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名もなき少女から始まった、魔法士の系譜  作者: みや本店
2章 世界最強の剣士編
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9話 国王陛下への報告

 翌朝、王宮から使いがきて、午前中に国王陛下がお会いくださるとのこと。兄上にアスカのことをお願いし、早速登城の支度をする。屋敷を出るときには、アスカとマチスが見送りに出てきた。



「行ってくる。マチス、アスカを頼む」


「かしこまりました」



 俺はガルム家から馬を借りて、城へ向かった。城門の守衛には話しが伝わっているようで、国王陛下の執務室へ向かうように指示される。王宮玄関へ着くとバストンが待っていてくれた。



「任務ご苦労様でございました。アグリ様はお元気でおられましたか?」


「ああ、すでに村にも馴染まれて、仕事も始められていた。驚いたお人だ」



 バストンに案内されて、国王陛下の執務室に入る。部屋には国王陛下の他に皇太子様とリング兵団長も来られていた。俺が国王陛下に臣下の礼をとると、国王陛下はソファーへ座れと声をかけてくださる。4人でソファーへ腰かけると、国王陛下が声をかけてくださった。



「グリム、任務ご苦労であった、アグリは静養所でやっていけそうだったか?」


「はい、国王陛下。すでに村人とも親しくしており、仕事を頼んだり頼まれたりしておりました。山での採取も、独自の魔法による移動と護身を身に着けられ、もう心配はございません。それと、息子ができました。道中で魔獣に壊滅された村の赤子を、ご自分の息子としてお育てになっております」



 さすがにその報告にはお三方が驚かれていた。



「まあ、アグリらしいと言えなくもないか……」



 国王陛下の独り言に、その場の皆が笑ってしまった。


 続いてリング兵団長が質問される。



「3領地の合同作戦についても教えてくれるか」


「はい、まず行きの道中でジウト領の村が、魔獣の襲撃により壊滅しておりました。その場はジウト領のウコワ兵団長にお任せし、静養所を目指しました。ビーゼ村に着いたところで近衛兵団出張所のラーク所長に襲撃の件をご報告すると、領地境に魔獣が出没していると聞きました。そして王都への帰還の際、またジウト領の村が襲撃され壊滅の場に立ち会いました。ジウト領主様にお声がけをお願いし、3領地合同作戦となりました。討伐戦は大きな被害も出ず、敵大将と思われる魔獣を打ち取りました。ただ、敵大将は誰も見たことがない、かなり強敵の魔獣でした」



 すると皇太子様が質問される。



「強敵とはどの程度の強さだ?」


「はい、おそらくクリスが戦ってようやく勝てるレベルかと」


「それでは、近衛兵団でも1人で戦ってはほとんど勝ち目がないではないか!」


「はい、いまだにあのような強い魔獣がダンジョン外にいることに驚きました。ただ、今回のことで3領地は綿密に連絡を取り合い、兵団については領地外での活動も許可されることとなりました。今後は村の壊滅までの被害はないと推測されます」


「アグリを無事に警護したことももちろんだが、3領地の合同作成を成功させ、前例にした功績も大きい。いかがでしょう国王陛下」


「皇太子の言うとおりだ。グリムの働きあっぱれである。次の任務についてはリングに任せるゆえ、それまではのんびり過ごせ」


「国王陛下、お言葉を返すようですが、お願いがございます。フィーネ様を危険にさらし、アグリ殿をあのようなお体にした責任を取りたいと考えております。どうか近衛兵団の退団をお許しください」



 その言葉に、誰も声が出ないようだった。だが、しばらくするとリング兵団長が話し始める。



「グリムを見ていて、何かを期して生きているとは感じていた。己の身を顧みない訓練は異常なほどであった。2度とあのようなことがおこらないためであったのだろう?それなら生涯フィーネ様をお守りすれば良いではないか」


「いいえ、フィーネ様の護衛はクリスが最適でございます。クリスは将来、近衛兵団を束ねる存在になるほどの人物ですから」


「しかし、グリム。近衛兵団を退団して、何をするつもりでおる」


「はい、冒険者クランを作り私兵団に属する考えでおります」


「なぜまたそのような?」


「アグリ殿に託されました。最強の剣士を目指し、フィーネ様と王国を守ってくれと。国王家の皆さまにはリング兵団長やクリスがいてくれれば安心です。ですので私は、国王陛下のもう一方のお悩みに対処したく考えております」



 すると国王陛下がお言葉をくださる。



「グリムはガルム家の男の誇りは持ち続けていくのだな?」


「はい、国王家からの恩、先祖からの恩、決して忘れることはありません」


「だが、近衛兵団を退団するとなると、貴族街には住めぬし、こうして王城へも来れぬようになる」


「国王陛下、ご心配には及びません。国王陛下がダンジョンのことでお困りのときには、お呼び出しくださるほどの剣士となっておきますので」


「グリムが近衛兵団を退団しても王国への忠誠に変わりがないことはよく分かった。希望のように取り計らう。その他の望みも言え」


「はい、ではお言葉に甘えまして2点。1点は王都への帰還の際に、壊滅した村の生き残りの幼女救いました。この幼女を養女としたいと思いますので、養女のご許可と王都民の許可をお願いします。それともう1点、冒険者クランを作る許可をいただけますでしょうか?」


「あい分かった。書類はすべてバストンに準備させる。帰りに受け取って帰れ。それと、グリス侯爵家とガルム伯爵家への報告を持って、アグリの護送任務を完了とする。任務完了後に近衛兵団を退団を認める。以上だ」



 こうして国王陛下への報告を終える。帰りに書類も受け取り、しばらくは王城へくることもないだろう……


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