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只今彼女攻略中  作者: 塩味さとう
3/3

只今彼は策略中

南北高校。お嬢様たちばかりが通っている、有名な女子校だ。今日もたくさんの生徒が立派な淑女になるために、様々な授業を受けていた。

その中でも「姫」と称えられていたのが


姫路愛生である。


品行方正で愛らしく、誰もが振り向く絶世の美少女。高校1年生にして学校の頂点に立っている姫路は、朝から


「ななこちゃああああああん!」


爆走していた。


「は?」


某ボルトもびっくりである。

教室にスライディングしながら入ってきた姫路は、松山(まつやま)菜々(ななこ)に話しかける。


「どうしt」


「遂に告白してきたんだ!八王子さんのあの苦笑い、本当にお美しかったよ!特にあのサラサラヘア。まるでシルクのようでさ、()どうしようかと思ったよ」


「はいはい、落ち着いて。」


松山は、頬を紅潮させた姫路を見る。

本当に黙っていれば美少女なのに。世の中、天は二物を与えると言うが、性格の方はどうにかできなかったのだろうか。


「で、付き合うことは出来たの?」


「ううん」


「は?じゃあ振られたの?...にしては元気だけど」


「振られても無いけど...俺の想いと携帯番号、メアドが書かれた手紙も渡して来た!」


はぁ。こいつは馬鹿なのだろうか。そんなんじゃ振り向く訳がないだろう。たとえ、相手が男装(・・)した女子(・・)だとしても。


「あんたね…そんなんじゃ、振り向くもんも振り向かないわよ?」


「大丈夫!じわじわ外堀を固めて、彼女を攻略する。...片想い、何年目だと思ってんだよ。これくらい乗り越えなきゃね」


じっと姫路を見つめる。


(・・・まあ、そのためにここまでしてんだものね…)


溜息をつく松山。

きっと、こいつはどんな手を使っても彼女を自分のものにするのだろう。

そんなの、


「 」


「なんか言った?」


「はぁ...言ったわよ。大馬鹿野郎だってね。」


「はぁ!?どこがだよ!俺くらい美少女はそう

s」


「あ、姫路さん?ちょっとよろしいですか?」


「はい、なんでしょうか。」


クラスメイトに呼ばれ、去っていく姫路。姫路が通ると生徒たちが赤らめていた。

窓の外を見る。相変わらず、変わり身の早くて腹黒いやつだ。


「ま、そこがいいんだけど…」





姫路愛生。どこぞの八王子と違い、女装(・・)して女子校に通っている、紛うことなき男子である。

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