耳かきの里
この地には古くからのものが残る。
伝統的な建築物というのは維持するのも大変だし、そもそも材料や製法の関係で修復にもなると、大問題になる。
「予算どうするんですか」
そう金でもめる。
「大丈夫です、当時でも武士が内職して生活支えてましたし」
「そういうことじゃない」
ただその時の内職から土産物の歴史は始まりましたピー~(土笛)
「他の地域ではそういう建物を企業に貸し出しているっていうけども」
「あ~行ったことあります」
「私もです」
「でもさ、雨漏りや天井剥がれた時に、ニュースにでなかった?そういうリスクしっかり管理しないと、揉めるだけだよ」
そういうわけで募集をすることにはなった、企業に声をかけたりしたが、その中に現在耳かきの里の代表である玄藤実の姿は、影も形もない。
保存地区で営業してくれる企業は、なかなか決まらず、ここも協力しますからといっても、ただ時間ばかりが流れた。
この時何をしていたかというと、就職と共にこの地を離れて、サラリーマンをしていた。
その頃の写真を見ると、ファンのかたは。
「ああ、和服も素敵だけども、こちらも素敵」
といわしめている。
帰ってくるときは、自分の母親が体を壊したという連絡が来たときだ。
医師から説明を受けて、そのときはまだ帰郷は考えていてはいないが、仕事の量は減らすことにした。
またここで結婚もしていたが別れてもいる。
「一度案内してもらってもいいかな」
故郷と行き来が増えたある日、そう言い出したのは、その時の上司である。
この上司には仕事の量をセーブしても今までと同待遇のままにしてくれたり、何かと恩もあるし、またこの上司のことだ、何か思い付いたのかもしれない。
二泊三日のガイドを勤めた。
「誰かここら辺で働く奴知らないか?」
帰り際そういった。
ここは十分利益が取れる、勝算があると踏んだらしい。
「いいのですか?」
今も保存地区の今後をどうするかが決まってないままになっているはずである。
「もちろんちゃんとやってもらうかんな!」
そこから始まった。
まだ耳かきの気配はない。
たまたま打ち合わせをしてて、飲食店だと厨房の工事をどうするか?でぶち当たるので。
「あまりいじらないで、魅力的に見せる方法って何さ」
一人が切れたところ。
「あそこって耳かきとか似合いそうですよね」
同僚の一人が昨日の夜に見た時代劇の話をしたとき。
『それだ!』
ちょうどまた別件で、理容学校にいったはいいが離職率高い問題を解決しなければならなかった。
つまり耳かきは後付けである。
お客さんへの浴衣のサービス人気だがも、これはほぼ他には見られないデザインだが、この地域に保存されていた着物、それこそ人形が着ているものからデザインを起こしているもので、そこから着やすい上下に別れて、洗える素材の浴衣を中心に作っている。
自分で着られる、だから着付けがあまり必要ないという工夫に工夫が重ねられて、この耳かき里のサービスは完成していった。
「棟梁も大分板がついてきたね」
和服の少年がそういう、どうも棟梁とは玄藤のことらしい。
「その名で私を呼ぶなと」
「いいじゃないですか、僕が護衛についているわけだし、周囲には誰もいませんから」
この辺りの忍びと修験者をまとめあげる家柄が玄藤家。
「そう呼ばれるのが嫌だったら、帰って来なければ良かったじゃないか」
「それはいうな」
やはり、この地には伝統が今も色濃く残るのだ、住まう人からそうなのだ。
『この地にあなたがいる限りわ我らはその言葉に従い、忠義を尽くすことを誓います』