【2章】戦闘神姫 第8話 イッシン捨て身の一撃 豪炎の真姿
「こっちから行くぜ。」
イッシンの動きと共にパラットは氷弾を当て、纏っている炎を解除する
(攻めはホットに。心は冷静に――)
イッシンはアルギエラへと斬り込む。
迎えるアルギエラは余裕の構え
そして、横凪ぎの迎撃がイッシンを襲う
イッシンは身を沈め、刃の下を滑る。
「懐、取ったぜ」
だが、アルギエラも思考を廻らせる
(小僧を捌くのは容易い。やっかいなのは――あの小娘の射撃)
パラットの存在が、互いの脳裏にちらつく。
「そんなにパラットちゃんが怖いなら、もっと怖い状況にしてやるよ」
アルギエバは“あえて受け”に回る。
だが、イッシンもその受けを読んでいた。
「俺の剣が、ただの剣だと思うなよ」
閃光の逆袈裟、鎧の装甲を断ち割る。
「な、なに……その威力は……!」
アルギエバの仮面の奥が、わずかに揺らぐ。
「神器なんかじゃないさ。――まだ“神器に成っていない”、魂の宿った剣だ」
――数日前・武器庫。
「イッシン、武器は何を持っていく」
「風薙を持てば楽だろうけど、それじゃ意味がない。俺が倒れたらパラットに迷惑だ。使い慣れた剣で行く」
「なら、これだ」
シュラが差し出したのは、一見“普通”の剣。
「ただの剣、じゃない?」
「ウエポンズ適合の儀で使う素体刃だ。未成熟の魂核が眠っている。そしてやがて“神器に成り得る”」
――
「シュラさんに貰って正解だった。お前の鎧も、これなら斬れる」
よろめきながらも、アルギエラの鎧が焔に包まれ再生していく。
「小僧……そこまで、読んでいたか」
背後から、追い討ちの氷弾。
「ぐおおおお!」
「流石だ、パラットちゃん!」
影に潜む狙撃手は、機会を二度逃さなかった。
一度目はイッシンの初撃が受けられた瞬間の反動。
二度目は予想以上の斬断で体勢が崩れた今だった。
パラットの瞳が細まる。
「隙だらけ…です。そして今ので大体わかった…です。」
パラットは戦闘の最中、短く分析を告げる。
「クロカミさん。あいつの鎧の再生は無限じゃない、です。斬られた瞬間に“よろめいた”それが証拠……です」
鎧を断たれて揺らぐーー
平時なら誰でも気づく違和感だが、生死を賭けた場では見落としやすい。
だがイッシンは、別の違和感を抱く
(パラットちゃんの説は正しい。けど――何かがまだ足りない)
脳裏に、入室直後の“豪炎”がよみがえる。
「パラットちゃん。こいつ、まだ本気を出してない。単純なことだ――あの“豪炎”を、まだ見せてない!」
直後、アルギエラの気配が一変する。
「ここまで我を削るとは、たいしたものだ。――この聖域を護る者として、本気で相手をしよう」
全身が炎に包まれ、黒き鎧が焼け落ちた。
露わになったのは人の形を保ちながら、人ではない“何か”。
「これが本当の姿……」
「禍々しい……です」
「改めて名乗ろう。我は獅子王より生まれし焔の騎士・アルギエラ。この宝を護る者」
名乗り終えるや、さらに苛烈な炎が身を覆う。
パラットの氷弾が突き刺さっても、炎は消えずに燃え猛る。
(消えない……もっと出力を上げる必要がある、です)
「邪魔な小娘から消すとしよう」
アルギエラが焔を撃つ。
(遅い――これなら)
パラットは易々と回避する。だが次の瞬間
アルギエラは再度攻撃を放つ
「覚えておけ。戦いは常に“二重”に仕掛けるものだ。――《炎弾》」
緩急をつけた超速の火弾。パラットの反応が一拍、遅れる。
「やらせるかよ!」
イッシンが身を投げ出し、パラットを弾く。直撃は外したが、炎弾がイッシンの脇腹を抉った。
「危なかった……大丈夫か、パラットちゃん」
「助かった……です。でも、クロカミさん! その傷…」
避けた際に弾丸はイッシンの腹を貫いていた
「パラットちゃん。炎、消せるか?」
イッシンの眼は、まだ死んでいない。
「任せる……です」
パラットは気力を溜め、氷弾の威力を上げる
「今のお前の弱点は、鎧が“無い”こと。鎧がないなら一刀両断できる!」
鎧は防御形態。
今は攻撃特化の裸身。
互いに生身――命の取り合い
イッシンはスタートを切る
だが、アルギエラの狙いはパラットだった
「小娘さえ消せばお前は後から何とでもなる。」
イッシンを無視してパラットに炎の攻撃を飛ばす
「耐えてくれよ俺の剣…!」
アルギエラの炎の攻撃をイッシンは剣で弾き返す
「お前が獅子王の騎士なら俺は氷の姫の騎士だ…」
会話の最中、パラットの姿が消える
「この短時間で気配を消すのか!」
探すアルギエラの虚を突くかのようにパラットはイッシンの背後から顔をだす
「まずは炎から消す…です。」
先程までの威力とは異なる氷弾をアルギエラに命中させる。見事にアルギエラから炎が消え去る
「このチャンスを逃すかよ!」
イッシン捨て身の覚悟でアルギエラの体を
突き刺した
「見事なり…」
「や、やったのか?」
アルギエラに刺した剣は普通の人間なら致命傷であった。
"普通の人間"ならーーー
突如、アルギエラの体が激しく燃え上がり
出した
「クロカミさん!退く…です!!」
パラットの怒声と共にイッシンは大きくバックステップで回避する
ダメージを最小限に抑えるも、突き刺した剣は炎によって溶かされてしまった
「捨て身の作戦もここまでだったな。さて誰から死ぬ…?」
この後、戦いは壮絶を極める




