表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
2章 世界最強の剣士編
107/336

13話 クランと住まい

 冒険者ギルドへ到着した。今回も受付窓口が分からない。仕方なく案内係にお願いした。「ギルド長とお会いしたい」と。再び応接室に案内され、ギルド長を待つ。しばらくしてギルド長が来られたが、何やらいろいろ抱えてきている。



「お待たせしました、グリムさん。拠点の手続きは面倒でして」


「ギルド長にお手間を取らせている拠点とは何ですか?」


「近衛兵団で例えますと、寄宿舎のようなものです。同じ冒険者クランに属する者が寝泊まりしたり、訓練したりします。ただ、拠点を持てる冒険者クランは条件が厳しいのです。グリムさんは国王陛下のご命令で拠点も準備するようご指示が出ています」


「なるほど、私は国王陛下から特別なご配慮をいただいているのですね」


「はい、そしてギルドとしましては、グリムさんにぜひ拠点にしていただきたい場所があります。どうしても一般のクランにお渡しするのがはばかられまして……」


「どのような場所で、どのような理由です?」


「実はもともとは魔法学校の学生寮です……それゆえ、ギルドとしましても、どうしても信頼できるお方に提供したかったのです」


「なるほど、事情は分かりました。しかし、魔法学校の敷地内に拠点を作られたのですか?」


「今は魔法学校と元学生寮の間には壁が作られています。ですので独立した敷地になっています」


「分かりました。ギルド長のご厚意をありがたく受けさせていただきます」


「ありがとうございます。そうしましたら、建物はすぐに建て替えをしますか?費用はギルドの負担となります。この敷地内に1度だけギルドの負担で建て替えができるとご理解いただいても結構です」


「それなら、今の建物をそのまま使わせていただいて、人が増えたところでご相談に伺います」


「かしこまりました」


「ギルド長、1点だけ教えてください。クランに参加できる人に制限はありますか?」


「いいえ、王都民であればグリムさんのご意志で参加させるも、退会させるも自由です。すべてはクランの責任者であるグリムさんの自由です」


「ありがとうございます」


「何か分からないことがあればギルドへ来てご質問ください。では、こちらが書類一式と拠点の鍵です。拠点の鍵は近衛兵団の方なら使い方はご存じですね」


「はい、問題ありません。ギルド長、いろいろご対応いただきありがとうございました。ダンジョンでお困りのことがあれば協力しますので、何なりとご相談ください」


「ありがとうございます。グリムさんのクランが繁栄されますようお祈りしております」




 こうしてクランの拠点を手に入れた。少々大袈裟になっている気もするが、いずれ何かの役に立つだろう。



「アスカ、拠点に行ってみるか?」


「お父様、拠点ってなに?」


「2人の住む家みたいなものだ」


「うん、行ってみたい」



 俺はアスカを肩車して拠点に行ってみた。魔法学校側の門は以前と同じ位置だが、クランの門は右側に新しく設置されている。考えてみると、アスカをクランに所属させないと、門や学生寮は使用できないのか?俺は首にかけた鍵を握り語り掛ける。



『アスカをクランのメンバーに追加する』……『登録しました』


『アスカにクランの全施設の使用を許可する』……『登録しました』



 いよいよ門を通過、景色は壁に囲まれて様変わりしていたが、学生寮側にあった物はそのまま残っていた。あの花壇ももちろん残っている。



「こんな広いところにお父様と住むの?」


「今はそうだな。でも、その内人が増えていくだろう」


「ご飯もお風呂もここ?」


「お風呂はここにある。ご飯は2人だからリイサさんのところに食べに行こう」


「うん」



 そして学生寮に着いた。建物の傷はそのまま残っていた。この傷は残っていた方がいい。この傷が俺の原点なのだから。建物内に入る。玄関を進むと食堂がある。懐かしい景色そのままだ。さらに進むと階段がある。アグリさんを抱えて上がった記憶が蘇る。3階まで上がり、305号室に入る。荷物を片付けてときのままだ。本棚の教科書はそのまま残っている。



「お父様、どうして泣いてるの?」



 俺は気付かなかったが涙を流していたようだ。そして気付いたところで止めることもできなかった。



「ここの部屋には、父の大切だった人が住んでいた。思い出したら涙が出てきただけだ、心配いらない」



 気分を切り替えよう。アスカと生活する部屋を探さねば。3階の奥の方を確認してみる。すると最も奥は教員用の宿直部屋で他の部屋より広かった。中へ入ると、ソファーも事務机も置かれており、大きめのベッドも2つおかれていた。



「アスカと住むのはここの部屋にしよう。どうだ?」


「うん、お父様とここに住む」


「では、リイサさんのお店に荷物を取りに行くか」


「うん」



 こうして住まいを確保できて一安心。ただ、この建物に2人で住むのは広すぎるな。掃除が大変そうだ(汗)




 夕焼けの中、門を目指して歩き出す。何年も歩いた道。これからも歩き続ける道。この場所をアスカには希望に満ちた住まいにしてやりたい。そのためには、しっかりダンジョンで稼がなければ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ