#3 教室は出会いの塊のようなもの
「このCクラスを担当することになったニル・ジーニアスです。以後何かあった場合は私に連絡をしてください。」
一つの教室に集合したリーザとその他の生徒は学園の説明を受けていた。
「あ、試験官の人・・そういえばあの人はどうなったのかどら・・」
今では懐かしく感じる。あの口調がおかしな人を・・。
「それでは今からアーティファクトを配ります。この学園生活ではこれを常に身に着けてもらいます。」
不思議な形をしており見たことがない材質でできていた。透明な個所もあり透き通っていた。
「この装置を使ってVtuberとなってもらいます。そもそもVtuberというのは、アースの人間と交流をする人のことを指します。この装置はアースとつながっており、人間たちと交流をすることができます。動画を撮り編集したり、放送をしたり、ゲームをしたりできます。必要なことは装置を使えば何でもできるのでわからないことがあったら・・」
ドサっ
「この冊子に書いてあるので目を通しておいてください。」
そういうと太い冊子がおかれ、全員にいきわたる。
「まあ聞きなれない言葉がたくさんあったと思いますがこれらを理解するのも知力の一つです。あ、それとチャンネル登録者数が今日から数えて10日後に100人を超えることができなければ即退学となります。まずは自己紹介動画なんかが良いのではないでしょうか?以上で説明は終わります。授業などは明日から始まります。それではがんばってください。」
「ど、動画、編集?なにがなんだがわからないどらあああ」
断末魔のような叫びが鳴り響く。心の中で。
しばらくリーザは、冊子を読み込んでいた。ほかの生徒も読んでいたものもたくさんいたがそらが暗くなったからか教室から出ていった。
お互いに交流をしていた者たちもいたが、冊子を読み込むのに精いっぱいだったため、そんな余裕はなかった。
一通りなんとなく単語を理解したとこで席を立ちあがり、寮へ戻る。
この学園は生徒全員が寮で過ごすことになっており、一人一部屋設けられている。
一息ついたところで早速動画の収録を始める。
「えーと、このボタンを押して・・わ!」
突然聞きなれない音が鳴り始めて、驚く。
「冊子によると、一番初めに自己紹介動画をとるのがイイと書いてあるどら。自己紹介なら簡単どらね!ここがかめら?になっていて・・」
自己紹介。それは簡単なようでとても複雑なものなのである。自分の良いところ、売り出したいところをいかに相手にわかりやすく説明するかが重要であり、一番初めの顔になるものなので、失敗するとその印象が以後ずーと引きずるのである。目立とうとがんばって自己紹介をすると黒歴史になったりするものだ。恐ろしい。実に恐ろしい。自己紹介というものは。
「じゃあとるどらよ~~。」
勢いでしたほうがいいと思い、動画を撮り始める。そして投稿。
アーティファクトのおかげでその辺は簡単にできるようになっている。
「なるほどどら。これでこのボタンを他人に押させるとチャンネル登録者数が増えるどらね。とりあえず今日は疲れたから明日人間たちの反応を見ようかな。あ、どら。」
そして朝がやってくる。
再生数11 グッド0 バッド5 チャンネル登録者数0!!
「なんじゃこりゃああああああどらあああああああ!!」
アーティファクトを見た瞬間、絶叫してしまう。
「全然チャンネル登録者が増えてないどら!!」
コメント
「声が大きすぎ」
「編集って知ってる?」
「とりあえずバッド評価」
「むきいいいいいいいいい!!!!!」
どうやら朝から元気なようだ。
授業は、Cクラスの教室ですべて行われる。授業内容は、いたって平凡で師匠から教わった内容の初歩的なものばかりで特に難しいとは思わなかった。だがそれどころではなかった、気になるのだ。動画の反応が。授業中にも関わらず数分ごとましては数秒ごとに再読み込みし、反応を見る。増えない!チャンネル登録者数が!一つも!増えるのはバッド評価!
授業が終わり放課後となる。生徒たちのチャンネル登録者が10人いっただとか再生委数がすごいなどと会話が耳に届く。雑音にきこえてしまうほど追い込まれていた。
そのまま3日目に突入したが登録者は0人。
「どうゆうことどらあ。このままでは7日後に100人なんて無理じゃないかどら」
このままでは異世界転移をするどころか退学になってしまう。
「「どうすればいい」」
「どらああああああ」
「んだああああああ」
二人の叫び声が誰もいない放課後の教室に響く。二人?
「「え?」」
横には白髪の美少女が同じ立ち体制で叫んでいた。
これも新しい出会いの形なのかもしれない。
#4へ