覚悟
体育祭のメンバーはサクサクと決まり、
気がつけば、あっという間に放課後になっていた……。
「ついて来てくださるかしら」
薔薇崎がそう言うので、百合に事情を説明し、
校門で待っていてもらうことにした。
薔薇崎の後ろをついていくと、
たどり着いたのは屋上だった。
「薔薇崎華麗さん、どうしてここに?」
俺がそう尋ねると、彼女は少しだけ微笑む。
「わたくしの名前、覚えて帰ってくださったのですね。
そんなに畏まらなくて結構ですわ……
わたくしのことは、“華麗”とでもお呼びになって」
そう前置きしてから、彼女は本題に入った。
「ここにお呼びした理由は、体育祭のことですわ。
わたくしたちは、二人三脚のペアになりましたわよね」
「ああ」
「わたくしのペアとなったからには、
絶対に気を抜かず、本気で挑んでほしいのですわ。
わたくしは……勝たなければならないの」
その声には、確かな覚悟が込められていた。
「今回の体育祭には、
わたくしのお父様とお母様も見にいらっしゃいますの。
ですから、みっともない姿は見せられませんのよ……」
彼女には、俺には分からない、
きっと深い理由があるのだろう。
――だけど。
「おう! 任せろ!
俺にも、負けられない理由があるんだ!」
(記憶のかけら……が報酬なんだからな)
「……心より、感謝いたしますわ」
そう言った瞬間、
彼女の胸元に咲くピンクの薔薇が、
一瞬だけ輝いたように見えた。
「よかったら、でいいんだけどさ。
この一週間、一緒に練習できないかな?」
彼女は少し考え返事をした。
「ええ。
わたくしも、失敗はできませんもの……。
よろしいですわ」
こうして俺は、
薔薇崎華麗――彼女との個別の時間を作ることができた。




