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Time is money.

安東領を呑み込むことに成功したため、内部の、足下を固めることを優先した。

先日、戸沢、小野寺、由利連合軍が旧安東領を攻めてきた。安東との大戦直ぐだったため、過剰物質を有効活用して優位に戦をすることが出来たが、一度領内に戻り、軍を解散していたら被害は少なくは無かっただろう。

今回、旧安東領の民を守って見せれたことはこれからの統治が少しでもやりやすくなっただろうし、お互いに敵同士だった状態が、一緒に外敵と戦ったことで協調も出来ることを証明した。

今回の戦はかなり益があった。



※※※※※



先ず、先までの戦で目立った成果を挙げた者を表彰した。

百姓だった者にもそれぞれが望んでいる、武士に上げる、米を与えるなどのことで報酬とした。


「八戸政栄。おぬしを我が軍師に正式に任命する」


対安東の戦で最高勲章者は彼だ。

相手より少ない人数で籠城し、相手を上手く動かして被害無く守り切ったのだ。

地位の他に、領地も与えた。

城に代官を置かせ、本人は三戸城にて俺の補佐をさせるが。


※※※※※



大がかりな治水を決行する。

洪水がよく起こると報告を受ける大川と支川の合流点をダムのように、一定量溜めて置けるように広げた。生活圏近くの川から農業用に小さい用水路を繋げてきた。


治水の工事は最初は賦役でやるつもりだったが、全然進まない。工事する側にやる気がないのだ。しかも道具が悪い。九戸の鉱山で使っている改良したつるはしや、鋤、シャベルなどを使うようにする。

また、いたしかたなく銭を払うことにした。


「殿、賦役に銭を払うなど前例を聞いたことがありませんよ!」


「だがな、ここまでやる気がないのは困るのだよ。今は一応戦時中。安東の方では今も戦っている。ぐずぐず進めてスキを作る訳には行かない。銭を払い、競争させることで短時間で終わらせる。これで出来た時間はまた別のことで使えるのだ」


「殿がときどき呟いてる。《時は金なり》って言う訳ですね」


「そうだ。直ぐに賦役の人々を集めてくれ」


あまりにも治水の工事が進まなかったため、現地視察に来ていた俺は、賦役の人々の前に立ち、


「百姓よ。何故そんなにもやる気を出さぬ?」


「はは~。殿様、そうは言われてもわちきら、無理矢理働かされて、それはもう」


「そうか、ならば成果によって銭を払おう」


「それは誠ですか?ならば皆もやる気を出すでしょう」


「村長、村長。わちきら銭貰っても…それなら米、欲しいっす」


「なるほど。ならば報酬は銭にあった米を払おう」


「ありがたや~」


「他の村と競争させる。1つの村を1つのグループとし、人数によって決められた範囲を掘って貰う。一番早く報告にきて、完成と判断されたなら、そこは褒美として5文ほど加えて与える。しかし、最初に終わったところより一日以上遅れたらそれぞれ1文づつ減給だ。また、報告して、完成していなかった場合も同じだ。」


「して、日にいくらほど貰えるのですか?」


「日給8文。どれくらいかは村長にでも聞け。俺は他にも言ってくる。工事は明日からだ。解散」


馬を走らせ、次々と村を渡る。


先日までの様子が嘘みたいに活気付いている。


「殿!これなら予定に間に合いそうです」


部下が嬉しそうに報告しに来てくれた。


最初と最後に終わるグループに大差が無く、ほぼ一緒に終わった。報酬も払い、水を流す。


後日、この治水のことが大きく広まった。


また、住宅団地では上下水路を作り、衛生面の呼びかけもする。


川には水車を付け、収穫した小麦をここで粉に出来るようにした。これまでは人力でやっていたが、これで手も暇がかなり減った。



※※※※※



これまでの間にも、戸沢、小野寺、由利連合軍が何度か攻めてきたが、こちらからは少量の兵を送るだけで、安東側で追い払ってくれた。

小競り合いが主で、本腰を入れてくることは無かった。


相手は連合軍というのもあって、付け入るスキも多い。何しろ、敵対している勢力が合わさっているときもあるほどだ。



※※※※※



安東家の伝手を利用して、中央との交易を大々的に始めた。

こちらが主に輸出するのは上質な塩だ。代わり米を輸入している。

堺の小規模の商店と連携し、堺に経済の拠点を置くことに成功した。

ここはあまり特産品が無く、金になるものが少ない。これも今後の課題となる。



※※※※※



農機具改革を進める。

九戸領内で実験としてやっていた開墾用の三本鋤や牛馬用の長鋤の装備などが成功したので、領内全部で行うことにした。新農具は貸し出し式にしている。

治水の時に使った道具もあり、百姓たちは実際に有用さを実感しているので広まるのも早かった。

これによって効率も上がり、少しずつだが石高が多くなってきている。

牛馬を使った開墾も推奨し、戦がないときは馬を貸し出すこともしばしば。



※※※※※



安東領の視察で港に寄ったとき、唐船が来ていた。

中央との貿易は把握していたが、唐との貿易は報告されてなかった。不穏分子はまだくすぶっているようだ。


唐船の積み荷を調べるが、普通だった。

責任者にこれからは報告の義務を負わせ、ここの視察は終える。


まだ、ここら辺では大型船が製造されてないようだ。

ガレオン船でも作らせようかな。



※※※※※



造船の案をまとめて、九戸の港の棟梁に渡した。

2年を目処に大型船の造船をさせようと考えている。


役人による視察もあらかた終わり、紙にまとめて提出してもらった。


紙も、繊維から作ることに成功し、女性を労働力として活用せざる負えない状況だ。

人手が足りず、領内全土に広げたくても広げれない状況が続く。


出産時の致死率や、乳児の致死率は今だ変わらないが、全体の致死率は衛生管理をしっかりし、上下水路を完備したことでかなり減少出来た。


年貢も他領と比べると低い為、他所からの移民が少しずつ増えている。



※※※※※



九戸領の鉱山近くで高炉を作る。情勢が安定して大規模に改変する時間が出来たのだ。幸いなことに日本は全体的に山が多くその中には多くの鉱山がある。八戸には石灰石が多く取れる場所もあるし、露天掘りをすれば大量に取れる。技術的に効率が悪ければ従来の掘り方でも採算が取れるぐらいにはある。鉄鉱石もいくつかの鉱山から取れるし、金も取れる。何人かには国内を歩き渡ってもらい、鉱山を探してもらっている。


この場合の高炉とは、鉄鉱石、コークス、石灰石を使い高温還元を行う炉で同時にコークス炉と鉄鉱石の焼結を行う大型単発であり、高炉の連続式ではない。

名称がいろいろ多いので、高温還元炉と呼ぶことにした。

だいたい多々良炉の半分の時間で鉄の還元が可能となる。冷やすのは同じぐらいの時間が必要になるが、生産性は三倍位になるだろう。

基本は溶鉱炉だが多目的に使える小型高炉だと思えば良い、この手の奴はメンテナンスが大変だ。耐火煉瓦の取り替えなどを……しかし、耐火粘土も久慈鉱山で採れるためなんとかなるだろう。


「高炉ですか?」


鉱山を実質的に運営している部下に話を通す。


「ああ、高炉とは今までと同じくらいの燃料でたくさんの鉄をつくれるようにし、効率を上げるものだ」


「よく分かりませんが、作ることが出来るのでしょうか?」


「大丈夫だ。作り方はここにまとめてある。九戸には既存の多々良炉があるから、それを利用する。」


これがたくさんできると鉄の生産量で日本のトップに躍り出れる。鉄鉱石と銑鉄では値段が全然違う。さらに銑鉄を玉鋼にして出荷すればかなり儲かる。これを特産の1つとして堺で売れば、需要は高いだろうからかなり潤うだろう。

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