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記憶
やるべきことは終わった。
そろそろ、報酬を受け取ってみるか。
クエスト
『入学式に参加する』
《報酬を受け取りますか?》
……ポチ。
『報酬:記憶のかけらを入手しました』
『記憶のかけらを取得したため、自動同期を開始します』
テキストが消えた、その直後だった。
「……っ!」
突然、頭痛が走る。
激しい痛みに、一瞬意識が遠のいたが、すぐに引いた。
そして、ひとつの事実が、はっきりと浮かび上がる。
このハーレム美少女ゲームにおいて――
好感度は、主人公にしか見えない「胸の花」で示される。
その知識を、俺は鮮明に理解していた。
なぜ、そんな大事なことを忘れていたのかは分からない。
だが、確信できたことがある。
黒は、危険。




