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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
2章 世界最強の剣士編
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40話 国王陛下への謁見1

 礼服が完成してから2日後、特に待ち合わせをしていた訳でもないが、皆が拠点に集まってきた。理由は簡単、ついに国王陛下から昼食会へのお召の手紙が各々に届いたのだ。皆はどうしてよいやらで拠点に駆け込んできたらしい。



「そんなに心配することはない。ガンズとマルスは馬には乗れるな?」



 2人は深く頷く。



「明日は兄上の屋敷から出発させてもらおう。俺たちは馬を借りて馬で、リサさんとアスカは馬車を借りて馬車で向かう。臣下の礼でご挨拶した後は、私的な昼食会だから問題ないだろう。兄上と俺がいるから、分からないことがあればどちらかに確認してくれ」


「了解」


「明朝10時の鐘に貴族街の門の前に礼服で集合でいいな。リサさんとアスカは兄上の屋敷で髪を整えてもらってくれ。それで出発準備完了だ」


「了解」



 そして皆は緊張しながらも各自家に戻っていった。




 翌日、10時の鐘が鳴り始める。貴族街の門の前に礼服姿で揃ったクランメンバーはなかなかの見栄え。アスカは相変わらずの肩車だが(笑)門を通過し兄上の屋敷へ行くと、兄上も貴族の礼服で支度を終えているようだった。皆が挨拶を交わすなか、リサさんは初対面なので、俺が兄上に紹介する。


「兄上、紹介させてください。こちらがクランメンバーで黒魔法士のリサさんです」



 リサさんは臣下の礼をとる。



「伯爵様、お初にお目にかかります。クラン魁のリサと申します。今後ともよろしくお願いいたします」


「グリムには聞いていた。こちらこそよろしくな」



 挨拶を終えたところで、リサさんとアスカは別の部屋で支度を始めてもらった。男たちは食堂でお茶を飲んで待つことになった。



「グリム、あの持ち帰った剣と防具の持ち主が分かった。アズミ公爵様のものだ。国王陛下の末の弟君にあたるお方だ。本日、国王陛下へ詳しくお伝えしてくれ」


「かしこまりました」


「それとお主ら3人は冒険者レベル13になったそうだな。これでこの王国にはレベル13が5人。まだ少ないとはいえ、メンツは守れることだろう。国王陛下もお悦びだった」


「レベル13になると、屋敷が提供されると聞きました。決まりましたら皆でご報告させていただきます」


「リサも参加するとなると、いよいよ30階層のボス討伐だな」


「はい、剣や防具を準備して探索に行く予定でいます」


「アスカは預かってやるから、気兼ねなく連れてきなさい」


「いいえ、兄上。アスカは毎回ダンジョンに連れて行ってます。今回も連れていくつもりです」


「グリム、それは無謀ではないのか?まだ幼女だぞ?」


「あれでもラビツくらいはサクッと討伐しています(笑)」


「あはは、先が楽しみだな。だが無理はさせるなよ。あれは儂にとっても可愛い姪だ」



 リサさんとアスカの支度が終わって、いよいよ王宮へ向かう。兄上も馬に乗られ、男性が馬、女性が馬車となった。城の門でも兄上が一緒だからかあっさり通される。王宮の玄関で出迎えてくれたのはバストンさんだった。



「バストンさん、お久しぶりです。本日はよろしくお願いします」


「グリムさん、ご無沙汰しております。ずいぶんとお速い王宮へのお戻りでしたね」


「皆の協力で再び国王陛下にお目にかかれます。国王陛下にはいろいろご配意慮いただいたことを後から知りまして、どうしても直接お礼を言いたかったのです」


「なるほど、努力が報われ、ようございました」




 バストンさんに案内されて向かった部屋は、アグリさんと食事会で訪れた部屋だった。部屋に入ると驚くことに皇太子様とフィーネ様がお揃いだった。早速皆で臣下の礼と挨拶をして、皇太子様に席に着くよう指示される。すぐに皆で席に着く。皆の着席を待って、皇太子様がすぐにお話しくださった。



「グリム、久しぶりだな。元気でやっていたか?近衛兵団を退団してこの短時間で国王陛下に招かれたのだ、元気でないことはないか(笑)」


「皇太子様、フィーネ様ご無沙汰をしております。国王陛下の温情により、クランを立ち上げ、良き仲間にも参加してもらえたことで、ご報告ができるような活躍ができました」


「グリムがダンジョンだ、活躍せぬはずがない。しかし仲間もグリム並みに強いとなると、冒険者も侮れんな。近衛兵団にはっぱをかけてやらねば」


「いいえ、皇太子様、こちらにいるガンズとマルスが特別に強いのです。王国内の冒険者レベル13の5人の内の2人ですから」


「グリムから見てもかなりの使い手か?」


「はい、何事も安心して任せられます」


「近衛兵団に在籍していた頃のクリスのような存在か?」


「はい、何の心配もなく背中を任せられる頼もしい友です」




 しばらくして国王陛下がおいでになる。皆が臣下の礼でお出迎えをする。挨拶を終えると席を進められた。



「魁の皆、儂の弟の遺品を持ち帰ってくれて、心から感謝する。長い間、この日を待ち続けていた。遺品として墓へ納めてやりたいと思う」


「アズミ公爵様の細剣をお借りして、30階層のボスへ一太刀与えてきました。ぜひ墓前へご報告ください」


「グリム、重ね重ね感謝する。弟も剣士として誇らしいことだろう。それに、29階層の地図の作成と弟を葬ってくれた場所まで記してくれていたな。見事な働きだ」


「地図にも書きましたが、新種と思われる半魚人のような魔獣とも戦いました。大きな池にも関わらず、魔獣の住みかとなっており残念でした。いずれは水の道を離れた場所まで引いて、安全な水場を作りたいと考えています」


「水場の確保は必要だな。王国としても支援するゆえ、必要な物があればギルドへ依頼してくれ」


「はい、ご配慮感謝します」




 料理が運ばれてきて、いったん話しは中断となる。皆緊張でガチガチになっているようで、クランの皆は食事どころではないかな?


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