プロローグ
初投稿です。生暖かい目で見てください。量は少なめです。
「付き合って下さい!」
「ぱ、ぱーどぅん?」
八王子純がそう言うのも無理はなかった。たとえ、告白してきた相手が絶世の美少女だったとしても。
「や、やっぱり迷惑でしたよね…他校の生徒だし...」
「いやいやいや、そういうわけじゃなくてさ」
そう。そういうわけではない。誰しも美少女に告白される事は嬉しいだろうし、大体、八王子はよく他校の生徒に告白される。
「ただ...」
「...ただ?」
そこまで言ったはいいが、口をつぐんでしまう。相手のビー玉のように透き通った眼が不安気に揺れていた。まるで雨に濡れた仔犬だ。でも言わなければ、きっと、いや絶対、相手を傷つけると分かっているのに。
「君に告白された事は本当に嬉しいんだけど...わた」
「あ、もしかしてたまにお友達をストーキングするのが減ってしまうから心配なさってます?大丈夫ですよ?世の中には盗聴器やGPSなど、様々なシロモノがあるんですよ。私も今、現在進行形で使わせていただいてます!これなんかどうでしょうか?見た目もさることながら、機能面でもピカイチでして...それともあのことでしょうか。安心して下さいね!私は、貴女がどんな趣味、嗜好、性癖を持っていたとしとも愛し続けますから。今の時代、そういう方々はたくさんいますし...案外近くにいるもんですしね。まあ、特に私なら八王子さんの一番の理解者に慣れますよ?どうです?ですますございます?」
「いや、そうじゃなくて...んんん!?」
なんで知ってるんだ。前言撤回。この告白は嬉しさも何もない。あるのはストーカー臭漂う会話と自身の(少々)アブノーマルな話だけ。
(どうしようか...)
にこにこ微笑んでいる目の前の美少女を見ると、思わず心の中で溜息をつく。どうやら相手は1枚も2枚も上手らしい。逃げることは無理だろう。
再び溜息をつく。
今度は相手の前でするが嫌な顔すらせず、寧ろ喜んでいるようだ。
東西高校一年二組。イケメン、成績優秀、スポーツ万能。学校の「王子様」の名をほしいままにしている八王子純。
だが、彼女は紛うことなき女子である。