教育の時間
『まずい、とてもまずい』
このままでは実戦で使えるどころか敵前逃亡しかねない自分の兵士を目の当たりにした少女はそうつぶやいた。
実際このままでは軍隊としての形相をなしておらず、作戦行動以前の問題であった。
「ならこんなのはどうですかね?」
副大隊長は大隊兵を鍛えなおすための案を大隊長であり彼の上官である少女に提出した、自分では大した案を考えることができなかったのと時間がなかったことを理由に、少女はこの案をすぐさま採用、実行に移した。
その案とは
使えない兵士の間引き。
今の大隊は数が多すぎるため苛烈な訓練を実施し軟弱な兵士を脱落させる。
この一点に尽きるだろう。
さて、苛烈な訓練とはなんだろうか?
ひたすら行軍訓練をすることか?
それとも射撃訓練か?
違う
敵スパイもしくは疑わし者、敗北主義者の処刑である。
とりあえず人を殺せないと意味がない。
無抵抗の人間を自分の手で銃剣を突き立て刺し殺すのである。
まだ青年の域を出ていない彼らにさせるにはいささか残酷に見えるだろうが戦争とはそいうものである。
幼子が見るも無残に殺され、女子供は犯し焼き払われ、町々は略奪者であふれかえり市井では人肉すら立派な食糧だ、草原では兵士の死体であふれかえる。
そこに倫理など存在しないのだ。
死体を漁るのは何も動物だけの話ではない、町の市民やレジスタンス共が武器、食料、装飾品などを求めて死体にむらがる、国のため、家族のために戦っても何も報われることなどないのだ。
地獄のような実戦を経験した少女はわかる。
死んでは何も終わらない、復讐も、闘争も、
「この甘ったれた兵士共を鍛えなおし、笑顔で敵兵に銃剣突き立てるぐらいにはしなければな」
教育の時間だ。




