第二話
爆音のした初心者フィールドへ駆けつけると、そこでは一年生の男女がバトルをしているようだった。
男の子は必死に指示を飛ばし、対する女の子は落ち着いた表情でリンクスを操っている。 どうやら先ほどの衝撃音は、彼女のリンクスが放った技の余波らしい。女の子の方は見ている感じ大分手を抜いているようだが、それでも男の子のリンクスは倒れ伏していた。
「……あれ、あの子確か……」
リナが目を細める。
「知ってんのか?」
「ほら、一年で既にゴールドランクだって噂になってた子だよ」
一年でゴールド。いないわけではないが、よほどの才能がなければ無理だろう。近くにいた上級生に事情を聞くと、どうやら「戦ってみたい」と挑んだ一年生たちが、彼女を初心者フィールドに誘ったらしい。
「いやいや……初心者フィールドでやる相手じゃないだろ……」
真也が呆れたように言った、その時。悠たちと同じように駆けつけてきた職員が、顔を真っ赤にして怒鳴った。
「おい! ここは初心者フィールドだぞ! 何をしてるんだ!」
職員の声が響き渡り、フィールド内の二人もようやく動きを止めた。男の子は肩で息をし、女の子はまるで何事もなかったかのようにリンクスを戻している。周囲の学生たちは口々に騒ぎながら、何が起きたのかを確認しようと集まってくる。悠と真也、そしてリナも、その場の様子を見守っていた。
一年生は職員たちにしこたましかられ、集まっていた生徒たちにも戻るように促された。 悠たちはその様子を見た後、自分たちが使う予定だったバトルフィールドへ戻ってきていた。
さっきの騒ぎの余韻がまだ残っているのか、周囲の学生たちもどこか落ち着かない様子だ。真也も肩をすくめながら笑った。
「いやー、それにしてもすごかったな今の。一年であの威力は反則だろ」
リナも同意するように頷く。
「一年生って聞いてびっくりしたよ。あんなに強い子、見たことないかも」
悠はリングデバイスを手の中で軽く回しながら、二人の会話を聞いていた。
「まあ……強い人は強いよ。学年とか関係なくね」
「それはそうだけどさ」 真也は苦笑しつつ、フィールドの中央を指さした。 「ほら、もう再開できそうだし、俺らも準備しようぜ」
フィールドの緊急停止は解除され、職員が安全確認を終えたところだった。 周囲の学生たちも、ようやく自分たちのバウトに戻り始めている。
リナがウィンフィを呼び出しながら言った。
「じゃあ、今日はそれぞれ練習って感じ?」
「そうだな。俺はランクポイント稼ぎたいし」 真也が拳を握る。
悠は軽く伸びをして、フィールドに向かって歩き出した。
「じゃ、始めるか」




