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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
2章 世界最強の剣士編
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12話 娘で王都民で

 朝、店員の娘さんに起こされて目を覚ます。



「初めまして、キキと申します。リイサさんから事情は聞いてます。朝はまかないがありますから、一緒に食べてください」



 そう言って、下へ連れていかれた。



「明日からはご自分たちで降りてきてくださいね。降りてこないと朝ご飯抜きになっちゃいますから」



 朝から陽気な娘さんだ。1階に降りると、俺たちは邪魔にならないように、昨夜使った隅のテーブルに座った。朝食はパンとスープと昨夜の残り物が少々、十分豪華なまかないだ。せめてものお礼に、夜はまたここで食べることにする。




 朝食をご馳走になった後は国務院に行く。アスカの王都民証をもらうためだ。しかし書類の提出先が分からない。俺は案内係に書類を見せてどこの受付に行けばよいか聞いた。すると案内係は驚いた顔をして、奥の応接室に案内してくれた。しばらくソファーに座って待っていると、王都民証を持った責任者のような人が現れた。



「お待たせしました。通常は国王陛下のご命令の書類は王宮にて処理しますので、こちらには受付窓口がありません」


「それはご迷惑をおかけしました。ご対応感謝します」


「アスカ様の養女の件と、王都民の登録は完了しております。ご安心ください」



 俺は受け取って王都民証をアスカの首に巻き、晴れてアスカは王都民となった。



「おじさん、ありがとうございました」



 アスカがお礼を言い、国務院を後にした。




 次は冒険者ギルドへ向かう。こちらも受付窓口が分からない。案内係に書類を見せると……応接室にご案内だ。ただ、こちらではギルド長が直々に手続きに出てきた。



「グリム様、ご無沙汰しております。書類の確認でお伺いしました」


「ギルド長、こちらこそご無沙汰をしております。書類の提出先が分からずご迷惑をおかけしました。それと、近衛兵団は退団したのでグリムとお呼びください」


「すると、この書類は本物で間違いございませんか……」


「はい、国王陛下よりいただいた書類です。何か不備でもありましたか?」


「いえいえ、とんでもありません。まさか、グリム……さんが、近衛兵団を退団されるとは思いもよらなかったので」


「これからはギルド長にもお世話になりますので、よろしくお願いいたします」


「こちらこそ、よろしくお願いいたします。まずは冒険者クランの創設ですが、登録は事務的なものなのですぐに済みます。もう1つの冒険者クランの拠点を決めていただくのですが、お選びになりますか、それともこちらでご用意しますか?」


「私は冒険者クランのことは無知なもので。良ければギルド長にお願いしたいのですが」


「かしこまりました。では、手続きと鍵をご用意しますので、午後にもう一度お越しください」


「了解しました。お手数をおかけしますが、よろしくお願いします」




 こうして1度冒険者ギルドを後にした。やることもないのでアスカと王都の庶民街を散歩することにした。ただ、人が多くてアスカの背丈では何も見えないようで、俺がアスカを肩車して散歩することにした。アスカは、「お父様、高い高い」と言って大喜びだった。いつもは素通りして気にもしていなかったが、街の中心の池には噴水があった。



「お父様、どうやってお水をだしてるの?」


「アスカ、すまない。父にも分からない。今度誰かに聞いてみよう」



 しばらくすると、正午の鐘がなった。ちょうど良いので昼食にする。どこへ行くか迷ったが、リイサさんの店に行くことにした。なるべくリイサさんの店に貢献しておきたいからだ。アスカもそれでいいと言ったので早速店に向かう。店に入ると、満席とまではいかないが、8割程度は客がいた。俺とアスカはいつもの席につく。キキさんが気付いてくれて、ランチを2つ頼んだ。ランチを持ってきてくれたキキさんが、「アスカちゃんこのイスじゃ食べにくいね」と言って、奥から子供用のイスを持ってきてくれた。



「この席は一番奥でお客さんも来ないから、お2人の席にしておきましょう!」



 テーブルの上に予約席の札も立ててくれた。ランチは鶏肉をトマトで煮込んだ料理。面白いことに薄いチーズが鶏肉を被うように乗せられている。アスカもテンションが上がったようだ。まだまだ拙いとはいえ、アスカはなかなかナイフとフォークの使い方がうまい。確かに手先は器用だな。魔獣の魔石も一突きで仕留められるだろう……俺は親バカか!




 少しお店が落ち着いたこともあり、キキさんが、「サービスです」と言ってお茶を持ってきてくれた。



「ありがとう。キキさんお願いがるのだが」



 俺はそう伝えて100シルを差し出す。



「この金は前金で預けておきたい。これからはアスカが1人で食事をすることもあると思うので」


「グリムさん、それにしても大金ですよ」


「確かにそうだな、でもアスカが1人で困っていたときには、その金で助けてやって欲しい」


「うーん、分かりました。お預かりします。アスカちゃんのことはできるだけ面倒をみます」


「ありがとう、キキさん。これで安心だ」




 食事も終えたところで、ギルド長のところへ行って話しを聞きに向かう。俺とアスカは店を出る。そしてまたアスカを肩車して移動を始める。


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