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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
2章 世界最強の剣士編
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45話 アスカの目覚め

 俺とアスカが目を覚まし、朝の訓練をしている間に皆も目を覚ます。各々が朝食を終えて荷物をまとめると、さっそく21階層に降りていく。ここからはマルスを先頭にしての警戒行動。だが、相変わらず俺はアスカを肩車している。しばらく歩いているとミノタウロスを見つける。



「狩ります。グリムが中で抑えます。頃合いを見てリサに指示を出すのでよろしくね」


「はい」



 アスカをリサの隣に降ろし、前衛3人でミノタウロスの近くに寄る。俺たちに気付いたミノタウロスは、大きく斧を振り下ろしてくる。俺は剣で受けたタイミングで、「リサ!」と叫ぶ。すぐにミノタウロスの様子がおかしくなる。ガンズとマルスが両脇から魔石に突きを加えてあっさり倒した。皆でリサの元へ戻り、魔力の使用量や回復量について確認する。



「今の魔法で完璧だ。リサの魔力量はどうだ?」


「はい、まだまだ問題ないですよ。今からでも10回は詠唱可能だと考えてもらって大丈夫です」



 リサは話しながらも杖を地面に突き刺し、魔力の回復をしている。本当にアグリさん仕込みだ。



「リサ、いろいろ言ってすまないが、リサから見て戦いの中で魔法をこう使った方がいいと気付いたら、教えて欲しいんだ」


「分かりました。でもまだ不慣れで余裕がないので、もう少し慣れたら観察してみます」




 こうして何度も確認の討伐を繰り返した。前衛1人とリサで討伐したり。群れていた敵を討伐したりと、いろいろなパターンを試した。リサは器用に順応してくれて、これで問題はないだろう。そろそろ昼食の休憩をしようとなり、皆で安全そうな岩場の陰で座り込んだ。



「リサ、何か気になる点はあったか?」


「今のところ、私には問題はありません。ですので、昼食後は私の魔法の確認に付き合ってください」


「攻撃魔法を試すということですね。いいと思いますよ」


「それなら、マルスの指示で詠唱してもらおう。マルスは指示したら魔獣から離れるように」


「はい」




 そして午後はマルスとリサで討伐を繰り返す。黒魔法は土を材料に詠唱しているようだ。大きな塊を落としたり、細い針のような物を大量に飛ばしたり。大きな土の壁を発生さえて道をふさいだり……どの魔法士もやることはハチャメチャなようだ(笑)




 しばらくするとガンズに声をかけられた。



「せっかくだから、アスカに敵の固さ体験させてやったらどうだ?」


「今のアスカでは跳ね返されるのがおちだが、身をもって知るのも悪くないか」


「3人で抑えて、グリムの後ろから隙をみて攻撃させれば問題ないだろう」


「分かった。皆、すまないがアスカに協力してやってくれ」


「了解」



 そしてきょとんとしているアスカに説明した。



「アスカ、これからアスカにも戦ってもらう。父の後ろで待機していて、父の指示が出たら敵を突いてくれ。分かったか?」


「はい、お父様」




 皆で敵を探していると、単体のミノタウロスを発見する。



「狩ります。グリムが真ん中で。アスカはグリムの後ろをついてくるように」


「了解」



 4人でゆっくりミノタウロスへ近寄る。気付いたミノタウロスが大きく振りかぶって、打ち下ろしてくる。ガツンと音がしたタイミングで、「アスカ!」と叫ぶ。アスカは俺の横へ出てきて、魔石を狙って一突きする。多少の傷はついたものの、ほぼノーダメージだ。俺はすぐに、「戻れ!」と指示すると、アスカは俺の後ろに隠れた。また剣が振り下ろされ、ガツンと音が響く。今度は俺の指示の前にアスカが横に現れ、突きを連続で放った。驚いたことにアスカの突きはとても正確で、1点を何度も突く結果となっていた。小さな傷でも何度も繰り返したことで、しっかりと傷になっていく。攻撃の後は、アスカは自分の判断で俺の後ろに戻った。俺は打ち下ろしを受け、そしてアスカが攻撃。何度繰り返しただろうか。それでも終わりがきた。横へ出てのアスカの突きは、今までの突きとは違い、軽いながらも体重を乗せた理想的な突きとなっていた。連続した突きの中で、アスカの剣が魔石に傷をつける。光の粒が現れて。ミノタウロスは消えてなくなる。


 これには他の3人が驚いていた。俺はアスカを肩車してリサのところへ戻る。ガンズとマルスも慌てて後をついてくる。俺はアスカを降ろし、リュックから水筒を出し、水を飲ませる。アスカの顔は晴れやかだった。強い敵を倒した充実感を得ているのだろう。



「アスカ、敵は固かっただろ?」


「はい、お父様」


「それにまじかで見る敵は早いし力強いだろ」


「はい、お父様」


「今日の戦いを思い出しながら、毎日の訓練を続けるんだ。アスカはまだまだ1人では敵と戦えないのだから」


「はい、頑張ります」




 ガンズはまだ信じられないという顔をしていた。



「アスカはとんでもない剣士になるな。皆で育ててやろう。グリムはアスカに守護の祈りを送ったのか?」


「ああ、この間、神殿に行ってきた」


「グリムの守護の祈りなら最上級の祈りだ。才能とバックアップとどちらも完璧なら強くならない訳がない」


「皆で見守り育ててやってくれ、頼む」




 こうして訓練は終了となった。20階層で野営して翌朝に地上を目指して出発する。地上に戻ったのは5日目の夕方。拠点に戻るとセイラさんが風呂を沸かして待っていてくれた。皆で風呂に入り、さっぱりしたところでリイサさんの店に繰り出す。


 大いに飲み大いに食べた。そして大いに皆で笑いながら、戦闘の様子を大いに語り合った。


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