に案内された。ガデンさんはお店の人に指示をして、防具や剣を運び込んでくれた。リサはゲイテさんに別室に連れていかれた。俺たちは各々が防具を着けて剣を持ってみた。さすがに自分専用、体に当たる違和感はないし、剣は絶妙な重さとバランスに調整されている。おまけにミスリルの剣など初めてだ。どれほどの切れ味か楽しみだ。俺は左手で細剣も持ってみる。こちらもしっくりくる。俺は何度か高速で突きを繰り出す。とてもいい。



「俺の物は完璧です」



 俺はそう伝えた後、アスカの装備を手伝ってやった。アスカも細剣を手に何度か突いている。



「お父様、アスカにぴったり」



 ガンズもマルスも違和感がないようで、装備は完璧だった。リサも戻ってきて、リサに合わせて仕立てられたローブは魔力の回復効果が大きいと感心していた。



「ガデンさん、ゲイテさん。装備は完璧です。この装備で明後日から30階層のボスを討伐に行ってきます。討伐報告を楽しみにしていてください」


「ああ、王国の威信にかけて討伐を頼んだ」



 こうして準備を整えた。明日は皆に拠点に泊まってもらうので、今日はガンズとマルスとはここで別れた。俺たちも拠点に向けて歩き出した。


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