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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
2章 世界最強の剣士編
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26話 下へ下へ

「ガンズ、どうする?ここで稼ぐか、先に進むか」


「皆には申し訳ないが、先に進んでみたい」


「申し訳ないことはない、俺もマルスも同じ気持ちだ(笑)」


「でも、ここで今日明日は稼ぎましょう。このペースがちょうどいいと思います」


「了解。マルス、先導を頼む」



 こうして27階層を警戒しながら進み始めた。マルスが言った通りで、遭遇するのはアンタイオスばかりだった。勝ちパターンが確立すると、金稼ぎにしかならないな。




 9日目になり、28階層に降りることにした。ここもアンタイオスが主なようだが、赤い奴でかなり強いらしい。1度受けてみないと攻略方法を判断できないが。しばらく魔獣をさがしていると、赤いアンタイオスを見つけた。だが、近くにもう1匹いる。戦っている最中に乱入されるのも面倒だ。



「俺が1匹誘い込んでみる。2匹寄ってくるような27階層を目指して全力で逃げる。それでいいか?」


「了解です。グリム、気を付けて」



 俺は身を低くして近いほうのアンタイオスに石を投げる。1匹は警戒を始めたが、もう1匹に動きはない。俺は立ち上がって、再び石を投げる。アンタイオスが俺に向かってのしのし歩いてくる。歩きとしては大股で早いが、走る人ほどではない。俺はもう1匹を気にするが動きはない。このまま2人のところに連れていくことにした。その後も何度か石を投げ、距離を取りを繰り返す。そして2人の位置を確認し、敵の間合いに入る。いつもの横振りがくる。確かに早い。ガツン。威力もある。これは一拍取らないと次の動作に移れない。2太刀目の動作を始めるアンタイオスに2人が切りかかる。前のやつのようにラッシュは無理だろう。俺も1突きだけ食らわせ、次の攻撃を受ける準備を始める。だが俺の方を気にしなかった。これはまずい、俺はアンタイオスの足に連続突きを食らわせることにした。これにはアンタイオスも対応が必要になり。俺を攻撃にかかる。俺も受ける体勢をとる。しかし、今度は2人が俺が攻めていた足を切りまくった。そしてアンタイオスは片膝をつく。もうこれで俺たちの勝ちパターンになり。3人で切りまくって光る粒にしてやる。



「すまない、引き付けが弱かった」


「いえいえ、それよりアンタイオスは足を責めるのが有効じゃないですか?」


「俺もそう思った。グリムが1撃目を受けた後の反撃は足で頼めるか?」


「了解。ただ、さすがに1撃目が重くて、反撃が一拍遅れてしまう。そこは2人とも気にしていてくれ」


「了解」



 戦利品は漆黒鉱石だったが、5つ落ちていた。体力が持てばこちらの方が割がいい。



「もう1匹仕留めてから休むか?それとも先に休むか?」


「グリムの判断に任せる」


「では、先に討伐だな」



 3人はお互いの位置に付き、俺が始動して戦いが始まる。1撃目の受けは相変わらず強烈だが、2撃目の動作を取る頃には反撃ができる。早速足を突いてみた。どうも足を責められるのが苦手らしい。2撃目は思ったより遅くきた。そのタイミングで2人が足を切りまくる。2人を撃退する動作になり、今度は俺が切りまくる。片膝をついて勝ちパターンだ。3人のラッシュで消してやった。



「今回の連携は良かったですね」


「ああ、グリムが安定してるから、こちらの入り方が楽でいい。ただ受けてるグリムの体力回復は必要そうだ」


「そうだな、ひと休みさせてもらおう。上の普通のアンタイオスならこの戦法で連戦が可能かもしれないな」



 俺はリュックから水筒を出し、ひと口水を飲む。2人も戦利品の回収後は、思い思いにのんびり休憩になった。



「ここに黒魔法士のリサさんが入るとなると、1撃目はリサさんになるのか?」


「普通なら目くらましが基本ですけど、アンタイオスは横振りしてくるので、今のパターンが最適だと思います」


「俺もマルスの意見に賛成だ。どこから来るか分からない横降りは脅威だ。今の制御が効いているパターンがいい」


「マルスなら、こいつは黒魔法、こいつは剣と判断がつけられるか?」


「初めての魔獣では無理ですけど、戦ったことのある魔獣ならなんとなく分かります。でも、アンタイオスが異質なだけで、他の魔獣は黒魔法から始めるのがいいですよ」


「黒魔法士は訓練すれば強くなるのか?」


「魔法士は生まれ持っての才能が大きいと思います。敵との駆け引きは剣士と同じで経験です」


「それなら、リサさんは魔法学校に行くくらいだから、頼りになりそうだな」




 こうして9日目と10日目は28階層で討伐を行った。ほぼ赤いアンタイオスの討伐となり、休憩時間が長くなった。



「マルス、稼ぎとして考えると、27階層の方が稼げるか?」


「そうですね、休憩を取る時間が必要になりますから」


「それじゃ、ガンズの判断だな、この先へ行くか上へ戻るか」


「ここまで来たら先に進む。30階層まで進む。ボス戦はやらないがな」


「了解、今日は少し早いが終わりにするか」



 いつものように岩陰に隠れて食事と睡眠だ。そろそろ水の心配もした方がいいか?



「マルス、水はどう補給するんだ?」


「そうですね、先に進む前に水の補給に行きますか。27階層に石清水が出る場所があります。そこで水を溜めて沸騰させます」


「1日かかりそうだな。明日は休暇にするか」


「はい、もちろん魔獣がいますから、休暇になるかは運しだいです」



 明日は27階層に戻り、水の確保となった。少しはごろごろしながら過ごせそうだ。


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