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7話 言い訳

「さてと、貴様が切り上げた会話の続きをしようか」

「……はい」


放課後、とある場所にて正座で向かい合っている桐田朱里は、汗を流しながら畳を見つめていた。


「どうして僕が怒っているか理解はできているな?」

「……青八木君とのデートで逃げたから?」

「そうだ、はっきり言って僕にはまったく理解出来ていない」


厳しい言葉をぶつけながらも、僕は現実を直視できている桐田朱里に感心する。

自分に不都合なことがあると誤魔化そうとするのが人間だからな、そう言う意味では自分と向き合えているだけこの女にも見所はある。


「どうしてデートをしなかった? 楽しみにしていたんじゃないのか?」

「その前に1ついいかな?」


僕が問いかけると、桐田朱里はゆっくりと右手の人差し指を立てた。


「あの、私の不甲斐なさにお怒りだったのは重々承知しているんだけど、今朝みたいに教室に特攻してくるのは止めていただきたいなあと思いまして」


僕は今朝、桐田朱里が雨竜を振ったという情報を聞き、すかさず桐田朱里の教室へ駆け込んだわけなのだが、顔を真っ赤にした桐田朱里に「放課後にしてくれませんか!?」と言われ、今に至るというわけである。


「何故だ? 鉄は熱いうちに打つものだろう?」

「いや、その、教室で騒ぎになるのは恥ずかしいので……」

「そもそも君が不可思議な行動を取らなければ僕も穏やかな振る舞いに徹することができたんだぞ?」

「……穏やかな振る舞い……?」


何だその「穏やかだったときなんてありました?」的な視線は。僕は基本的には心穏やかに過ごしたい人間だ、隣の席の人間が鬱陶しくなければ。


「まあいい。確かに突発的に動きすぎたかもしれない。これからは別の場所に呼び出し作戦会議だ」

「理解いただいて恐縮です」

「それで話を戻すぞ。先週末の話を聞かせろ」


そう言うと、桐田朱里は恐る恐るといった様子で僕と目を合わせた。


「……怒らない?」

「多分怒る」

「……ですよね」


自嘲気味に笑うと、大きく溜め息をつく桐田朱里。

すごく僕に失礼な気がするのだが気のせいだろうか。


「その、この間一緒に出掛ける約束をして待ち合わせをしたんですけど、その……」


そこまで言うと、桐田朱里は顔を赤らめて両手で頬を覆った。


「……私服姿が、すごく格好良くて……!」


何を言ってんだコイツは?


いやいや、確かに制服しか見慣れていないからギャップを感じる可能性は否定できないが、そこまで心を動かされるようなところじゃないだろう。

というかあいつの私服って格好良かったっけ、オーソドックスというか、ある意味普通だと思うんだが、女子にはそれがいいのだろうか。


「それだけでも私のライフはごっそり削られたんですけどね」

「ライフ……?」

「それなのに、会った瞬間私の私服を褒めてくれたんですよ!? 無理ですよね!? 死んじゃいますよね!? 死なないために現場から逃走しますよね!?」


知らんがな。

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