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戦闘神姫  作者: 柳井
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【3章】戦闘神姫 第5話  心の部屋

イッシン達、二組が同時に扉の奥の部屋に入る。

部屋に入ったと同時だった。大きな音が鳴り、扉が壁で塞がる。

「何だよ!?閉じ込められた?アヤカ!マク!無事か?」

大声でイッシンが叫ぶ。するとアヤカ達から声が返ってくる。

「無事よ!でもこの壁は壊せそうにないわね。何か強力な力で守られている」

すると、どこからか声が聞こえてくる。

「勇気ある冒険者達よ…ここは心の部屋」

「勇気ある冒険者達よ…ここは力の部屋」

二つの部屋から、違う声が響いた。

「ここから先に行きたくば、試練を乗り越えて見せよ。さすれば守護者の待つ部屋に辿り着くであろう。」

イッシン達は心の部屋。

アヤカ達は力の部屋だった。

「教えてくれ!何をすればいいんだ」

イッシンの問いに、答えは返ってこない。

「進むしかないよ。行こうイッシン君」

ローアの顔は、もう前を向いていた。

(昔からそうだったな……何事にも負けないって気持ちがあるのは)

「よし。行こう!アヤカ、マク。攻略してまた会おう!」

イッシンは二人に向かって叫ぶ。

「アヤカなら先にいったぜ!死ぬなよ二人とも」

返ってきた返答は前向きだった。

互いのペアを信じ、二組は前へ進む。

「二つの扉ですか…」

イッシン達が先に進んだ少し後、先程の怪しげだが高貴な姿をした男が、同じ扉の前まで来ていた。

男が躊躇なく扉に手を掛けた瞬間、衝撃が走る。

「私を拒みますか…仕方ありません」

男の闘気が上がる。

そして、激しい攻撃を扉に放つ。

その衝撃は、ダンジョン全体を揺らす大きな一撃だった。

だが、その扉は傷一つ付かなかった。

「流石に無傷はへこみますね……あぁなるほど。これは…神の力……か。」

ダンジョンには難易度がある。

最低ランクをBとして、B~Sまで振り分けされている。

その難易度は報酬によって変化することが多い。

「神の力が働くということは、私に何かできる事はありません。神だけが結末を知るだけです」

「よぉ。今の衝撃はアンタか?」

その時、男の後ろからガラの悪い男がやってきた。

「それを見る限り扉は壊せねぇのか。つまり挑戦者(チャレンジャー)が死ぬか攻略するまで開かねぇな。」

「それが分かっていて、貴方は何が言いたいんです?」

「決まってんだろ?奪えばいいんだよ。漁夫の利ってやつだろ?」

二人の間に、静かな時が過ぎる。

「貴方、お名前は?」

高貴な姿をした男は、ガラの悪い男に問う。

「あぁ?俺の名はギル。黒猟会の頭領をさせてもらってる。アンタは?」

「私は獅子王の騎士の一人、レグリオル。貴方は危険だ…ここで排除させてもらおう」

二人の男が互いに得物を抜く。

「いいねぇ!お前とは楽しめそうだ」

ドーンと大きな音が鳴り、ダンジョンが揺れる。

「何だ!?地震か?」

「すぐ収まったね」

イッシンとローアは、ゆっくりとダンジョンを進んでいた。

「しかし、何も起きないな…本当にこの先に行けばいいのか?」

再びイッシンは歩き出す。

何もない暗闇だけが続く道を進む。

「本当に何も起こらないな…ローア気を付けろよ…罠もあるかもしれねぇ」

だが、ローアからの返答は返ってこない。

「ローア……?まさかな……」

イッシンが恐る恐る後ろを振り返ると、そこには暗闇だけが残り、ローアの姿は見えなかった。

「まじかよ…どうする?来た道を戻ってローアを探すか?」

  

   また誰かに助けを求めるんだ


その時、脳裏に言葉が掛けられる。

「誰だ!?」

周りを見渡しても、影一つ姿が見えない。

すると、また声が聞こえる。

「君は昔から何一つ変わってないね。自分で解決しようとしても、結局は誰かの力を頼りにしている。」

「だからお前は誰なんだよ!姿を現せ!」

      

      「俺はお前だ」


次の瞬間、イッシンの目の前は闇に包まれる。


    だからお前は前に立てない。

    

守れなかったくせに、また誰かを守るつもりか。


結局お前は、後ろに隠れて助けられる側でいたいだけだ。


「……違う」

「とりあえず前に進むか。」


暗闇を一人で歩き続けるーー

すると前方に光が見える

「出口なのか…?」

光の先には、見慣れた景色が広がっていた。

「ここはノヴァリス王国?なんでダンジョンの先がここに繋がるんだ?」

暗闇の抜けた先、それは見慣れたノヴァリス王国の景色だった。

だが、どことなく懐かしい雰囲気を感じる。

「お前の父ちゃんが弱いから、俺の父ちゃんが死んだんだ」

歩いている途中、どこからか子供の声が聞こえる。

「父さんは弱くない!」

少年は拳を握り殴りかかる。

しかし、その拳は届かず、他の子供から逆に仕返しを受ける。

「お前のせいだ!」

少年は皆にいじめられ、ボコボコになっていた。

「やめろ!」

イッシンは少年達の間に立つ。

しかし、子供達はイッシンに見向きもしない。

「今日はこんくらいにしてやるよ。明日もまたいじめてやるよ」

いじめっ子達は、笑いながら去っていく。

「これは俺だ……」

イッシンは思い出す。

これは過去のイッシン。

「そうだ。父さんが死んで、他の兵も死んだ。それで俺は、いじめの対象になったんだ」

今思えば理不尽な事だ。

誰が悪いわけでもない。

いや……悪いのは、攻めてきたアイツらだ―――。

そして、イッシンの目の前が再び光り出す。

「覚えてろよ!男女(おとこおんな)!」

「覚えないわよ、アンタみたいな女みたいな男は」

褐色の少女は、少年に手を差し伸べる。

「君は悪くないよ。これからも私が助けてあげるから」

ローアは優しい。

だが、これは違う。本当は――。

少年は手を伸ばす。

しかし、イッシンが叫ぶ。

「お前は俺なんだろ?だったら、お前は俺だ」

イッシンは強く念じ、ローアの手を払う。

「ローアなら『助けてあげる』なんて言わねぇ。一緒に戦おうって、手を差し伸べるはずだ!」

そして、再び暗闇に戻ってきた。

「これは君の心の一部さ。一つずつ乗り越えれば、君はまだ強くなれるよ。」

「教えてくれ。アンタは誰なんだ?ダンジョンの一部にしては、何かおかしい。」

その問いに、答えは返ってこない。

「結局わからずじまいか…。でも俺は、心の中で誰かに助けを求めていたのか…」

助けを求める事。

それは心の弱さなのか――。

考えながら、イッシンは暗闇を歩き続けた。

「あれは?誰だ?」

しばらく進んだ先に、人影を見つける。

それはローアの姿だった。

「ローア?無事だったのか!」

イッシンの声と同時に、ローアが振り返る。

フラフラとした動き。

目の焦点が合っていない。

明らかに様子がおかしい。

「ローア?」

ローアは何も言わず、弓を構える。

次の瞬間、イッシンに向けて矢を放った。

「どうしたんだよ!ローア!」

だが、ローアは聞く耳を持たない。

それどころか、再び弓を構える。

「ローア。今度は俺がお前を助ける番だ」

イッシンも、静かに刀を抜いた。

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