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女嫌い先生の恋愛ラブコメ研修生活  作者: 柊  仁
0章  プロローグ
1/3

プロローグ

初めまして。柊 仁です。


この作品を手に取って下さり誠にありがとうございます。


今回は物語の0話となるプロローグです。


皆さんをキュンキュンさせられるよう頑張りたいと思います。


それでは「女嫌い先生の恋愛ラブコメ研修生活」をお楽しみください。


 季節が冬から春へと移り変わり、外の景色が春色を帯びてきたここ埼玉の朝はまだ冷たさだけが残っていた。


部屋の中からもその冷たさは充分に感じられ、自分の体に巻き付けている毛布の温かさと絶妙にマッチして心地が良かった。


こうしてベッドの上で寝ている時間が俺にとって一番の至福のひとときだ。


目線を壁の方に移すと時計の針はまだ六時四十分を指していた。


よし。学校までまだ時間があるな……。


俺は一息ついてから目を瞑った。


この時間は誰にも邪魔されてはならない。もし誰かに邪魔されようものなら俺の全生命力をかけてそいつの家の晩御飯に毎回セロリが出てくるように呪ってやるところだ。


セロリほどこの世から消えて欲しい食べ物はない。あれなに?本当に食べ物?


そんな他愛もないことを毛布の中で考えていると一階から甲高くてやかましい声が聞こえてきた。


「お兄‼まだ寝てるの~~!?」


はい。出ました。俺の睡眠を邪魔する奴第一号。


普通なら呪いをかけてやるところだがそうすると自分の晩御飯にもセロリが出てくることになってしまうので呪うのは止めよう。これだから妹という存在は嫌だ。


せめてもの反抗で無視を続けていると階段を上がってくる音が聞こえてきた。


とてとてからずんずんへと音が変わっていく。


その音からはかすかな怒気を感じた。


あれ?なんか近づいてきてない?来てるよね?これ。


そう思うと同時に部屋のドアがバンッと開かれた。


「もう朝だよお兄‼いつまで寝てるの!?」


アホ毛をぴょこぴょこさせながら朝のテンションとは思えないほどの大声で俺に対して怒声を放っているこいつは妹の菜月。


現在中学二年生で四月から受験生になる。俺とは年が二つほど離れているが実際は菜月の方がよっぽど大人びている。


ラノベやアニメでよく見る妹キャラというのは兄にべったりで可愛い系が一般的だが現実はそうはいかない。


妹にべたつかれたことなんて一度もないし、禁断の恋に落ちるようなイベントも一度も起きたことがない。


現に今こうして寝ている俺を蔑んだ目で見てるし……。


諸君。これが世間一般の妹だよ。お母さんに「クリスマスプレゼントは何が欲しい?」と聞かれて「僕、妹が欲しい!!」なんて言ってはいけないよ。サンタさんとお母さん困っちゃうからね。


そう、夢もかすかな希望も持ってはいけない存在。それが妹という存在なのである。


「いつまでって……まだ六時四十分だぞ。まだ全然時間あるだろ……」


毛布を亀の甲羅のように羽織りながら喋っている俺を妹は何言ってんだこいつと言わんばかりの表情になると同時に俺の背中についている甲羅をはぎ取った。


「はぁ……その時計遅れてるから。もう七時半だよ」


「な、なにぃ‼」


ベッドから慌てて飛び起きると俺は体感マッハ二十のスピードで支度を始めた。


「お兄。私もう出るから鍵閉めといて」


そう言うと菜月は横目で俺を見ながらドアを閉めて階段を降りて行った。


ああ。と軽く返事をしながら学校指定の制服に袖を通して軽く髪を整えると彼女の背中を追うように走って階段を降りた。


玄関まで来るとシューズボックスの上にひっそりと置かれている写真立ての前で足を止めた。


その写真には幸せそうに笑っている四人の家族が写っていた。


「父さん。行ってくるよ」


しばらく写真立てを見つめていると、はっと遅刻しそうなことを思い出し靴のかかとを踏みながら玄関から飛び出した。


肌で感じた埼玉の春は、やはり冷たかった。













最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。


プロローグをお楽しみいただけたでしょうか。


評価、ブックマーク、感想などいただけるととても嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 3話読ませて頂きました。 ちょっとひねくれたような考え方の主人公に一つ一つ共感したり、クスッと笑えるような楽しい会話があって良かったです。 これからもっと物語が展開していくと思うので楽しみ…
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