015 決断
(データ視点)
元桑原義肢製作所へ戻り、破損したパーツと顔の人工皮膚と人工繊維を修復した。
しかし、困ったことになった。
通信ログを調べると、消去した大柄の女性が持っていた端末から大国に私の情報が送られてしまったようだ。
一旦、身を隠す必要性を感じた。
まだ、明け方迄は時間があるので非常用に用意していた倉庫へ盗難したトラックを利用して、第三工作室の荷物と最低限の資材を移動した。
義体のバッテリーが4時間ほどしか持たなかった為に時間との闘いであった。
なんとか、主要モジュールも運び終わり元桑原義肢製作所へ火を放って撤収する。
すでに明け方近くになっていた。
製作所に対する消火活動が遅れるように周囲の通信を全て妨害して全焼するように仕向けた。
セキュリティ的に撮影された私が映っているカメラ画像を全て加工し、盗難したトラックも元に戻し痕跡を全て消し去った。
次の日に警察と消防の情報を調べると、私に関する疑惑は全くないようだが、大国の外交官が轢かれたエイジェントの対応と建物の中に残された証拠の処理対応に追われている。
病院に運ばれた雫は、意識を取り戻して警察の調書を受けている。
せっかく順調だった雫との共同開発だった義体の開発が頓挫した事になる。
最後まで雫と一緒に開発したかったが、情報が漏れてしまった大国の事を考えると、桑原の事もあるので雫が巻き込まれる可能性が高く危険である。
今後、大国に対して注意が必要だが雫を巻き込まなければたいした問題でもない。
最後に雫に挨拶に行ったら、後は一人で……
これが別れる時の寂しさと言うものなのだろうか?
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