表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
2章 世界最強の剣士編
137/336

43話 リサ暴走

 急ぎ拠点に戻るとセイラさんが待っていた。どうも大掃除をしてくれたらしい。



「すみません、セイラさん。遅くなってしまって」


「いえいえ、これだけ汚されていると、久しぶりにやる気が出ましたから(笑)」



 セイラさんが出かける準備をしていると、リサさんが俺に相談してきた。



「グリムさん、私も拠点で暮らしてもいいですか?」


「それは構いませんが、確か校長先生のお屋敷内に住んでいると話していましたよね?」


「はい、なのでとても息苦しいのです。ここは長年住み慣れた我が家のような場所ですから……」


「学校の許可はもらえそうですか?」


「はい、学校の許可はもらいました!」


「ではご自由にお使いください」


「自室だった304号室を使います。セイラさんはお隣の302号室でいかがですか?」


「私とアスカは3階の奥の教員用の部屋を使っているのですが、男子禁制なら下の階に移動しましょうか?」


「いえいえ、男子禁制は学生寮のルールです。アスカちゃんもいるので、同じフロアの方がいいと思いますよ」


「なるほど……ただ、リサさん。私たちもセイラさんも近い内に新しい屋敷に引っ越すことになります。その時はリサさんも一緒に来てください。2か所の管理はセイラさんお1人では厳しいでしょうから」


「分かりました。私は貧乏学生で荷物はほとんどありませんから、引っ越し準備はすぐにできます。引っ越しすることになったら、声をかけてください」




 皆でリイサさんの店に移動した。また人が増えたことにリイサさんが驚いている。



「リイサさん、紹介します。今度我が家のお手伝いさんとして来てくれるセイラさんです」


「初めまして、セイラです。よろしくお願いします」


「こちらこそ、いつもご贔屓にしてもらってます。でも、お手伝いさんが見つかったのなら、食事は家で食べれるのよね?」


「まだ、どうなるかは分からない。拠点と家なんて贅沢な悩みです。泊まる場所もなくてリイサさんに助けてもらっていたのに」


「あはは、確かにそうだったね。それだけ頑張ったてことだよ」




 そしてビールジョッキとリンゴジュースのジョッキが運ばれてきた。今日はアスカも一緒に飲みたいらしい(笑)



「では、セイラさんの歓迎会とクランの名前が決まったのと、ガンズの奥さんの回復と……いろいろいいこと続きで幸せだ!乾杯!」


「グリムは乾杯が下手くそだな。戦いのときの指示は的確なのに……」


「そういうなガンズ。戦いは単純だから俺でもできるが、挨拶は俺には難しい」


「まったく頼りない。セイラさん、しっかり面倒を見てやってくれよ。これではアスカが心配だ!」


「うー、アスカは父といるのは嫌なのか?」


「いいえ、お父様大好き」


「うんうん、さすがは可愛い娘だ。父は嬉しい」



 ちょっと変なテンションの俺を無視して、各々が話し始めた。周りがワイワイガヤガヤしていて楽しい。最初にこの店に来たのはアスカと2人だったからな。



 しばらくしてマルスが手を上げて発言を求める。



「リサさんの魔道具が一式揃ったので、防具ができるまで間、連携の確認にダンジョンに行きませんか?」


「確かに連携の確認はしておきたいな。ガンズの意見は?」


「俺も賛成だ、リサさんに黒魔法を発動してもらうときのサインみたいなのも決めておきたい」


「リサさんに問題は?」



 あれ?リサさん顔が赤い?



「問題あります。どうして私だけいつまでもリサさんなんですか?よそよそしいです。寂しいです。きっと役に立たない小娘だと思われてます。はい、確かに小娘です。ごめんなさい」


「おい、マルス。飲ませすぎだろ!」


「いえいえ、リサさんが、今夜は門限を気にせず何とかかんとかって言って飲んでたんです」


「ああ、校長先生の屋敷から脱出してホッとしたんだな」


「皆さん、リサって呼んでください。きっと役に立たない小娘だと思ってます。私だって少しはやれるのです。お見せします!」



 リサさんは急に立ち上がり、魔法を詠唱。「デトックス!」もちろん皆がドン引きしている。ただ、解毒の魔法詠唱は、確かにリサさんを治療した。酔いが一瞬に醒めたようだ。



「!、皆さん、私。変なこと言ってしまいましたか?」



 これには、どう言葉を返していいか分からない。仕方ない。



「リサ、白魔法も使えるのか?」


「ヒールとか基本的なものなら……」


「アグリさんの教えが理解できたのか?」


「はい、白魔法も黒魔法も同じ魔法です。自分がそう信じて区別していることが使えなくなる要因です。ただ、アグリさんほど自由には使えませんけど」



 ヒールが使える黒魔法士という言葉に、一番反応したがガンズだった。



「リサ、本当にヒールが使えるのだな!」


「ええ、白魔法の基本ですから」


「でかした!お前をクランに入れて本当に良かった!」


「?……どうして皆さん、私をリサって呼んでるのですか?」


「当たり前だろ、お前もクランのメンバーなんだがら。これからはビシビシ鍛えるから覚悟しとけ」


「はい、皆さんの期待に応えられるよう、頑張ります!」



 この後、リサがもう1度酔っぱらいになって愚痴り出したのはご愛敬だ。アグリさんの魔法理論を理解できる人がいたとは、正直驚いた。とんでもない魔法で俺たちを救ってくれるだろう。今後の成長がたのしみだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ