誓い
「そうだ! 愛羅武くん、携帯電話は持ってる?
よかったら、番号を交換してくれないかい?」
「ああ、いいよ。交換しよっか」
そう言って、俺は秋と連絡先を交換した。
すると、後ろから遠慮がちな声がする。
「わ、私も……。
ゆ、優さん、よろしいでしょうか……?」
「おう。菫もいいぞ」
そう言って、菫とも連絡先を交換した。
これで、ヒロインへの連絡先は三件になった。
家の方向が違う秋と菫とは校門で別れ、俺は百合と並んで帰路につく。
「女の子の連絡先、増えて嬉しいんじゃないの〜?」
「バカ、からかうな!」
……とは言ったものの、正直、少し嬉しかった。
そんなことを考えながら歩いていると、家の前に着いた。
俺は百合と別れ、玄関へ向かう。
ドアを開けようとした、その瞬間――。
突然、ウィンドウが現れた。
『クエストをクリアしました』
『???を助けてあげてください
三色菫を達成しました』
『報酬を受け取りますか?』
突然の表示に、思わず息をのむ。
???は、三色菫のことだったのか……?
確かに、助けるべきキャラとして彼女のことは思い浮かべていた。
だが、本来は主犯のいじめっ子たちが退学するまで続く、長期イベントのはずだ。
――なぜ、ここで達成になる?
疑問を抱えたまま、俺は一旦ウィンドウを閉じ、家に入ることにした。
「ただいまー」
そう声をかけるが、返事はない。
どうやら、母さんたちはまだ帰っていないようだ。
俺は自分の部屋へ向かい、ベッドの前で改めてウィンドウを呼び出した。
『報酬を受け取りますか?』
俺は、迷わず押す。
『報酬:三色菫の好感度上昇/記憶のかけらを入手しました』
『三色菫の好感度が上昇しました』
『記憶のかけらを取得したため、自動同期を開始します』
テキストが消えた、その直後――
ズキッ。
やはり、頭に痛みが走る。
だが、今回は前よりも幾分か軽かった。
そして、俺の脳裏に一つの光景が浮かび上がる。
⸻
「ねえ、???くん。今回も助けてくれてありがとう。
でもね、私は絶対に諦めないから。
私の夢を笑うやつも、いじめてくるやつも……次は私がやり返す!」
「ああ。???なら、絶対なれるよ。
一緒に、見返してやろうぜ」
⸻
誰かとの思い出だろう。
短いのに、ひどく懐かしい。
だが、はっきりとは思い出せない。
相手の名前も、顔も、すっぽり抜け落ちている。
それでも――温かい声だけは、確かに感じられた。
探したい。
その感情だけが、強く胸に残る。
俺は、ゆっくりと目を開けた。
視界に、再びウィンドウが映る。
クエスト
『???を助けてあげてください』
また、同じ内容のクエストだ。
何回繰り返されるのかは分からない。
だが、そこに記憶があるのなら――。
俺は必ず、すべてクリアする。
そう、再度心に誓った。




