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6話 後日談

学校登校を済ませ教室に来た僕は、先に着席しているイケてるメンズに朝の挨拶を噛ます。


「おっす、絶倫戦士」

「前回と真逆だな、脇汗仮面」

「絶妙に嫌なニックネームやめろ」

「人のこと言えねえだろが」

「馬鹿め、僕はお子様には分からないよう配慮している」

「成る程、ならば俺も配慮するか、泡風呂先生」

「僕への配慮はどこいったんだ」


不名誉すぎるだろう、ましてや一度も行ったことがないというのに。

っていかんいかん、雨竜がアホすぎて本題を忘れてしまうところだった。


「そんなことはどうだっていいんだ、あの後どうなったんだ?」

「あの後?」

「しらばっくれるな、桐田朱里と一緒に出かけたんだろ?」

「ああ、それな」

「僕は奴の身元引受人としてそれを知る義務がある」

「いつ桐田さんは罪を起こしたんだ……」

「僕に何も教えない罪だ。さあ吐け」

「まあいいけどな」


雨竜はどこか面倒くさそうに首を搔きながら、ボソリと呟いた。


「簡潔に言うと――――――フラれた」

「……………………はっ?」


まずいな、最近聞き間違いが多い。人の老化を心配している場合じゃないなこれ。


「もう一度聞こうか、何だって?」

「だからフラれたって」

「んんなぁぁぁにぃぃぃぃ!?」

「おっ、今のタメは力強いな」

「どこに感心してるんだそこじゃねえよ!」


僕は迸る怒りを抑えながら雨竜に詰め寄った。


「フラれる!? なんで!? モテることしか能のないお前が!?」

「酷い言われようだな」

「詳しく話せ、僕が理由を追究してやる」

「詳しくと言ってもな、一瞬のことだったし」

「一瞬?」

「待ち合わせ場所に来た彼女に『服似合ってるね』って言ったら、『ごめんなさああああい』って逃げられたんだ」

「…………」

「桐田さん、学校で会ったときとは違って髪も整えてたし服装にも気を遣ってて好印象だったんだけど、フラれたものはどうしようもない」

「――――――説教じゃ」

「はっ?」


完全に怒りのボルテージが最高潮に達した僕は、今すぐ2-Dクラスへ向かう決意をした。

その場で立ち上がり、右に90度方向転換する。


「おい雪矢、もうすぐ朝礼――――」

「待ってろおおおおおお桐田朱里いいいいいいい!!!」


体育祭の徒競走でも披露しない僕の全力で前へ進む。

せっかく雨竜にしては前向きだったのに自ら心を折りやがって、そんな愚行を僕が許すと思ったか。

説教だ、奴の師匠として人生の厳しさを教えてやらねばなるまい。

こんなところで僕の平穏の機会を逃してなるものか!


こうして僕は今日も、僕のために雨竜の恋愛に口出しするのであった。

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