Step by step. I can’t see any other way of accomplishing anything.
戸沢、小野寺、由利連合軍との小競り合いが続いた。
近年、内政を重視し、消極化していたため、連合軍が調子に乗り出した。
内政もまとまりをみせ、安定し始めたので、攻勢に出ることを決めた。
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弘治3年(1557)
亀ヶ森図書光広をそそのかし、稗貫氏を叛乱させる。
葛西氏の協力を得た阿曽沼氏が、家老の宇夫方氏を襲撃して没落させ、遠野の領主として集権化に成功する。
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同年 春
俺を大将にし、安東家の茂李を副将におく。
「安東茂李。ただ今見参しました」
妻の愛李の弟。つまり俺の義弟だ。
「今回は軍を2つに別けることもある。そのときの指揮はお前に任せることになる。初陣になるが良き結果になることを期待している」
1度下がらせ、
「調略はどこまで進んだ?」
予てより進めてあった調略の結果を忍者より聞く。
安東家と親交があった由利領の赤尾津氏は裏切りを約束しているし、その伝手を辿り、いくつかの城主も裏切らせている。
戸沢は近いのもあって、重要なところは既にこちら寄りである。
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軍を進める。
調略済みの城も多く、背後を突かせるなどして、味方を信じられなくさせ、孤立したところを伐つ。
戸沢の中央で、連合軍と相見えるときには既に相手はぼろぼろ。
南部軍は快進撃を続けた。
戸沢全土を取ったとき、斯波、稗貫、和賀、阿曽沼が怪しい動きを見せ始めた。
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「殿、殿」
本陣で休んでいると部下が入ってきた。
「どうした。そんなにも慌てて」
「それが、斯波、稗貫、和賀、阿曽沼が兵を動かしました。九戸領に侵入したとのこと。政栄殿が応戦しているとのことです」
留守は政栄に任せてある。十分な兵を残してあるし、津軽や安東にはかなりの兵がいる。最悪それを動かせば良いだろう。
「兵は残してある。問題ないだろう」
「それが・・・恐れながら、南家が内通していた様で、撃退が難しいかと」
「津軽、安東は?」
「手が空いてはいますが、今の前線ではこちらが向かったほうが早いかと」
「そうか。・・・・・・ならば半分に別けて向かおう。こちらは義弟に任せる。茂李を呼べ」
「はっ」
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「茂李よ。軍を半分に別け指揮をせよ。俺はもう半分を率いて斯波、稗貫、和賀、阿曽沼連合を叩く。お前はここで小野寺、由利を制圧せよ」
「はっ。分かりました」
俺は半分を率いて直ぐに発つ。
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「殿!安東領で反乱が」
斯波、稗貫、和賀、阿曽沼連合と開戦した直後、不穏な報告が飛び込んできた。
「どういうことだ!あまりにもタイミングが悪い」
「はっ。それが、最上の手かもしれませぬ」
「どういうことだ」
最上が不穏な行動をしているとは聞いていない。
「どうやら最上の僧。いえ、僧のフリをした最上家の手のものが安東家に近づいていたようで。最上の暗躍かと思われます。南家も同じかと」
「そうか。だがもう過ぎたこと。早急に対処するぞ。とにかく安東は津軽に圧をかけてもらう。それと茂李を帰還させる。話した限り、奴は裏切ってはいないだろう。これで裏切っていたらどうにもならん。背後を取られないようにするためにも帰らせる」
「ですが。それではせっかく取った小野寺、由利領は?」
「今回は緊急時だ。こちらに付いた城主に暫しの間耐え抜いてもらう。ここの制圧は3ヶ月もかからないだろう。斯波、稗貫、和賀、阿曽沼連合軍を撃退した後、俺が直々に助けに行く。文を書く用意をしろ」
茂李とこちらに付いた城主に今回のことで文を書き届ける。
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茂季に兵を引かせると、小野寺、由利連合が攻勢に出る。
一番近かった城主が降伏の意を見せるが聞かず、晒首にした。
その一件により、こちらに付いた城主は決死の思いで耐え抜くことを決意した。
また、仲間間での連絡を密にして、絶対に裏切りを出さないようにした。
そして、伝手を頼り懐柔し、裏切りを起こさせることで3ケ月間耐え抜くことに成功する。
その時には俺も斯波、稗貫、和賀、阿曽沼連合軍を撃退し、戻って来れた。
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安東領では、安東家当主が率いる反乱軍と茂季率いる討伐軍が交戦していた。
両軍の規模は同等だが、身内がいりみだっているために混沌と化している。
両者士気が上がらず、にらみ合うだけ。
時が流れ、互いに無駄に時間を使った。
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永禄年中(1558)
九戸家にそそのかされ、今度は大迫氏が稗貫氏に叛いた。
先の対戦で大敗を決した小野寺家と由利家は城主を抑えるだけの力を失い、これ以上は自身の身の危険を感じるため裏切られて殺される前に南部家に下った。南部家はこれにより、羽後を全て支配下に置いた。
斯波、稗貫、和賀、阿曽沼連合は稗貫の混乱によって足並みが揃わず、攻勢に出たくても出られない状況が続く。
この機会に俺は軍を反転させ、安東領制圧に向かう。
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「殿、もうすぐで安東領に入ります。自軍営は東側に陣取っています。まずは、茂季様と合流を」
「ああ。成果はどうなっている?」
「はっ。やはり東側は一体は影響力も強く全て味方しておりますが、西側は一部の城主のみとなっております。
安東家当主に従う者も多く、東側でも油断ならない状況が続いています。当主も茂季様も似たような状況に置かれており、両者背後を気を付けていて攻勢に出れない様です」
「そうか。北を津軽、東を茂季、南を俺で囲むことにしよう。ひとまずは合流するが、今のうちに津軽に文を届けておこう」
軍を進め、自軍営を目指す。
「《どんなことでも、何かを達成する場合にとるべき方法はただひとつ、一歩ずつ着実に立ち向かうことだ。これ以外に方法はない。》」
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永禄2年(1559年)
永禄の飢饉が起きる。