表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦闘神姫  作者: 柳井
33/37

【3章】戦闘神姫 第3話 決戦前と戦争前

イッシンとオネット陣営の戦いが決まった翌日から、イッシンは特訓に明け暮れていた。

剣の指南はアヤカから。

基礎戦闘と実戦技術は、イアとパラットから叩き込まれる。

ノヴァリス王国近辺の山――。

「今日はこれまでね」

「あぁ。ありがとうな、アヤカ」

いつもの山で、イッシンは黙々と剣を振り続けていた。

「アンタ……本当に剣で決めたの?」

「あぁ。確かに色々な武器を使えるのはメリットだ。でも、メインの武器を決めておかないと、強敵との戦いには勝てない」

一度、イッシンは剣を見つめる。

「そう考えた時、剣が一番……俺のピンチを何度も助けてくれたからな」

夕闇が辺りを包み始めた頃、山道の向こうから足音が近づいてくる。

「兄者!緊急会議でござる。至急、会議室に来るでござる」

現れたのは、シュラの付き添いであるフーマだった。

イッシンとアヤカは顔を見合わせる。

嫌な予感が、同時に胸をよぎった。

三人は急いで山を下り、ノヴァリス王国へと戻る。

ノヴァリス王国――大会議室。

扉を開いた瞬間、イッシンは息を呑んだ。

そこには、いつもの顔ぶれとは違い、王国の将軍たち、そして戦力となるウエポンズ部隊が集結していた。

「ここが大会議室……それに、見慣れない顔が多いな」

「王国は広いもの。私も初めて見る人が多いわ」

誰もが、ここに呼ばれた理由を知らされていなかった。

やがて、ネフィリスとの会談を終えたシュラが、ノヴァリス国王と共に前へ出る。

「集まったようだな……これより、緊急会議を行う」

シュラが口を開いた途端、ざわめきは一瞬で消えた。

「先日、ネフィリス王国にて会談を行った。しかし、予期せぬ事態により、ネフィリス陣営に重症者を出してしまった」

再び、場がざわつく。

「これよりノヴァリス王国は、ネフィリスとの戦争に備え、戦力強化と神器争奪に本腰を入れる……以上だ」

「ちょっと待て!説明はそれだけか?」

オネットが声を荒げる。

「あぁ。この場では以上だ。各隊長には、俺が直接説明する……では、国王」

シュラの合図で、国王が一歩前に出る。

「我が国の強者(つわもの)達よ……力なき民を守ってくれ。これは侵略だ。攻め入る者は、容赦なく排除してほしい」

その一言だけで、空気が変わった。

将軍も兵も、一斉に拳を掲げる。

国王はそれ以上何も語らず、大会議室を後にした。

「凄いな……たった一言で、ここまで人を奮い立たせるのか」

「それだけ、国王は信頼されているのよ」

その言葉に力があるのは分かる。

だが同時に、イッシンはその力に、僅かな恐怖も感じていた。

「俺が留守の間、ご苦労だったな」

全隊長への説明を終え、シュラはいつもの会議室へ戻ってきた。

「改めて言う。今回の会談は……“ほぼ”失敗だ。恐らく、会談そのものが罠だった」

シュラは淡々と状況を整理する。

「各隊に伝えた内容は以下の通りだ」

・これから出現する神器の獲得を最優先とする

・ネフィリス軍との戦闘は極力避ける

やむを得ない場合のみ交戦を許可

・単独での任務は基本的に禁止

戦争前としては、当然とも言える方針だった。

「そして、神器の使用者の確保だが……誰か候補はいるか?」

「アタシの舎弟たちは、今まで出た神器には適合しなかったぜ」

(アイツが居ればな……)

イアの部下、マク達もまた同様だった。

「俺が……神器をしっかり使えれば……」

「いや、イッシン。お前は切り札だ」

その言葉に、場が静まる。

「お前の能力は、武器との“共鳴”だろう。恐らく……お前は全ての神器を使える」

イッシンは息を呑んだ。

確かに、自分は専用の武器を持たない。

だが、その場その場で武器を扱い、勝機を掴んできた。

「だが、これは極秘だ。相手に知られれば警戒される。逆に言えば……今のお前は、強みが無いようにも見える」

シュラは続ける。

「だからまず、自分だけの武器を探せ。早急にな」

「了解……俺、必ず見つけ出す」

「よし。では本題に入ろう」

シュラは地図を広げ、ある地点を指差した。

「ここから少し離れた場所に湖がある。そこにダンジョンが出現したらしい。イッシン、お前にはそこへ向かってほしい」

シュラの言葉に、アヤカが割って入る。

「イッシンだけじゃ不安だわ。私も同行するわ」

「あぁ。流石にイッシンだけでは攻略は難しいだろう。それに、そのダンジョンは見つかりやすい場所に在りながら、未だ攻略されていない」

「つまり、難易度が高めって訳ね」

「あぁ。兵からの詳細な報告も無い。その認識で間違いないだろう。どうする?」

シュラは、イッシンとアヤカに視線を向ける。

「答えは決まってるよ。行ってくるさ。そして攻略してみせるよ」

その答えは、シュラの予想通りだった。

「いい答えだ。だが、あまり無理をするなよ。お前は無茶ばかりするからな」

「後、何人かサポーターを用意してよ。流石に未知数のダンジョンで、イッシン一人じゃ心もとないわ」

「わかった。手配しよう。それでは出発は三日後だ。各自、休息を取れ」

「シュラさん……少し、よろしいでしょうか……」

会議の終わり際、イッシンが弱々しく手を上げる。

「実は――」

イッシンは、オネットとの一件を説明した。

「馬鹿タレ!」

落ちてきたのは、シュラの拳骨だった。

「お前は問題ばっかり起こしよって……だが、間違いではない。仲間を侮辱されたなら、それが正しい。少なくとも俺のチームではな。帰ってきたら、みっちり鍛えてやる覚悟をしろ」

その言葉を聞いた時、イッシンは何故だか救われた気がした。

同時に、この男に本気でついていこうと、心から思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ