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011 深夜の徘徊

(データ視点)

 二十三時を回ると、元桑原義肢製作所と外人の所員が全員帰宅した。


 最後の帰宅者が、製作所のセキュリティロックを掛けたのを確認した後で、データこと私がプロトタイプの全身義体を操作して第三工作所を抜け出した。


 第五工作所に、頭の人工頭皮や人工の髪の毛に関する制作を行なっている場所があるので、そこを目指した。


 たどり着くと、目的のカツラと言う偽装装備があったので装着した。


 その後に事務所に過去に桑原が作業着と背広などを着替えている記録が残っていたので、使用していた背広などの服が残されていると思われる場所に移動した。


 桑原が消えてからも誰も触っていなかったようで桑原の私物は全て残されていた。

 漁って見ると背広一式と下着と革靴を発見した。

 裸で外に出る訳にもいけないので助かった。


 服を着ると言う行為が、初めてで大変時間がかかった。


「腕を一本入れたら、次の腕はこの関節の稼働では、はいらない? 関節可動域は人間と同じように設計したのだが……」


 腕の関節の可動範囲に問題がある事がわかった。

 工夫して服を床に敷いてから腕を通すと、着る事が出来た。

 服のサイズは、少し小さいようだ。


 服によって義体の継ぎ目や、入力出力端子を刺すための場所が見えなくなった。

 これで外見は、人間とほぼ同じはずである。

 私に関する製作所のセキュリティシステムに残された情報を削除してから、革靴を履いて外へ出発した。


 全てが新鮮でワクワクすると言う気分を味わう。

 義眼の中にあるカメラの解像度が低い気がする。

 光学倍率4倍ほどで、画質が極端に劣化する。

 床と違って凹凸がある道路歩行時の義体の作動も重心が安定せず少し納得が行かないが、関節の稼働範囲と込みで今後修正していこう。

 遠隔操作の為にコンマの世界だが、通信速度遅延(ラグ)も感じられて身体が重い気がする。


 タクシーを拾って目的の雫がいた建物を目指す。

 人間同様に道路で手を挙げていると、タクシーが停車した。


 乗り込むと目的地を告げて外の景色を眺める。

 運転手が私をバックミラーでチラチラ見るので気になる。

 タクシードライバーとは、こう言うものなのだろうか?

 私の外見に対する人間の感想が気になる。

 聞くのが早いか?


「私になにか変な所がありますか?」


「あ! すみません気になりましたか? 今年で20年目のタクシードライバーです。色々な人を見てきましたが貴方のように美しい人を見たのが初めてですみません」


「美しい?」


「失礼ですが、モデルさんでしょうか? そうであれば写真集を買いたくなってしまいます」


 これはお世辞と言う奴なのだろうか?

 私の顔が美しいと言う表現に当てはまると言う事か?


 今の私の姿は、桑原の背広上下一式にワイシャツと少しきついが桑原の革靴。

 第五工作所にあった、長髪のカツラを装備している。

 顔に関しては人間で言う美的センスが、各国で異なる為によくわからない。

 例えに使用された写真集は、女性の物が多いので女性のように見えたのだろうか?

 女性は髪が長い人物が多いので長髪のカツラが要因だろうか?


 人間じゃないと思われなかっただけ、義体の完成度は高かったと考えて安心した。


 目的地に到着すると支払いが必要になった。

 タクシーの支払いが電子マネー対応との事で、ポケットから電子マネーのカードを取り出す演技をして、カード読み取り機に手をかざした。

 既に外の世界に出る為の準備で作っておいた電子マネーカードIDに対する入金は済ましてある為に、カードを当てている真似をして手に内臓してある無接触式のデータ送受信で支払いを済ませた。


 念のために出来る限り私の行動の記録は、削除しておこう。

 去っていくタクシーの機体番号を確認して、裏からネット経由で残っている支払い情報や画像を削除した。


 全て予定通りで怪しまれずに目的地へ到着した。

 満足した為に、表情がにやける表現をしてみる。

 表情が表現できるように顔には多くの電気によって伸縮する繊維を組み込んでいる。


 さて、雫を取り戻して早く次の開発に戻ろう。


※低い評価(5:5ではなく1:1)でも連載の力になります。

連載継続の為に、評価とブックマークをお願いします。


※作者多忙の為、誤字修正に力を避けません。誤字修正大歓迎!遠慮なく申し込んでください。

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