表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/45

月光

俺は、下の階へ降りることにした。


「優、今日の晩ご飯は優の好きな唐揚げだから、たくさん食べていいわよ。

お父さんの分は分け終わってるから、大皿の分は食べ尽くしちゃいなさい」


さっきと変わらない内容。

その母さんの言葉が、俺の心をざわつかせた。


「うん……できる限り食べるよ」


そう言って食べ始めたものの、二割ほどで箸が止まる。


「あら、優の好物なのに。何かあったの?」


あった出来事を話しても、通じないだろう。

そう思った俺は、首を振った。


「何もないよ。ただ、ちょっと食欲がないだけ」


母さんは不思議そうに俺を見つめていたが、それ以上は何も言わなかった。

食事を終え、俺は部屋に戻った。


――そして、携帯電話を見つめる。


しばらく無言で画面を眺めていると、通知が鳴った。

百合からのメッセージだった。


(優くん、今から公園に来てくれない?)


その文字を見た瞬間、さっきの光景が鮮明によみがえる。

謎の黒いモヤ。

背後からの攻撃。

そして――百合の涙。


俺はそれらを思い出し、ひとつの返信を送った。


(今日は色々あったから、もう寝ることにする。すまん)


すぐに返事が返ってきた。


(わかった! また明日も一緒に登校しようねー!)


そのメッセージを見て、ようやく息をつく。

……これで、回避できただろう。


だが、どうしても気になり、俺は窓から公園の方を慎重に覗き込んだ。




月明かりが、一瞬だけ地面を照らしている。


――そして、俺は見てしまった。


ハンマーを手に、俺の家の一階を見つめている人物を。









()()()を。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ