Unexpected obey anyone to fight unexpected person.
南長義優勢の戦況。
そして西から新手。
葛西の戦況は一変した。
葛西の家臣たちは和賀制圧にまだ時間がかかると思っていたため、戦の物質を東北に寄せていた。
そこに西からの攻撃。
奇襲だったのもあり、情報が伝わる前にいくつもの城が落ちた。
そして、大きく領土を削り、当主がいた寺池城も陥落、葛西家を南に追いやった。
しかし、当主葛西晴信を討つことは出来ずに終わった。
制圧した葛西領に大崎が攻めてきたからだ。
葛西晴信を追うよりも、大崎に領土を取られないことを優先し、逆に大崎の領土も少し奪い取って撃退した。
旧葛西家家臣の有力者、浜田は服従したが、浜田が大崎が攻めてきたのに合わせて反乱を、それを周りの城主がこぞって抑え、制圧。
当主の切腹により開城。
城主の配置換えを行い、小さな城は潰し、代表として南長義にここを治めさせる。
南長義の武勲は既に広がっていて、皆従順だった。
※※※※※
砂越が同盟を申し込んできた。
武藤と砂越の戦が起こり、武藤は上杉の援護を受けながら攻め上がってきたのだ。
武藤とは大宝寺のことで砂越は大宝寺の分家だ。
砂越と大宝寺の争いは根が深い。
砂越は安東の伝手を頼り、こちらを頼ってきたようだ。
急ぎ、家臣を集め、南部会議を開く。
「殿、この案件はどうお考えですか?」
「まずは、お前たち家臣の意見をまとめよう。自由に話せ」
「はっ」
「上杉と事を構えるのは早急過ぎます。まだ最上、伊達、強国は近くにあります。ここで争うのは危険かと」
「臆病風に吹かれたか!泉山。南下する以上、いつかは当たる相手。早いか遅いかの差だ」
「しかし、このまま大崎を攻めていけば伊達が現れるのは確実。中央からの難民も増えている。ここで大敗などすれば今まで築き上げてきたものが一気に崩れる可能性もあるのだぞ、石亀」
石亀信房と泉山古康が睨み合う。
「殿の御前だぞ、お二人方。ここは1つ、浅利殿に意見を聞いてみては?」
「おお、そうだな。殿に信頼され、政栄殿と共に三戸城を守っている浅利殿であれば、妙案も思いつくでしょう」
「して、いかがですか?」
則頼は腕を組み直し
「先ず、砂越は取らない」
「なっ、それは同盟を結ばないということか!」
「そんなことをしては、これから他所が同盟を結んでくれるか」
「そうだ、《他者を信じれない者は誰にも信じられない》これからのためにもここで砂越を見捨てることは出来ますまいぞ」
「お二人方、先走りすぎです」
「ですが、毛馬内殿」
「浅利殿、何故か、教えてくれますね」
「ああ。砂越を取れば上杉とぶつかる。これは目に見えている。今回戦うのはあくまで武藤。武藤を追い返した後砂越には独立してもらう。ここは緩衝地帯とし、上杉と同盟が組めるようなら組みたい」
「上杉と、同盟ですか」
「上杉は私たちと組んでくれますかね?」
「組んで悪くなることはなく、逆に北に抑えが出来る。こちらの強さを証明出来れば可能性はあるでしょう」
「ならばこちらもそれなりの者が行かなくてはですね。今、最上と戦っている安東殿は当然として、他は誰が?」
「茂季様を総大将にして、私も行きましょう。本城で鍛え上げた精鋭を連れて行きます」
「それはありがたい。では、私、泉山と石亀殿とで最上の抑えに行きましょう。毛馬内殿、上杉の方へ行ってください」
「分かった。先陣として私と浅利殿が行く。安東殿にそうお伝え下さい」
「承った。安東殿が着くまでに負けるようなことにならないで下さいね」
「ふっ。別に追い返してしまっても良いのだろ。遅ければ出番はないとも伝え願おう。弟は、それだけで伝わる」
「はっ。勝頼殿に伝えましょう」
それぞれはそれぞれの軍を率いてそれぞれの戦場に向かう。
彼らは話し合いに夢中過ぎて途中で主君の政実が姿を消したことに気付かなかった。