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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
2章 世界最強の剣士編
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18話 旧友との再会

 ダンジョンから帰ってきて、そのままリイサさんの店に寄った。まだ早い時間で客はいなかった。すると、リイサさんとキキさんが2人そろって駆け寄ってきた。



「いったいどこをほっつき歩いてたんだ!何日も顔を出さないから心配したじゃないか!」


「キキさんにはダンジョンに行くと伝えておいたのだが……」


「まさか親子2人で、こんな何日もダンジョンに行くとは思わないでしょ!」


「そうかい?ダンジョンに行って5日なら短いと思うのだが……」


「グリムさん、いったい何層まで行ったんだい?」


「21階層だ。ただ21階層には少しだけだ。荷物が増え過ぎてすぐに引き上げてきた」


「21階層?2人でかい?」


「2人でだよ。アスカも戦ってお金を稼いできたんだ。そうそう、今回のアスカはおじさんたちからもらったのも含めて、黄色3つ分だった」


「やった!黄色食べる」


「リイサさん、すまないが、アスカに卵料理を頼む。俺にはビールと何かがっつり食べられる料理を頼む」



 リイサさんとキキさんはまだ小言を言いたそうだったが、お腹を空かしたアスカはほっとけなくて、厨房へ行って料理を始めてくれた。



「アスカ、今回はよく頑張ったな。父はアスカをとても褒めたい気分だ」


「うん、頑張った。お父様に褒めてもらえて嬉しい。また、頑張る」


「そうだな、2人で頑張ろう」




 しばらくして料理が運ばれてきた。アスカの皿にはスクランブルエッグと肉や野菜を少しずついろいろ盛ってきてくれた。



「おいしそうー!リイサさんありがとう」


「いっぱい食べてね。まだ食べられるようなら、他のも持ってきてあげるから」


「はい」



 アスカは夢中で食べていた。少しは携帯食も考えてやらないとな。俺も食事を始める。するとテーブルに近づいてくる男がいる。どこかで会ったことがあったような……



「グリム様、お久しぶりです。マルスです」


「おおっ、あのダンジョン特別討伐の時に手伝ってくれたマルスか!」


「はい、グリム様がダンジョンの攻略を始めたと聞いて、探し回りました。やっとお会いできて嬉しいです」


「俺もだ、マルス。そうだ、俺は近衛兵団を退団したので、グリムでいい。それと娘のアスカだ。よろしくな」


「アスカです。よろしくお願いします」


「ご丁寧にありがとう、アスカちゃん」


「まあ、マルスも座ってくれ。リイサさん、ビールとつまみをお願いします」



 そしてビールが運ばれてくると、2人でビルジョッキをガツンとぶつけて一気に飲み干す。すぐに次のビールも注文する。



「それにしても、グリムさんがどうしてダンジョンに?」


「剣を究めたくてな。とにかく強くなりたい。誰にも負けないほど強くなりたい」


「いいですね。ではグリムさんに質問です。下層の探索を進めますか?」


「もちろんだ。強い敵を求めるなら下層に行かなくては。俺は他国にも負けぬ探索をしたいと思っている」


「了解しました。俺もグリムさんと同じで他国に劣らぬ探索がしたいと思っていたのです。ぜひ、グリムさんのクランに入れてください」


「クランに入れる?マルスほどの使い手がクランに所属していない訳がなかろう」


「はい、グリムさんの噂を聞いて、下層を目指さないクランに見切りをつけて出てきました。でひ俺を仲間に入れてください」


「おいおい、俺のクランは俺とアスカの2人だけだぞ、マルスを招き入れるなど恐れ多い」


「ちなみに今回は何階層まで行きましたか?」


「21階層だ。娘もいたし荷物も増えたのですぐに戻ってきたが……」


「21階層でも戦ってきたのでしょ?」


「アルゴスとミノタウロスを1匹ずつだ。ミノタウロスは割が悪いのか?角と斧でもう戦利品が持てなくなった」


「グリムさん、普通は何人かで討伐する敵ですよ。そもそも子供連れてダンジョンに行く親はいないし、アスカちゃんは最年少21階層到達者として歴史に名が残るほどです」


「冗談はよせ。アルゴスやミノタウロス程度なら、マルスだって1人で十分ではないか」


「あはは、グリムさんにそこまで言っていただけて、嬉しい限りです」


「マルス、お前は何階層まで降りた?」


「30階層です」


「さすがにこの王国の到達最下層まで行ったのだな。どうだ強い敵がうようよいるのか?」


「それがボスが無茶苦茶強いだけで、その他は25階層辺りから頭打ちです」


「マルスが1人で行くとなると何階層までだ」


「そうですね、24階層ならボスも含めて何とか」


「よし、では俺もしばらくは24階層までにしよう」


「それはまたどうして?」


「娘と2人だからな。あまり無茶はできない」


「前衛がもう1人と後衛が1人いると、アスカちゃんも連れて動きやすいですね」


「そうだな。そんな訳で本当に申し訳ない。マルスほどの男を所属させられるクランではないのだ」


「分かりました。前衛1人と後衛1人も探して連れてきます。5人でダンジョンに行って、グリムさんが問題ないと思えば皆をクランに入れてください」


「分かった、人が見つかればぜひ声をかけてくれ、俺もアスカも食事はここでしているから、何かあればここに来てくれ」


「はい、了解しました。それじゃグリムさん、アスカちゃんが眠そうなので、今日はこの辺で失礼します」


「ああっ、また会えるのを楽しみにしているぞ」



 そして2人でジョッキをガツンとやってビールを飲み干すと、マルスは店を出て行った。俺も料理をかき込んでアスカを肩車して拠点に帰った……


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