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現実
目覚まし時計の音で目が覚めた。
かつての暗い部屋とは違う。
ここは、主人公の部屋――俺の新しい現実だった。
その時、目の前にウィンドウが表示される。
クエスト
『学校へ行き、自己紹介を聞け』
『報酬???』
『制限時間:1,893,331,124秒』
報酬は相変わらず不明。
制限時間の意味も分からない。
だが、もし次も「記憶のかけら」なら、この世界で生きるために必要な情報を思い出せるはずだ。
「……登校するか」
母さんの朝ご飯を食べ、バットを手に家を出た。
家の外には、やはり百合がいた。
ゲームでも、登校シーンには必ず現れる存在だ。
俺に気づいた百合が、振り返る。
「優くん! おはよう! 今日は早いね」
俺は思わず、彼女の胸元を見る。
……下心じゃないぞ。
黄色いユリ。
それを確認し、ようやく安心して返事をした。
「おはよう。行くか」
俺たちは昨日と同じ道を歩き、学校へ向かった。




