020 人の皮を被った悪魔
(マーカス視点)
私は、セドリックマーカス。
PH社に入社してから40年が経過した。
研究に没頭して気が付けばマイクロマシン研究の第一人者になっていた。
国の資金を使い多くの結果を残していったが、シュミレータでの研究が限界になって来ていた。
研究の遅い進捗速度に比べて、速い速度で老化が進行していく自分を見て焦っていた。
人体には謎が多く、実際に人体実験しなければ先に進めない状態にまで来ていた。
そこに、工藤雫という研究員が入社してきた。
そこから、信じられない程の進展を迎える。
工藤が入社して最初に始めたことは、悪魔の所業であった。
実験結果が表にでない極秘プロジェクトなのを良いことに、今まで避けていた人体実験を容赦なく推進し大国の上層部を説得して可能にしてしまった。
シュミレータでの実験では結果が出るまで10年かかる内容が、倫理に反する人体実験により1年まで短縮し工藤が来てから脳にマイクロマシンを注入して脳の情報を取得する事に成功してしまった。
だが、まだ脳の情報の10%ほどしか取得できていない。
これは、被験者の血液に流されたマイクロマシンが、脳に達して脳の神経細胞と結合する際の苦痛が酷く被験者が発狂してしまう為だ。
苦痛を除去するため麻酔中に実験したが、その場合はマイクロマシンが上手く結合しない。
今日も被験者が14%で発狂してしまった。
その実験のたびに、二度とこの実験はすべきではないと思うのだが、このプロジェクトの先を生きている間に見たい自分の欲望が抑えられない。
悩む私に対して、工藤は恍惚な顔をして実験の進捗が上がるたびに笑うのだ。
工藤は壊れている。
人の皮を被った悪魔に見えるが、その悪魔の囁きに私の理性は負けてしまう。
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