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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
2章 世界最強の剣士編
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35話 大金持ち!

 ダンジョンから帰ってきた翌朝は、戦利品の入ったリュックを皆で担ぎ、リイサさんの店で朝飯をいただく。そしてマルスの知り合いの商店へ向かった。向かった先は貴族街の門に接する高級店だ。



「マイルさん、お久しぶりです」


「マルスさん、ご無沙汰しております。今日はどのようなご用件で」


「まず、新しいクランに所属したので、クランとのお付き合いをお願いしたいのと、買い取りです。大量にあります!」


「では、応接室へご案内しましょう」



 俺たちは応接室に案内された。応接室と言っても貴族が来ることはないので、広いが質素な個室だった。


 部屋へ案内されると、さっそくマルスが俺をマイルさんに紹介する。



「こちらがクランの創設者のグリムです。クランは魁と言います。今のところ所属は5人です」


「初めまして、グリムです。末永くお付き合いをお願いします」


「ご丁寧にありがとうございます。失礼ですが近衛兵団のグリム様ですか?」


「はい、近衛兵団を退団したので、今はただの冒険者のグリムです。ですのでグリムと呼んでください」


「はい、かしこまりました」


「もう1人は知ってますね。ガンズです」


「お久しぶりです」


「こちらこそ、ご無沙汰しております。ガンズさんも魁に入られたのですか?」


「はい、マルスと2人で参加しました」


「お2人にグリムさんとなると、かなりお強いクランですね。ちなみにクランでの到達階層は?」


「今回の探索で30階層に行ってきました。ですので、戦利品は期待してください」


「30階層の戦利品ですか!それもリュック3つ!」


「はい、高く買い取ってくれないと、他へ持って行きますよ……」


「ぜひ、私共と専属契約をお願いします。できるだけの便宜を図らせていただきますので」



 もうマイルさんは土下座する勢いで頼み込んできた。どう扱えばいいのか分からん。マルスに任せよう。



「マイルさん、確かどこぞの大きなクランとは購入は3割引き、買い取りは3割増しの契約でしたかね?」


「……」


「ね?」


「……はい」


「どこぞの大きなクランは29階層まででしたね」


「はい」


「条件を伺いましょう」


「……30%でいかがでしょう」


「はい、分かりました。では次の店に行きましょう!」


「お待ちください、マルスさん。32%」


「無理なさらないでください。こちらは引く手あまたなので」


「35%。これ以上は無理です」


「マイルさん、頑張っていただいて感謝します。でも次の店に行きます」


「マルスさん、条件を教えてください」


「はい、40%です。ご無理なようなので、縁がなかったということで」


「マルスさん、40%で専属契約させてください」


「ありがとうございます。でもマイルさん、絶対損はさせません。俺たちは次で31階層に行くつもりです。31階層の素材は独占販売ですよ」


「それは楽しみです。ぜひ貴重な素材の持ち込みをお願いします」



 俺のクランとマイルさんの店との専属契約が結ばれ、いよいよ買い取りの交渉が始まる。マイルさんの他にも鑑定士が2名参加した。1つのリュックの中身をすべて出し、順に見てもらって値段を査定してもらう。そもそも標準買い取り価格に40%の割増が乗るので、査定の必要があるのかも分からない。鑑定が終わった品は番号の書かれた小箱に入れられ、一覧表に番号と買い取り価格が書かれていく。リュック1つでも時間がかかったので、追加で鑑定士が2名呼ばれ、4人で鑑定が続けられた。


 そろそろ昼食の時間となるころ、ようやく買い取り価格が告げられる。マルスはリストと品を確認しながら鑑定士と調整して、すべての買い取り品で合意した。その額、なんと50ゴル越え!割増が付くと70ゴル越えだ!いくら何でも稼ぎすぎだろ!金は全額、ガンズの王都民証に登録してもらった。マイルさんはお店の最高買い取り額だと興奮気味だった。




 店を後にした俺たちは、1度拠点にもどる。俺は遺品をリュックに詰めて兄上に見てもらおうと考えていたからだ。そして昼食を食べにリイサさんの店に行く。



「マルスは敵に回せないな」


「ああ、魔獣と戦うより商人と戦う方が得意だな」


「もう2人とも酷いです!」


「それにしても、たんまり稼げて安心した。いくら貴族の医者でも全部は取られないだろう」


「薬がバカ高いとかないか?」


「そうなったら、リサさんに頼んで調合してもらうんだな。専門家だから」


「魔法学校は薬の作り方も教わるのか?」


「ああ、調合の授業は受けている。素材だけ用意すればお願いできるぞ」


「ポーションとか傷薬もか?」


「詳しくは知らないが、大丈夫だと思う」


「これからは、リサさんから買えば安く済みますね」


「そうだ、マルス。リサさんの初期装備は揃えてやろうと思っていたのだが、マルスが見繕ってやれるか?」


「リサさんと一緒に買いに行くことはできますよ。でも魔法士の道具は実際に試してみないと自分に合っているのか分からないそうです」


「ではなおさら、マルスが付いて行ってくれ。金を遠慮して自分に合わないものは買わないように気にしてやってくれ」


「了解」



 こうして昼食を済ませ、兄上の屋敷へ向かう。アスカに会えるのが楽しみだ!


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