018 開発再開
(データ視点)
雫との共同開発が出来なくなったが、遠隔操作で動かせる義体を手に入れたのは大きい進歩だ。
実態が存在しない仮想の身分に仮想の会社を作り、倉庫を借りて機材を揃えて開発を再開した。
まだ、義体に内蔵したバッテリーがあまり持たない為に数時間おきに充電が必要だが、同じ義体を作っていけば平行して作業が出来るので問題はない。
まずは、半年の時間をかけてプロトタイプの義体を三体作製した。
これにより、操作できるプロトタイプ義体が四体になった。
作業効率四倍と言いたところだが、開発の遅延は主に部品を外注にオーダーメードで出しているので、部品の納品の遅さだから組み立て作業は速くなったが、大きく進捗は変化しなかった。
表情の表現、運動速度、力、各部関節の動きの連動などが人間と同等以上の性能になり、遠隔用プロトタイプと並行して製作してきた義体は、最終段階を迎えていた。
遠隔操作ではなく、義体の中に私が入る事が最終目標だ。
現在の私の演算力や思考をそのまま義体に入れると頭の大きさが、野球のグランド並みの大きさになってしまう。現在の科学力では、最新の集積回路でもプロセスルールを12nm(12ナノメートル、1nmは1mmの100万分の1)トランジスター数は16億4000万個ほどしか入らない。人間の頭の大きさに収めるとすると最低でも六分の一であるプロセスルールを2nmまで下げれないと不可能だ。
こればかりは、物理的な要因が多いので宇宙開発などで真空で無重力下の集積回路の生産など人間の進化が必要かもしれない。
そこで、決断したのが馬鹿な私を義体に移すことである。
人間として最低限の活動ができる処理能力と知識と経験さえあればよいのだ。
処理速度が間に合わない際には、遠隔で処理を外部に投げる形を取れるように改良して義体の中に私を入れていく。
そして、月日が流れていく。
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