体育祭
「……起きて」
「優ー、起きなさい!
もう百合ちゃん、待ってるわよ!」
階下から、母さんの声が聞こえた。
起き上がった俺は、返事をする。
「今、行くよ」
朝ごはんを急いで詰め込み、家を飛び出した。
「昼ごはん、楽しみにしてるよ!
いってきまーす!」
玄関を出ると、太陽に照らされた百合が立っていた。
「優くん! 今日は本番だよ!
頑張ろうね! 目指せ一位! 総合優勝!」
百合のテンションは、やけに高い。
――まあ、このテンションが普通だろう。
何を隠そう、俺自身もかなり気分が高揚していた。
学校に着くと、
一・二・三年のテントが立ち並び、
全校生徒が集まっているのが分かった。
二年生のテントの方から、声をかけられる。
振り向くと、そこには三色菫が立っていた。
「ゆ、優さんのクラスも、頑張ってくださいね」
そんな応援を受け、少し言葉を交わした後、
俺は一年生のテントへ向かった。
一年テントでは、百合、秋、薔薇崎の三人が話している。
「おーい、どんな話してるんだ?」
俺がそう問いかけると、
秋がこちらを向いて言った。
「おはよう、愛羅武くん。
実はね、先生から聞いたんだけど……
クラス対抗リレーに、
ボクと夢見さん、薔薇崎さん、
それにキミ――愛羅武くんが出るらしいんだ」
「え、急だな」
――本当は、ゲームで知ってたけど。
「ん? 本当かい?
あまり驚いてないように見えたけど」
秋に、じっとりとした視線を向けられる。
「まあまあまあ。
俺たち、頑張ろうぜ!」
俺は前に手を差し出した。
「……はぁ、わかった」
秋も、しぶしぶ手を出す。
「私も、私も!」
百合が笑顔で手を重ねた。
「では、わたくしもお願いいたしますわ」
薔薇崎も、そっと手を添える。
こうして、俺たちは円陣を組んだ。
「優勝目指して――がんばるぞ!」
「「「おー!」」」
「はい!」




