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You may have to fight a battle more than once to win it.


後の歴史で永禄の飢饉と呼ばれる大飢饉が起こった。

南部領ではその対策として貯蔵をしてきたが、近年南部家に下った旧戸沢、小野寺、百合領では貯蔵が出来ず、なけなしの食べ物も戦によって取り上げられていた。

下って直ぐに豆を植えるように命じたため直ぐにどうこうなる訳では無いが、不安は感じているだろう。

また、斯波、稗貫、和賀、阿曽沼と、外部の食料事情も危ないだろう。

少なくとも2度は戦が起きると見ている。

《勝つためには、一度ならず戦わなければならないこともある。》

ここでの戦は避けられないだろう。



※※※※※



飢饉が起こる前、戸沢、小野寺、由利連合と戦っている最中。俺は農地改革を進めていた。

幼い頃に行った米の生産を増やすことだ。

領地が広がるに連れて、少しづつ生産範囲を増やしていたのだが、今だ九戸領内だけだった。

だが、思い切って元の南部領全土でやることにした。

それまで麦を育てていたところでも育て、米の生産量が爆発的に増えた。

戦場はもっぱら領外。田畑が荒らされることも無く、日照りや冷害に襲われずに豊作だった。

その為、消費量の倍以上が残り、貯蔵に余裕が出来た。

このことにより、城主の中にいた不穏分子は大人しくなり、南部領の足元は安定した。

今だ不穏な動きを見せている安東領には広めていないが、戸沢、小野寺、由利の制圧が終わり、茂季が当主となれば安定するだろうし、時期を見て広めるだろう。

あまり貧富の差を作るわけには行かないため、気付かれないぐらいに年貢が重くなっている。

それでも余裕を持って生きていけるぐらいには豊かになった。



※※※※※



実際に斯波、和賀連合に旧戸沢領が狙われた。

稗貫、阿曽沼は未だ戦に参加出来るほど落ち着いて無いようだ。


兵の心情を考慮した消極的な攻撃をやめ、安東に攻め入る。しかし粘り強く耐えてきたため、斯波、和賀連合に戸沢領を攻められてしまった。

戸沢領に残してあった軍が何とか撃退したものの、予断は許されない状況だ。

物質を現地で集めたため、これ以上の消費は一揆の下火になってしまう。

迅速に助けなければ、これからの支配が大変になる。



※※※※※



急いで、俺が軍を率いて戸沢領に入る。

現地の者も雇い入れ、戦働きさせる。

戦で食い扶持を稼げるようにするためだ。

輜重は遅いため、置いてきたが、後からたくさんの食料を持ってきてくれるだろう。


「敵は飢饉で弱っている。そこで徹底して輜重を潰す。これでこれ以上はそこまで被害も出ずに勝てるだろう」


「はっ。別働隊を組ませます」


「ああ。細かいところは任せる」


部下に別働隊を任せ、俺は陣を構える。


戸沢領の東側中部に陣を置き、北から別働隊を攻めさせる。

相手は無茶な攻め方をしていて、統一されていない。


「おかしい」


「何が、でしょうか?」


先日の戦ではしっかりと統一されており、組織だった動きをしていた。しかし、今回は攻めるのがバラバラだ。それも、戸沢領を攻めている部隊だけでもだ。

こんなに近くでも統一されていない。

今までとはあまりにも違い過ぎる。



1カ月が経った。

激しい迎撃戦が終わり、撤退に追いやった。

相手は飢饉で後がないのか、被害を無視した力押しをしてきたのだ。

安東領でも抵抗が強まり、一戸家に最上も攻めてきた。


攻めてくる順番がバラバラで、対処が楽だ。

相手は情報が上手く伝わっていないのか、遅れているのか、あまりにもおかしい。

しかし、俺はこんな指示はしていない。

一体誰がこんなことを。


味方なのは確かだ。

敵ならばこんな辺境を助ける意味がない。

それに漁夫の利を得れば良いのだ。



※※※※※



俺が安東領を離れてすぐ、安東家当主になった茂季が反乱軍の放った矢を擦り、それが原因で高熱を患ったと報告が上がった。どうやら毒が塗られていたようだ。

幸い3日で収まり、既に現場に復帰しているようだ。



※※※※※



安東領制圧完了の知らせが届いた。

既に一戸家への援軍に向かっているとのことだ。

茂季が復帰してから直ぐに制圧が終わったみたいだ。

貸してあった忍者部隊も数人以外は帰還した。



※※※※※



「報告があります。殿」


忍者頭が陣中に来た。

茂季のところに残って指揮をしていた頭の息子もいる。


「して、何用か?」


下げていた頭を更に下げ、


「どうやら、茂季様に妖魔が宿ったかも知れません」


1話から3話を変更しました。

話の流れは変わってません。

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