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戦闘神姫  作者: 柳井
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【2章】戦闘神姫 第19話 名無しのゼロ 

あけましておめでとうございます。

今年も宜しくお願いいたします。

これにて二章は終わりになります。今回は少し長めで読みづらいかもしれませんが是非読んでいってください

神器狩りと呼ばれる男――ゼロ。

その前に立ちはだかるのは、戦闘姫レイカ。

「お前は俺を楽しませてくれんのかぁ?」

「……貴方の攻撃は、一切当たらないわ」

両者が構えた瞬間、空気が張り詰める。

この戦いは、死闘と呼ぶに相応しい熾烈さを帯びていた。

「ぐっ……なんだ、あの威力……カグラは……」

神器狩りの男に吹き飛ばされたイッシンは、地面に背中を強く打ちつけ、息を詰まらせる。

視線の先、倒れ伏すカグラの状態も良くない。

(このままじゃカグラが危ない……。

それに、不意打ちの拳だけで、ここまでの威力が出るものなのか?)

双竜波そうりゅうは!」

レイカの放つ衝撃波を、男は拳で打ち消した。

(殺す気で放ったはず……なのに受けられた?

――あの手につけているグローブ……)

「いいねぇ……痺れる威力だ。

こんな攻撃、今まで見たことがねぇよ」

「……貴方、名前は?」

レイカは一瞬だけ攻撃の手を止め、男に問いかけた。

「名前……? んなもん、ねぇよ」

「私はレイカ。あるなら、聞いておきたかっただけ」

男の表情がわずかに曇り、やがて口を開く。

「俺は小さい頃から一人で生きてきた。

ガキの頃は“名無しのゼロ”って呼ばれてた。

今は神器狩り……名前なんか、どうでもいい」

「じゃあ、ゼロでいいわ」

レイカは静かに続ける。

「単刀直入に聞くわ。

貴方、ネフィリス軍?」

「あぁ。肩書きだけな。ネフィリスの一般兵だ」

「今ここで引くなら、私は追わない。

でもこれ以上戦うなら――敵と見なし、殺すわ」

その瞬間、レイカの圧が変わる。

同時に、ゼロの闘気も跳ね上がった。

「ネフィリスなんか関係ねぇんだよ!

俺はただ……戦いてぇだけなんだよ!」

「なら、殺すだけよ。情けは掛けない」

ゼロは箱を開き、新たな道具を取り出す。

「アンタが本気だから、俺も楽しめる。

双剣なら……俺も同じ土俵に立ってやるよ!」

刃が交錯し、激しい火花が散る。

(おかしい……。

ただの武器や特殊武器相手に、神器が押されている?

それとも……神器の力そのものが鈍っている?)

「受けきれるかぁ?」

「青柳流――風柳かぜやなぎ

レイカの双剣が、しなやかにゼロの刃を受け流す。

力を殺し、軌道を逸らし、相手の体勢を大きく崩した。

(今……カウンターの風柳で、完全に崩した。

――ここで、仕留める!)

レイカの双剣が、体勢を崩したゼロに迫る。

「もらった……!」

刃が届く、その瞬間――

ゼロは全身の力を完全に抜いた。

脱力した身体は、まるで存在を消したかのように、レイカの視界から消える。

「……嘘?

今ので、躱された……?」

距離を取ったゼロが、愉快そうに笑う。

(身体能力が桁違い……。あの体勢からの攻撃を、初見で避けるなんて……それに戦い方が、あまりにも――)

レイカの推測は正しかった。

ゼロには、戦闘スタイルという概念が存在しない。

本能だけで戦う――それこそが、彼の戦い方だった。

「今のはヤバかったなぁ!お前、面白い。今まで相手にしてきた中で、一番強ぇよ!次はどんな技を見せてくれんだ?」

「何度でも……。貴方の攻撃を流してみせるわ」

再び、刃が交わる。

剣術だけなら、明らかにレイカが上。

だが――ゼロの剣は、先ほどとはまるで別物の動きを見せる。

(戦術を……変えてきた?)

それでも、レイカは全てを流す。

「俺は、一度見た戦い方は覚えちまう。今まで殺してきた奴らの技、全部、俺の中にある」

次の瞬間。

レイカの受けを突破し、ゼロの刃が肩を深く抉った。

「お得意の受けも、俺には通じなかったな」

だが、ゼロの刃は抜けない。筋肉で刃を止めている。

「……私だって、それなりに鍛えているのよ」

血を流しながら、レイカは剣を握り直す。

「――そして、この一瞬は……逃さない!」

神義しんぎ――竜双りゅうそう天覇てんは!!」

二つの刃が、ゼロの胸を十字に斬り裂く。

「ぐあああ!!」

激しく悶えるゼロ。だが胸から血は出ない。

「何故……血が流れない?」

「外傷は無いわ……でも、それよりもっと酷いことになる」

その時、ゼロは大きな悲鳴を上げる。

ゼロの顔に、黒い痣が浮かび上がった。

「呪いか……」

「今逃げるなら、その呪いも治せるわよ」

「逃げる選択肢は、元々ねぇなぁ!」


「姉さん……」

気を失っていたカグラが立ち上がる。

戦闘に夢中だったイッシンはその姿に気づかず、カグラはゼロの元へ歩いていく。

「斬り合うのも飽きてきたなぁ……そろそろ決着つけるか」

「その呪いで、どうしてそこまで動けるの……?」

「所詮、神の力だろうが“武器”には変わりねぇよ。

俺の前じゃ、どんな武器も本来の効力を現せねぇ」

「……それで、いつもより神器の能力が発揮できなかったのね。それが、貴方の能力……!」

その時、ゆっくりと歩いていたカグラが、ゼロの間合いへ踏み込んでいた。

直後――カグラはスタートを切り、ゼロに襲いかかる。

「お前には、興味がわかねぇんだよ」

ゼロはカグラの気配をずっと察知していた。

そして、カグラの胸を十字に斬り裂く。

「妹にお返しだな」

カグラは前のめりに倒れる。

「カグラ……!」

倒れたカグラを、ゼロは遠くへ投げ飛ばした。

地面に叩きつけられた時、カグラの命は危険な状態だった。

レイカは悩む。

ここでカグラを捨ててゼロを殺すか、妹を助けるか――。

「……ここで貴方を殺して、カグラも助ける」

レイカが選んだのは、ゼロの撃破と妹の救出、その両方だった。


ゼロに詰め寄ろうとした、その時だった。

銃声が響き、レイカの攻撃が止まる。

「……やられたわね」

戦闘に集中しすぎていた。

カグラが投げ飛ばされた場所は、ネフィリス軍の領土だったのだ。

運悪く、ネフィリス兵士達は訓練を行っていた

「敵発見……!対象はノヴァリス戦闘姫と、その仲間です!」

ネフィリス兵士が倒れたカグラへ襲いかかる。

「やめろ!」

その時、イッシンが割って入る。

「コイツも敵だぞ! 撃て!」

ネフィリス軍は容赦なく、イッシンに銃を向け放つ。

「くそっ……仕方ねぇ、斬る……!」

イッシンは兵士に斬りかかる。

しかし、その判断は正しくも、正解とは言えなかった。

「イッシン、待っ……て……!」

レイカの声が届かず、イッシンの一太刀がネフィリス兵を斬り伏せる。

「カグラ……無事か!?」

倒れるカグラと、血に濡れるネフィリス兵。


――それを遠くから見つめる者がいた。

「やりましたよ……。貴方の弟が火種を作ってくれましたよ。もっとも、ノヴァリスに一旦攻め込んでいる時点で、あまり関係ないのですけどね……」

嘲笑うサイランの隣には、静かに見つめるライハがいた。

「あの子が……私の弟……」

「さて、これで本格的に攻め込むことができますよ。後は優秀な部下を育てましょう」

「うん。やっぱりあの子、戦力になるね」

「えぇ。少し危うい所はありますが、私たちには問題ありません。このまま狩りを続けてもらいましょう」

「でも、この戦いの後から、しっかり働いてくれるかな?」

「強者を求めるが故に……これ以上の相手が見つかるといいですねぇ」

二人は静かに戦場を後にした。

カグラを助けるため咄嗟に動いた結果、イッシンはネフィリスの兵を斬ってしまった。

「しっかりしろ!」

「応援部隊を呼べ!!」

次々と騒がしくなる戦場。

それでもゼロとレイカは向き合う。

しかしイッシンとカグラは囲まれる。

(流石にこの状況は厳しい。私一人なら逃げ切れる。それでも二人を置き去りにする?……いや……)

レイカは決断する――。

「イッシン! カグラの刀を使いなさい!」

レイカの声と共に、イッシンはカグラの腰の刀、柳霞やながすみを手に取る。

刀が光り輝き出す。それはイッシンに力を貸すかのように。

「頼むぞ……柳霞」

イッシンが構えると同時、レイカが叫ぶ。

「イッシン! 戦わないで!

逃げるために刀を振るって!」

レイカの指示は戦闘ではなく、逃亡の指示だった。

「逃げるって……レイカさんは!?」

「私一人ならどうとでもなる。

貴方たちは“役立たず”なのよ! だから早く逃げて!」

レイカの言葉は、イッシンにはっきり届く。

――“役立たず”。

戦場での一言が、戦力不足という事実を突きつけるには十分すぎた。

「なるべく早く応援を連れてくるから……!」

「私も、貴方たちが逃げ切れたら逃げるわよ。

それとカグラを頼むわよ」

「任せてよ。それまで持ちこたえて」

イッシンは何もない場所で刀を振るう。

「霧よ……全てを包み込め。

そして俺たちを隠せ」

イッシンを中心に霧が立ち込める。

周りのネフィリス兵は騒ぎ始め、その隙にカグラを担ぎ上げ、立ち去る。

「……姉さん」

カグラの意識は、完全に闇の中へ消えていった。

「馬鹿な奴だな。お前ならあいつらを囮にして、一人で逃げ切れたのにな」

「私は未来に賭けた。あの子たちが成長して強くなる方が、今後良くなると思った。それに私はここから逃げ切るつもりよ」

視界が晴れ、ネフィリス兵も武器をレイカに向ける。

しかしゼロが制止する。

「邪魔をするな。お前らから殺すぞ?」

「いいの? 勝てるチャンスを逃したわよ」

「あぁ。最高の気分だからよぉ。

お前は俺が殺さなきゃいけねぇ相手だ」

(顔に出た痣が消えかかっている……。効果がない訳じゃない。……何かカラクリがあるのかしら)

再び二人は武器を構える。

その交戦は決着へと向かっていた。

イッシンはカグラを担ぎ、ノヴァリス王国へと戻っていた。

「誰かいないのか!?」

タイミングよくイッシンの目の前に現れたのは、戦闘姫のアヤカだった。

「何よイッシン。そんなに焦って……」

アヤカはイッシンが担ぐカグラの姿を見て、すぐに理解した。

「頼むアヤカ、助けてくれ……このままじゃ……!」

「わかったわ……でも……」

アヤカは国の護衛を任されていた。

アヤカが出れば、警備は手薄になる。

その時だった。

「私が行こう」

馬に乗った鎧の騎士が現れる。

その姿に見覚えがあった。

「クロエさん!」

現れたのは戦闘姫サヴィーシャ・クロエだった。

「馬のほうが早く着く。乗れ、イッシン」

「助かるよ!」

イッシンとクロエはレイカ救出へ向かった。

「間に合ってくれ……!」

イッシンたちがノヴァリスを出てから、少しした後――

「信じられん。この男一人で……」

「面白かったぜ。ノヴァリスの女ぁ……」

ゼロの足元に倒れているのは、戦闘姫レイカだった。

「ノヴァリス王国……面白そうな奴がたくさんいそうだなぁ。

あぁそうだ……お前ら、神器の回収しとけ。俺は疲れた」

ゼロは森を後にする。

その少し後。

イッシンたちが到着した時、現場には誰の姿も見えなかった。

「たしか……ここのはずなんだよな……」

「人の気配はないな」

クロエが周りを探るが、レイカを含む敵影は見当たらない。

その時、イッシンが何かを見つける。

「血の跡だ……!

もしかしたら、レイカさんが逃げ切ったのかもしれない」

「急ごう」

この時、クロエは分かっていたのかもしれない。

いや、クロエだけじゃない。

イッシンも気づいていたのかもしれない。

だが一つの希望に託し、レイカを探す。

「人影……まさか!」

森奥に人影が見えた。

イッシンはその正体を確かめるため、駆け込む。

その後ろ姿、髪の長さ。間違いようがなかった。

「レイカさん……生きていたんだ」

レイカの後ろ姿を見て、イッシンは安堵の表情を浮かべる。

「何だよ……何か喋ってくれよ。いつもみたいに……」

しかし、レイカは問いかけに一向に反応しない。

「もしかして……疲れ果てて眠ってるのか?

仕方ないな。クロエさん、馬に乗せますよ」

「イッシン……」

クロエは確信していた。

だがイッシンの姿を見て、何も言えずにいた。

イッシンがレイカの肩に触れた瞬間――レイカの体が動く。

レイカの上半身が、地面に落ちた。

「え……嘘……」

「ネフィリス……外道め……」

この時、イッシンは現実を受け止める。

戦闘姫レイカは殺され、神器奪取のために体を斬られていたのだった。

そして、この戦闘は――物語を大きく左右することとなる。

ちょっと文章がおかしな事になっていたため再編集させていただきました。申し訳ございません

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