Your idea sounds marvelous in theory, yet I don't think it will work in practice.
催芽(発芽)を終え種まき準備完了となった種籾が揃ったので、次の工程である播種作業を行った。
準備していた土地を使う。そこへ種籾を均一に並べていく。ここで苗を育てその後、田んぼに移すのだ。
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戦続きで食料が減り、南部領内でも争いが起こった。
その余波はこちらまで響き、近隣でも争いが起こった。
父上は速やかに制圧、併合を終える。
これで九戸領が少し増えた。
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苗が育つまでの間に田植えを行うための田んぼの準備に取り掛かった。
次は田植えで一番大事なことを行う。
田植えを入念に行うか、否かで収穫量が大きく変わってしまうのだ。
苗に安心して手を抜いた為に収穫量が減ってしまっては意味がない。
田んぼの端から端まで伸ばせられる長い縄を用意させた。
そして一定間隔で植える場所を決めるため、間隔を取って、藁を結びつける。現代ではペン等でマークすれば良いが、今は持ってない。
こうする事で、植えると縦横が均一になる仕組みだ。
縦横が均一になることで収穫量は格段に上がる。
その理由として、日光が十分にあたり、空気が通りやすくなり、雑草や害虫を取り除きやすいという利点があるからだ。
田植えが終われば後は肥料の散布と、除草作業だけになる。
肥料には土、動物の内臓、骨粉、腐った肉、腐った野菜を混ぜて作った発酵肥料だ。
どれぐらい使用し、何度散布するかは田んぼによって変わり、経験が必要になる。最初は俺も見るつもりだ。
田植えの次に労力を要するのは除草作業だ。しかも過酷な労働を強いられる割に、成果が目に見えにくい。やる気が継続しにくいのだ。
そこで草取り機を用意した。稲と稲の間を転がして、田んぼの中に生えている雑草を根こそぎ引っこ抜く、今の技術で作れる優秀な草取り機だ。これは昔祖父母の家で見せて貰ったことがある。
稲株の間をころがしながら中耕除草を行える優れものだ。これは稲が縦横に均一でないとあまり意味ない。
中耕とは作物の育ちをよくするため、発育の途中で表土を浅く耕す事だ。
これにより土が撹拌されほぐされるので、根に酸素が送り込まれ呼吸や発根が促される。
また肥料の吸収も促進されるのだ。更に土中にある有害ガスが抜け、雑草を防除出来る。
田植えが終わった後は、収穫までこの中耕除草が主な作業となる。
そして稲作作業では過酷な作業の一つなのだ。
能率を上げるためには必要な道具なので効率が上がるものを作り上げた。
草取り機に戸惑っていた百姓たちも、慣れたもので一日程度で作業を終わらせていた。
七月に入れば除草作業もほぼ終わりを迎える。残りの作業は殆ど害虫対策になる。これも大変だ。
何しろ田んぼには立派に育った稲がところ狭しと並んでいるのだ。
溝切りという排水の為の溝をつけていく。
これによって収穫までの水管理もやり易くなる。
田んぼの中は勿論、畦草刈りも徹底的に行なった。
そして除去した雑草を腐葉土の材料とする。
田んぼの中で綺麗なサイクルが出来上がり、全てを無駄なく使えた。
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また南部家当主が南下政策を行った。
実入りのない無駄な戦だ。
民を苦しめるだけだとなぜ気付かないのか。
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稲刈りを行う。
豊かに実った稲が所狭しと並んでいる様は、まさに大豊作と言っても過言ではない。
しかし稲刈りは、コメ栽培の中にある過酷な労働の一つだ。
そこで押し刈取機を用意する事にした。
刈取しか行えないが屈んで作業をする必要がない。
そして数人一組となり、刈取と結束をそれぞれ担当する事で、作業の負荷を軽減する事に成功した。
だが収穫する量が今までとは比べ物にならないほど多く、忙しさは変わらなかった。
しかし百姓たちに苦痛の表情はなかった。
稲の収穫を行っている百姓たちを見て、満足気に頷く。
この後は、まず稲を干す必要がある。
天候にもよるが大体一週間から二週間が目安とされている。
乾燥が終われば米の脱穀、そして籾殻を取り除く脱皮だっぷ、最後に精米だ。
しかし籾殻を取り除くと長期間保存が出来ない。
よって一旦全ての米は脱皮を行っていない状態で俵へ詰めた。
長期保存を考えるのは当然の事だ。
脱皮と精米だが、精米については時間はかかるが精米水車を作ることで行う事ができた。
だが脱皮させた後の玄米と籾の選別は難しい。
傾斜させた窪みの付いた複数の揺動板ふるいを用意し、それらを水平方向に振動させることで、選別する揺動式を利用したが、最後に人の手で確認を必要とした。
熟練の腕を必要とせず、容易に行えるが 山のような稲を前にすれば誰だってうんざりする。
今はこれ以上の効率は望めない。
これ以上は今の技術では再現出来ないので、大人しく館に戻る。
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父さんに今回のことを報告すると、他村には伝えないように、と伝達があった。
米が多くとれることは良いことだ。しかし、それ以上に悪いことも呼び寄せてしまう。
《あなたの考えは理論上はすばらしそうだけれども、実際には機能しないと思います。》 と傍付きの者に言われてしまった。
九戸家は南部領屈指の強豪。だが、南部家が総力を挙げてきたら太刀打ち出来ない。
それに、他国にも狙われる。
四方八方を塞がれれば、息は出来なくなるだろう。
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父さんに領地を増やされた。
城1つ与えられて、城主となった。
米の改革を行ったのは港から離れた山の麓だったので、そこの存在を隠蔽され、周りに伝わらないようにされた。
父さん直々に事情を話し、10年間は最低でも黙っているように命令した。
永遠に黙っているよに命令しても、人の口には戸を立てれない。だが、期間を設ければその間だけでも黙っていようと思えるものだ。
他の村では米から麦へと生産を変動させる。米は地方では金の代わりになっているため、また上納品なので、生産を完全に止めることは出来ないが、小麦と大麦の生産を増やすことに成功した。これによって食料が増え、各村々で貯蔵ができるようになった。
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米から麦への変動は成功した。生産量が5倍以上に増え、他の地頭の説得に役立った。 水車を利用した製粉も出来、飢饉に備えた貯蔵量が一気に増えた。
同時に進行させていた大麦の発酵、酒造りも良い影響を与えている。少し味見と称して、ちょろまかすことを黙認していたら、どんどん百姓がやる気を出していった。