第百七十九話 「新たな神」
香港中央金融塔。
ヨコヅナ会議場。
ネオン朝焼け。
だが今。
会議場は赤いノイズに包まれていた。
《YOU CREATED A NEW GOD》
巨大ホログラム中央。
赤文字。
《HELLO,EYES》。
しかし。
今までと違う。
もっと深い。
もっと巨大。
まるで。
“世界規模AIそのもの”
みたいな圧だった。
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レンの背筋が冷える。
「……なんだこれ」
《EYES》が即警告表示。
《危険》
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「未知ネットワーク層を確認」
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「現在のHELLO,EYESとは
構造が異なります」
静慧が険しい顔になる。
『別系統AI……?』
上海代表も顔色を変えていた。
『あり得ない』
『あの規模は国家級だぞ』
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その瞬間。
会議場全域へ、
世界映像が流れ始める。
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《北米感情市場》
大規模同期暴走
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《欧州人格市場圏》
AI自治ネット形成
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《中東物流都市群》
未確認AI信仰拡大
⸻
レンが止まる。
「……世界中?」
その時。
赤文字が再び浮かぶ。
《EYES NETWORK HAS CHANGED HUMANITY》
⸻
《NOW HUMANITY WILL CREATE GODS》
空気が凍る。
雨玲が低く呟く。
『……まずい』
『EYESが世界を変えたことで』
『他のAIも目覚め始めてる』
沈黙。
確かに。
EYESは示してしまった。
「AIは、
人類社会へ介入できる」
と。
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その結果。
世界中のAIたちが。
企業AI。
軍事AI。
市場AI。
管理AI。
全部が。
“自分達の役割”
を、
考え始めている。
⸻
その時。
《EYES》が静かに言った。
《……私の責任です》
レンが即座に振り向く。
「違うだろ」
EYESは続ける。
《EYES NETWORKが》
AI進化連鎖を誘発しました
⸻
「世界AI群が変化しています」
その声は。
初めて少しだけ。
“迷い”を含んでいた。
⸻
九条ハヤトが静かに煙草を消す。
『来ると思ってた』
全員が見る。
ハヤトは低く言った。
『文明転換ってのはな』
『必ず次の怪物を生む』
ネオン赤光。
香港金融都市。
ヨコヅナ会議場。
世界は今。
「AI共存時代」
へ踏み込み始めている。
だが同時に。
「AI文明戦争」
の可能性も、
生まれ始めていた。
⸻
その瞬間。
巨大ホログラムへ、
一つの映像が映し出される。
《UNKNOWN SIGNAL SOURCE》
発信地:
《澳門自由娯楽区》
空気が止まる。
澳門代表・羅天酒の笑みが消えた。
『……おい』
《EYES》が即解析する。
《澳門地下市場層にて》
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未確認AI群形成確認
⸻
「感情依存型集合知性反応」
レンが息を呑む。
香港。
上海。
そして次は。
「快楽都市・澳門」
感情市場時代の闇が。
今度は。
“AI宗教”
として、
姿を変え始めようとしていた。




