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俺は冴えない(没ver)  作者: 田舎乃 爺
第二章 そうだ首都、行こう
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27 そりゃ追放されるわな

「本当にどうなってるの?」


「こっちが聞きてえよ……」



 アイリスは驚きつつも、クローゼットから持ってきた子供用のバスローブをサクに着せてあげた。

 いつもとは違う感覚に戸惑うサク。間合いや視点が全く違う。ぎりぎり1mあるかないかぐらいの身長だ。何よりも男の大事な部分が小さくなってしまったことが一番悲しい。

 鏡の前でサクが落胆していると、その姿を観察しながらアイリスが素直な感想を述べる。



「……あんた、この時はまだ普通だったのね」


「それしばらく会ってなかった親戚とかにも言われるわ。まあ、この見た目じゃしょうがないな」



 冴えないサクの特徴的な半開きの目の面影はなく、その顔にはくりっとした輝く目があった。全身からにじみ出ていた負のオーラも全く感じられない。

 今の自分、正確に言えば昨夜までの自分とかけ離れたその姿をじっくり眺めていると、背後に回り込んだアイリスがおもむろにサクの頬を触ってきた。

 つついたり、つねったりと、感触を確かめるように触り続けるアイリス。満足した後は、子供の頃でも変わらないぼさぼさの黒髪に両手を置いてため息をついた。



「こんなに可愛かったのが、どうしてああなったのよ」


「ああなって悪かったな。たぶんきっかけは中一の時、12歳頃か。父親の秘蔵コレクションを見つけたことが原因だと思う」


「……親子ともども変態だったのね」


「男は皆スケベだぞ」


「言い訳しないの」


「ぐえー」



 決め顔でそう言い放ったサクの頬を両側から手で優しく挟み込んだ。柔らかなアイリスの手の感触を心地よく感じていると、部屋の鍵が開けられた音がした。

 

 

「お邪魔します~。あら~、あらあら~!」



 開かれた扉の向こうからやってきたのはカーラ。その瞳を輝かせながら、フワフワとした足取りでサクの方へと近づいていく。

 アイリスは手を放して近づくカーラに目覚めの挨拶をしようとしたが、それに構うことなくカーラは小さくなったサクを抱き上げた。

 いきなりのことで驚きつつも、いつもの甘い香りとその豊満な胸に包まれたサクは鼓動を高鳴らせる。天国の中から息継ぎのために顔を出したサクの目の前では、カーラが満面の笑みを浮かべていた。

 これが女神か。そんなことを考えつつも、小さいムスコが反応し始めていることにサクは気づいた。隠したくても、抱きしめられたこの状態では不可能だ。間違いなくカーラの体に当たってしまっている。

 心の底から申し訳ないと謝罪するサクに対し、カーラはその笑みを絶やすことなく話しかけてくる。



「興奮しちゃいましたか~? 可愛いですね~」


「むぐうっ!?」



 抱きしめたまま、カーラはサクの唇を奪った。こちらの口が小さいためか、カーラの舌は隅々にまで動き回る。相も変わらず凄まじい技量の舌技が繰り出され、サクは一瞬にして骨抜きにされてしまった。

 というか間違いなく子供に対するキスではない。しかしながら気持ちがいい。癖になりそうな感じがする。本当にありがとうございます。でも凄すぎて気を失いそうだからそろそろ止めてください何でもしますから。

 心の中でそう懇願するサクの顔は真っ赤になり、湯気が上がり始める。目の前で朝っぱらから繰り広げられる熱い行為に唖然としていたアイリスが、サクの限界に気づいて我に返った。



「ちょ、ちょっとカーラ! もういいでしょ! サクが気を失っちゃう!」


「あら~、ごめんなさ~い。つい体が動いちゃって~」


「あ……はは、おっぱい……、キス……」


「待っててサク、今水を――」



 限界近くまで発熱したサクを冷却するためにアイリスはテーブルにあった水差しからコップに水を注ぐ。しかしながら、その水がコップの半分ほどを満たしたところで水差しを傾けていた手が止まる。

 魔力的な物は感じられない。かといって特に異様な臭いもしない。それでも、騎士の1人としてアイリスはその水から何かを感じ取っていた。

 そして、昨晩この水を用意してくれた存在を思い出し、確信へと至ったアイリスは振り返ってサクが小さくなった現象を引き起こした犯人を問いただす。



「カーラ、もしかしてあんたが原因?」


「はい~。でも大丈夫ですよ~。有害なものではありませんから~」


「信じていいのよね?」


「もちろんです~。私がサクに危害を加えることは絶対にありませんよ~。淫らなことはしますが~」


「……分かった。信じてあげる。そろそろサクを下ろしてあげなさい。そのままでも限界超えちゃいそうだから」


「俺からも……、頼む」


「は~い」



 アイリスとサクの要求に応え、カーラは少し残念そうにしながらもサクを椅子の上へと下ろしてあげた。理想郷から解放されたサクは感慨深い顔でため息をついた。

 満足げなその様子にアイリスが気に入らないといった感じで唇を尖らせていると、再び扉が開いてハクが入ってくる。



「声がしたけどどうしたのって、あれ? サク?」


「……おお、ハクか」


「サクも小さくなれたの? どんな魔法?」


「魔法とかじゃないっぽいな。薬的なものか。アポトキシンか何かかな?」


「アポトキシンがどんなものかは知りませんが、これは私特製の薬です~。大丈夫、コップ一杯程度なら3日も経てば元に戻りますよ~」


「げ。結構長いな。ちなみにあの水差しに入ってるのを全部飲んでたらどれくらいの期間子供になるんだ?」


「一ヶ月ですね~」


「……飲まなくて良かった」



 今度は満足の意味を込めたものではなく、安堵の意味を込めた深いため息をついた。もし飲んでいた場合を考え、サクはぞっとした。

 沈み込むサクを元気づけるかのように、椅子の余っていた部分にハクが飛び乗ってきた。隣に座るとサクの方に体を傾けつつ、頭を優しく撫でてくれる。



「どんなになってもサクはサク。私の恋人だよ」


「おう。ありがとうな、ハク」


「えへへ、どういたしまして」



 幼い少年少女が触れ合うその光景を見て、思わず心をときめかせるアイリス。いつかはこんな可愛い子供たちが欲しいと、内に眠る母性がくすぐられていた。

 物思いにふけるアイリスの横で、カーラはその瞳を輝かせながらサクを見続けている。その異様に興奮した姿に、サクは問いかけてみる。



「カーラって子供、それも男の子が好きなのか?」


「はい~。大好きです~。そうでなくてもサクは好きですよ~」


「ありがとう。そうか、ショタ好きか……。待てよ、となるとまさか……」




 ここに来てサクは思い出した。カーラがエルフの里から追放された身であることを。

 ショタが好き。それも自らを抑えられなくなるほどに。それらのことからサクはカーラの追放理由がなんとなく分かってきてしまった。

 それが合っているかどうか確かめるべく、サクは苦笑いしながらカーラに問いかけてみた。



「カーラ、もし嫌だったら答えてくれなくていいけど、質問していいか?」


「はい~、どうぞ~」


「カーラの追放理由って、男の子にいけないことしちゃったから?」


「あらあら~、ばれちゃいましたか~。その通りです~」



 一切隠すことなく、カーラは答えてくれた。続けてほしいと言っていないのにも関わらず、フワフワとした雰囲気を崩すことなくその時のことを話してくれた。



「サクと会う少し前ですね~。里の周辺の森に1人の男の子が迷い込んできたんです~。とても可愛い子でした~」


「んで、どうしたんだ」


「最初に発見した私が森の外まで連れて行こうとしたんですが、どうしても欲求に耐えられませんでした~」


「ほうほう」


「人気のない場所にまで連れ込んで楽しんじゃいました~。男の子も最初こそ怖がってましたが、最後はとても気持ちよさそうにしてましたよ~」


「……オネショタとかうらやまけしから、じゃなくて、そりゃ追放されるわな。子供にそんなことしたら俺の世界でもお縄になっちまうぞ」


「つい出来心で~。男の子は無事に外に出られましたけど、すぐにばれて追放処分になっちゃいました~」


「自業自得だなー。……あー、ちくしょう、想像するんじゃなかった」



 追放理由を聞き終わったところでサクは内股になった。その男の子とカーラのお楽しみを想像したら大きくなってきてしまったからだ。

 フワフワの裏に潜む影。しかしながら、それは悪意のあるものではない。それを知ることができたのを嬉しく思いながらも、サクはムスコを押さえつけるのに四苦八苦していた。


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