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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
2章 世界最強の剣士編
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31話 地図作り2

 池の水が飲めるのかの確認で、マルスの体調に問題はなかったようで、水は飲めると判断した。念のため次回は小さなビンに入れてギルドで確認してもらおう。


 その後、俺たちは先に進むことにした。俺の感覚では、そろそろ昨夜野営した岩場にたどり着くのではと感じていた。


 しばらく進むと、予想した通りに岩場が見えてきた。皆も昨夜の岩場だと思っているようだ。



「このまま壁際を進む」


「了解」



 さらに前進していくと、今度は壁にちょろちょろと水が垂れているのを発見した。



「また、水のようだ。どうする?」


「ポットに汲んで先に進みましょう。地図には書き込みをお願いします」


「了解」



 俺は紙とペンを取り出して、ササっと位置とメモを書く。マルスはさっそくポットに水を溜めていた。ここは安全そうな岩場からも近いので、水が汲めればさらにいい休憩場になるだろう。




 その後も進み続け、ようやく30階層の入り口にたどり着く。ホッとすると共に、昨日野営した岩場に向かうことにした。無事に野営地にたどり着くと夕食をとる。もう見るのも嫌になってきたカルパスだ。次回は何とかしようと心に誓う。皆が食べ終わった頃、俺は今日書いた地図を皆に見せた。



「これを見てどう思う?」


「間が抜けているところがありますね。明日はその辺に行ってみますか?」


「この余白の真ん中に行って、ぐるりと見回せば全部見えないか?」


「そうだな、ガンズの案でやってみるか」



 その後マルスは、また水のテストをしていた。今回の水も飲めそうだと結論がでた。新しい水汲み場を確保した。




 翌朝も食事を済ませると地図作りに向かう。目的地はざっくりな位置しか分からないので、当面はこの岩場が目印となる。警戒しつつも進んで行くが、次の目印の大きな岩と池は見えてこない。戦闘が増えて休憩も取りにくく雰囲気はあまりよくない。



「誰も地図作りに手を出さない気持ちも分かるな。苦労が絶えない」


「3人で階層内をくまなく巡るのですから、それは大変ですよ」


「確かにな、俺の記憶だと27階層は数クランが合同で探索したからな」


「稼ぎながら地図も作っていると思って、もう少し辛抱してくれ」


「了解」




 さらにしばらく歩く。そろそろ岩場が見えにくくなってきた。後はまっすぐ歩いて行き、俺の歩数だけが頼りになる。しかし、しばらく歩いてようやく前方に岩が見えてきた。



「岩が見えたな、地図だと今はこの辺にいるので、池は向こう側だ。池が見えるところまで向かう」


「了解」



 池もしばらく歩くと見えてくる。結局このダンジョンの特徴的な場所は、岩と池と岩場の水汲み場となる。道を挟んで向かい側は道を歩いていても壁が見えるので、帰りに壁沿いを歩けばいい。この後は道まで向かうが、気になる方向だけ通過すれば道のこちら側は地図が完成となる。俺は地図を指さしながら、次の向かう先を説明する。



「地図のこの辺は何も無いと思うが、念のためここを進んで道へでる。この後どうするかは道で決めよう」


「了解」



 再び歩き出す。もう何も無いと思っているので、警戒だけしながら進む。そして目的地の道に到着する。



「2人ともお疲れ。これで道のこちら側は完成だ。道の向こう側は帰り道に壁伝いに進むことで全体が完成になる」


「うまくいけば国王陛下からご褒美です。ギルドの褒美は確実でしょう!そして、この地図の制作者にクランの名が遺る。嬉しいです」


「マルスは名を遺すことに興味があるんだな。俺はあまり興味がないが。ガンズはどうだ?」


「俺も名を遺すことに興味はない。嫁との間に子供ができて、子供に少しばかりでも金目のものを残してやれて、後は好きにダンジョンの探索ができれば十分だ」


「それならこの地図の制作者はマルスにすればいい。ガンズもそれでいいだろ?」


「ああ、もちろん。欲しい奴が受け取るでいいんじゃないか、このクランらしくて」


「本当ですか!それならお言葉に甘えちゃいますよ」


「ああ、マルスの好きにすればいい。ただ、国王陛下の謁見は1人で行くことになるがな」


「……クラン名での登録でお願いします」


「あはは、クラン名と制作責任者がマルスと書いてもらえばいいだろ。ビビるなマルス(笑)」


「ガンズもグリムも性格悪い……」



 ここまでの時間としてはかなり遅い昼食の時間となる。今日はどうするかと3人で話し、このまま岩場へ行って休み、明朝万全の体勢で30階層に挑むことにした。



「30階層の方がバーンは多いんだよな?」


「はい、29階層よりはバーンが多くて、赤いワーウルフは少なめです。普通のワーウルフは見た記憶がありません」


「そうなると、バーンでボス攻略の練習をしてみるか」


「どういうことだ?」


「俺が右手担当、ガンズが左手担当になる。ボスなら止めるだけで精いっぱいだろう。だから真ん中にマルスを置いて攻撃してもらう。リサさんが入れば黒魔法で時間稼ぎをしてもらえるとは思うが、ボスが相手だと俺とガンズは回復のことも考えなければならんしな」


「俺は盾で防御特化すれば回復不要の時もでてくる。隙を見つけて左手狙いでいいか?」


「なるほど、ガンズは攻撃のタイミングはありそうか……ならマルスも最初から左手狙いでいくか?」


「そうですね、先に手を一本にしてしまうとリスクはかなり減りますから」



 明日からはボス攻略を見据えた討伐を開始する。


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