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013 戦闘と削除

(データ視点)

 雫が捕まっている建物の入口へ移動する。


 建物の入口はカード解除式の鍵がかかっていたが、私にはアナログなロックではないのであれば、意味はない。

 この建物は、私が世界中でサポートしているセキュリティシステムを使用しているため私の一部と言える。

 安易にセキュリティシステムに侵入して、ドアの施錠を解除して中に入る。

 中に入ると一人の男が立っていた。


「な? 誰だ!」


 警備員のような服装の大柄の男が立っていた。

 既に大国から日本に入っている外人は調査済みだ。

 ジョンスミスと言うコードネームのリーダーの下に九人の部下がいる。

 まだ、本国へ桑原から得た情報や調査結果を送信していないのも確認している。

 十人を削除して、未提出の調査結果を隠滅し雫を助ければ、元どおり雫と開発に戻れると考えていた。


 目の前の男は、部下の一人で削除対象だった。

 男が私に攻撃するために警棒を振り上げた。


 攻撃を無視して最適化した最小の動きで男の懐に入った。

 全ての関節のモーターを利用して加速した拳を男の顎に当てる。


 ゴキュリ!


 男の首が百八十度回って後ろが正面になる。

 頸髄損傷で呼吸が止まっていた。

 10分ほど眺めて脳細胞が酸欠で障害を受けていき、心臓が停止するのを確認してから移動を開始する。


 人間の記憶の消去は安易である。

 心臓を数分止めるだけで脳のデータに障害が発生する。

 逆にネットの世界でデータ削除は大変である。

 広大なネット空間で保存媒体を探し出し、その記憶領域に同じ容量以上の書き込みして書き変えねば消えないのだ。


 雫を拉致した為か、日本に来ている残り九人がこの建物に全員いる事を確認している。

 逆に外国の関係者以外は、この建物にいなかった。

 二箇所ある出口のセキュリティーロックを掛けて逃げれないようにした。


 雫がいるのが三階である。

 一階と二階に五人の削除対象人物がいたので、全員打撃で襲いかかり心停止を確認し脳の記憶を削除した。

 人間は脆く、接近して首をひねると簡単に心臓と呼吸が止まる。


 三階へたどり着くと何か金属を削る音が響いていた。


 キーーン!

 バリバリ!


 雫が閉じ込められている部屋の前でドアを電動切削器具で、切断している二人組がいた。

 内部のカメラ画像に細工をして中には誰もいないように外部から見えていたはずだが、既に逃げられたとは思わなかったようだ。

 この建物は穴だらけのセキュリティーだが、人間達はそうは思わなかったと言う事か?

 まさかドアを破壊して内部を調べると思っていなかったので、間に合ってよかった。


 接近すると、ドアを半分ほど切断したところで私の気配に気が付いた二人がこちらを見る。


「だ、誰?」


「見ない顔だな? 下の階のメンバーはどうした?」


「初めまして。データと言います」


 自己紹介の練習は、していたが少し緊張する。

 うまく伝わったのだろうか?


 二人は大柄な女性と小柄の男性であった。

 電動切削器具を持っていた小柄の男性が、器具を投げ捨てて懐から拳銃を取り出して私に対して構えた。


「お前がデータか? リーダーから聞いている。手を挙げて地面に伏せろ」


 男が私に無意味な警告をしてきた。


 女性の手に通信機器の様な物があった。

 連絡を取られると困るので、早めに削除しなくてはいけない。


 男性の警告を無視して二人に走りこんだ。


 プッシュ!プッシュ!


 サイレンサーが付いているのか乾いた小さな音と共に私の体に銃弾が当たるが、二人の横に着くと男性の銃をつかんで奪い取り男性の顔に向けて発射した。

 男性が痙攣して動かくなる。


 女性が驚いたような顔をしていたが、手に持った通信機器のボタンを押すと建物全体にサイレンが鳴った。

 通信機器を捨てると女性も懐から拳銃と取り出してこちらに構えている。


「防弾チョッキか? 銃に撃たれて何故平気なんだ? え? 人間じゃない!?」


 監視カメラで私が操作している義体を見ると、2発ほど弾丸を打ち込まれ一発は腹部で特に機能障害が起きる被害ではなかったが、もう一発が顔面に当たったために目の下から耳にかけての人工皮膚と表情を作る為の伸縮繊維が剥げて下の骨組みが見えていた。


 最低でも顔など服などで隠せない部位は今後注意して防御すべきだと考えながら、大柄な女性に接近して首を絞める。


「な、なんて力!」


 プッシュ!プッシュ!プッシュ!……


 私に首を絞められて持ち上がりながら、手に持った拳銃で私を撃ち続けるが気を失ったようだ。

 口から泡を吹いて気絶いるが、いまだ心臓が動いている。

 服に複数の銃痕の穴が開いてしまった。


 先に雫が気になる為、首を締めていた女性を放置して雫のいる部屋のセキュリティーを解除して中に入る。


 雫が椅子に縛られたまま排泄物を垂れ流して下を向いて座っていた。


「データです。雫、迎えに来ました」


「……。」


 反応がないので接近して確かめると、かなり衰弱して気絶している。

 かなり危険な状態である。


 まだ、三人ほど削除しなくてはいけないが、雫の命がこのままだと危ない。

 椅子から雫を外すと、肩にかついで部屋をでる。


 落ちている小柄の男の拳銃を拾うと気絶している女性に撃ちこんでから、心停止を確認して一階へ目指して移動した。

 これであとの削除対象は、二人である。


 一階に到着すると、開かない出口を必死に開けようとしている一人に出会った。

 先ほどのサイレンで建物の異常を察知して、逃げようとしたのだろう。


「お前は、何者なんだ! 何が目的が!」


 私に気が付いて叫ぶ男の横には、入ってきたときに削除した、首が百八十度曲がった警備員の姿をした男が倒れていた。

 雫を医療施設に速やかに運びたいので無視してドアのセキュリティーを解除したところ、いきなり開いたドアに歓喜して男が建物をでると、私から逃げるためなのか道路に飛び出した。


 キーーー! ドカ!


 男が走って来たトラックに轢かれたようだ。

 トラックの前輪の下に男の身体が見えた。


 緊急ラインで救急車を呼びだして、事故で驚いているトラックから降りてきた運転手に雫を渡した。

 これから、救急車や警察がこの一帯に来るはずである。


 まだ、建物の4階にリーダーの最後の一人のスミスがいるはずだが、服には銃痕が何箇所も空いていて、顔の一部の外装が人間に見えない状態のため削除後の脱出がリスクを伴う。


 今回のスミスの削除は延期して、逃げるようにその場を離れて元桑原研究所へ破損した顔を隠しながら戻った。


※低い評価(5:5ではなく1:1)でも連載の力になります。

連載継続の為に、評価とブックマークをお願いします。


※作者多忙の為、誤字修正に力を避けません。誤字修正大歓迎!遠慮なく申し込んでください。

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