#1 入学試験のようなもの
「いよいよ今日が入学試験日だ……な↑」
金髪で短髪のイケメン風の男が横にいる女性に語りかける。服装は、いかにも魔法学園の先生というような感じである。
「はあ……その口調やめてください、ジル先生 、気持ち悪いです。あのリヴァイアサンを討伐した班のリーダーとは思えませんよ。」
メガネをかけたこの女性は秘書官のような格好をしており、いかにも仕事ができそうな雰囲気である。
「あぁ…!リヴァイアサン……な!そうだそうだ……私が倒したんだ……な!↑」
ジルは少し冷や汗をかいているように見える。
「なんですか?そのおかしな返答は?まあ確かに今日は年に一度の入学試験日ですからね!今年はどんな生徒が来るんでしょうか?楽しみですね。」
そう、本日はエルドラド学園の入学試験日。世界中の強者が1箇所に集まる特別な日なのである。その内容は、非常に難しい試験となっており、学力を測る筆記試験、戦闘能力を測る実技試験の二種類に分かれている。双方の成績で優秀な結果を残さなければ入学できず、合格者は100人に1人と言われている。それもそのはず、合格し優秀な成績を取れば異世界転移ができるのだから。
「また彼女のような生徒が現れるのでしょうか?」
「それはない……ね!↑彼女は特別な存在だから……だ↑」
当たり障りのない会話が続き 、
「あ、私は準備があるので失礼します。ジル先生。」
「頑張ってくれたま……え↑ニル先生↑」
ニル先生が過ぎ去ってから、静かになり、
「今回の入学試験は波乱の予感がする……な↑ハっハっハっ」
~入学試験会場~
「やっと着いたどらー」
このリーザ・シルビックはここに来る道中、獣に襲われたり、盗賊を捕まえたりいろいろしたのだが、今度語ることにしよう。
「会場が多すぎてわけがわからないどらー」
入学試験を受ける生徒が多いため会場は王都の中でもいくつか分割した箇所で行われる。
入学試験が行われる場所は広々とした塀に囲まれ、地面は砂で構成されておりいかにも闘技場のような場所である。また多くの生徒候補が集まっており、誰もが目を光らせ準備運動などをしている。
「皆さんお静かに。」
先程までざわついていた会場が一気に静まり返る。
「私はC会場の実技試験を担当するニル・ハーベストと言います。ここではみなさんにまず実際に模擬戦闘を行ってもらいます。」
「模擬戦闘か……」
「何と戦うんだ?」
「戦うとかこわーい♡」
「みなさんに戦ってもらうのはこの召喚獣の……」
「私……だ!↑」
謎の男が塀の上から行き良いよく現れ、地面に降りながら、
「この私、ジルがおあいて……」グキっ
着地する瞬間に音が鳴り響く
「「「シーン」」」
「この私、ジルが直々に試験官をしてやろ……う!↑」
「言い直したな」
「捻挫したよな、あれ」
「かっこわるーい♡」
生徒候補に散々言われたこの男は捻挫したのがバレていないと思い込んでいる。
「ジル先生!あなたは試験管ではないじゃないですか!困ります。」
ニルは本当に困った顔でこいつなにいってんだ、というような表情で追い出そうとする。
「まあ待て、これは学長にも許可はもらっ……た!↑何の問題もな……い↑」
「はあ……」
ニルは呆れ返って何も言い返せなくなった。
その間少し生徒候補がざわつき始める。
「ジルってあの?」
「ああ、リヴァイアサンの討伐メンバーのリーダーだよ」
「おいおい勝てる要素ねえじゃねえかあ」
王国騎士の中でもリヴァイアサんを討伐したジルは、1目置かれた存在であり、最強の騎士とも呼ばれている。
最強の騎士とも呼ばれている彼が模擬戦相手として戦うため、生徒候補に悲惨な空気が流れる。
「わかりました。では試験を始めましょう!1番の生徒ハール・ザシュック!」
その掛け声とともに黒髪のいかにも不良そうな少女が出てくる。
「リヴァイアサンかなんか知らねえが、所詮は王国の犬だ!俺が負けるわけねえ!」
自信満々にその少女は声を荒らげる。
「あいつは、狂気の紅じゃないか?」
「ひとりで数10人の騎士を倒したと聞いたことがあるぞ。」
「よっぽどの自信家のようだ……な!↑まずはそこの机の上にある武器で好きなのを選ぶとい……い!」
机の上には、剣、盾、弓、槍といった一通りの武器が並べられている。
「じゃあ俺は、この鎌だ!」
「いいだろ……う!↑本気でかかってこ……い!そうしなければ一瞬でやられる……ぞ↑」
「そのつもりだぜ!」
その言葉を出した瞬間ジルは自ら持っていた剣を掲げる。
風がジルを中心に渦巻いていく。
「なんだ?」
青い光と冷気を巻き上げ剣に集中していく。
「はあぁぁぁぁ」
すごい集中をするジルに生徒候補達は目を奪われる。
そしてジルは剣を一気に振り下げ、集中していたレイキなどをかき消す。
「なんだよあれ……」
黒髪の少女は恐れながらただ剣をみる。
ジルの持っていた剣は神々しく青く光り、冷気をまとっている。
「これがあのリヴァイアさんの加護ですね……は、始めてみました……」
はじめは呆れていたニルも驚いた表情に変わる。
「では、やろう……か!↑」
「ちょっとまてよ!そりゃ反則だろ!」
「来ないならこっちからいかせてもら……う!↑」
地面を蹴り上げ一気に距離を縮め剣を振りかざす。
その衝撃で鎌は粉砕する。
「終わり……だ↑」
剣は黒髪の少女の首を抑えていた。
「・・・」
ただ言葉が出ない少女の様子を見た生徒候補は
「あんなの勝てるわけねええだろ」
「こりゃあ落ちたな」
「かっこいい♡」
「ちょっとジル先生やりすぎですよ!」
驚いていたニルもやっと正気に戻る。
「エルドラド学園の生徒にもなるんだったらある程度の腕を見せてもらわないと……な↑」
全くこの男は……というような表情も浮かべながらも
「じゃあ、2番手リーザ・シルビック出てきてください」
「はいどら!」
赤髪の竜人は今までの戦闘を見てないかのような雰囲気で元気よく出てくる。
「あいつも終わったな」
誰もが勝てないと思う空気が流れる
「では君も好きな武器をとるとい……い↑」
その竜人は考える時間もなく
剣を取り、
「剣にするどら」
「では始めてください。」
竜人はゆっくりとした動きで構えを取る
右足を前に左足を後ろにそして剣先を地面に向けるような変わった持ち方をする。
(なんだこの構え……見たことがない。それにすきがな……い↑)
「はぁあ」
そう声を出した瞬間、竜人の姿が消える。
「どこだ……うえ……か↑」
赤髪の少女は素早い動きでジルに対して上空で剣を振りかざす姿勢のまま近づく。
「はやい……があま……い↑」
この程度の速さなら見える範囲だすぐに剣を振りかざしこの少女が持っている剣を粉砕すれば問題な……い↑
剣を吹き飛ばす音が鳴り響く。ジルの剣により竜人の少女の剣がはるか遠くに飛ばされる。
「何!?」
その瞬間地面に着地したリーザは低い姿勢のままその勢いで拳を突き立てる。
「剣はただのおとりか!」
だが所詮は拳簡単にかわせ……
ぐふぉっっ
少女の音速を超える拳がジルの腹めがけて突進する。
あまりの速さに誰のが見えない状況下でジルが会場の壁まで吹き飛ばされる。
壁の瓦礫がこぼれ落ちジルが泡を吹いて倒れる。
「ジルせんせーーーい!大丈夫ですか!?」
ニルの声だけが会場に響く
何が起こったかわからない生徒候補たちはやがて
「なんだあいつ」
「一撃で吹き飛ばした!?」
「女の子もいける……私は♡」
「せんせーーーい!しっかりしてくださーい!」
泡を吹いているジルがタンカーで運ばれていく。
何故か親指を立てながら……。
「やりすぎたどらあああああああああああああああああああああぁ」
その叫びはむなしくも空に鳴り響く
いったいリーザの俺tueeeee学園生活はどうなってしまうのか
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「生きてる……よ!↑」
彼が目覚めるのは1日後だった。