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天下界の無信仰者(イレギュラー)  作者: 奏 せいや
第1部 慈愛連立編
343/428

最初に裏切られたのは、彼女なのよ?

 ラファエルは訴えるように言った。


「分かるでしょう。最初に裏切られたのは、彼女なのよ? 彼女の怒りと悲しみを知っているわ」

「…………」


 ガブリエルはなにも言わなかった。


 ウリエルが抱えていた葛藤。それは言葉にする以上に重いものだ。彼女は誰よりも人類を愛していた。その人類に友人を殺され、二度も裏切られた。それから神の使命に従い戦い続けてきた彼女を誰が責められる。


 愛する者を殺し続けてきた彼女の心情を、いったい誰が代弁できる。


 ガブリエルはそれに対しなにも言わなかった。それは彼女も同じ思いだからだとラファエルには分かっていた。しかし裏切り者に同情を口にするなど褒められたことではない。だからガブリエルは話さない。


 胸の内では、彼女もウリエルのことを心配しているはずだ。


 彼女も、仲間だったのだから。


 ガブリエルは静かに口を開いた。


「ウリエル捜索は表沙汰にはできん事案だ。デバッカー部隊が相応だろう。彼らの出動にはお前の権限がいる。この件は頼んだぞ」


「……分かったわ」


「私は先にいくぞ」


 そう言ってガブリエルは歩き出した。去っていく友の背中を見つめラファエルはその場に立ち止まる。一人廊下に残された後、今後のことに重いため息を吐いた。


「気が重いわね」


 嫌なことが多すぎる。問題を解決するためとはえ自分の信念を折らなくてはならないなんて。信条の無意味さを痛感させられる。


 だが、落ち込んでばかりではいられない。


 ラファエルは下げていた顔を元に戻した。なにはともあれやらなければならないことは多い。気を取り直し、彼女も歩みを再開させた。


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