表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天下界の無信仰者(イレギュラー)  作者: 奏 せいや
第1部 慈愛連立編
284/428

まさか、直接壊す気か?

 もしこの戦いにガブリエルが前向きならば結果はまた違ったものになっていたかもしれない。彼女一人倒すだけでもとてつもない苦戦を強いられていた。


「私はこんなところだが、お前たちはいいのか?」


「なにがだよ」


「いや、私の話につき合ってくれたのは嬉しいが、それどころではないだろう」


 言われて思い出す。恵瑠との再会に喜んでいたのもあるがやることは残っている。


 神愛は天界の門を見た。いつ見てもでかい。三十メートルはある分厚い扉が空に浮かんでいる光景も目を引くが、開かれた隙間から溢れる光と出現する天羽になにより危機感を持つ。もう天界の門を守る結界はない。早く壊さなければ永遠に天羽たちがやってくる。


「ん?」


 するとガブリエルが天界の門を見上げた。


「どうやら遅かったようだな」


 ガブリエルの言葉に三人ともが見上げた。天界の門は依然として上空に浮いているが、その扉が震え出したのだ。


「やべえ、天界の門が!?」


「完全に開く?」


「そんな!?」


 振動する扉は生まれ出ようともがく胎児のようだ。その巨体が身をくねらせて真の力を解き放とうとしている。


 早く止めなくてはならない。危機感に急かされるが、遅かった。


 天界の門。それが動き出し、全開した。


 日の出のように漏れ出していた光は地上を照らす光に変わる。完全に扉が開かれたことにより光量はすさまじく直視できない。


「くそ!」


 神愛は両手を前にかざしてなんとか門を見る。扉の奥。そこから数百という天羽が一度に現れてきた。天羽の群、それも大群が四つ、天界の門から怒濤の勢いで現れてくる。今までの勢いでようやく拮抗だったのにこれでは押しつぶされる!


 サン・ジアイ大聖堂で戦っている騎士も、天界の門を見上げる者はその瞬間に思った。心が一瞬だけとはいえ屈服してしまう。数という分かりやすい暴力に敗北を予想してしまった。


 終わった。


 だが、その時だった。


「人が祈りと希望を合わせ救済を望む時、人類の守護者は現れん」


 サン・ジアイ大聖堂広場で戦う者たち。この場で戦う多くの者たちの心が不安と恐怖に覆われて、勇気と希望に影が忍び寄る、その時。それは現れた。


「人の願いを守るため、天上の知と力もて敵を打ち払え」


 大いなる光が、この場に降臨する。


「メタトロン!」


 天界の門の上空、そこに光の魔法陣が描かれる。そこから巨大な足が出現し、そのまま降下してきた。全身が現れ、メタトロンは天界の門の正面に現れた。


「メタトロンだと!?」


 白い巨人の登場に神愛が驚く。他の者も驚いていた。


 全長百メートルの偉容に神々しいほどの外見。この一体で天界の門に匹敵するほどの存在感を放っている。しかし体はひび割れがひどくなんとか体を保っているのだと分かる。


 滞空する天界の門とメタトロンの高さはほぼ同じ。メタトロンは地響きを立てて一歩前に出た。


「まさか、直接壊す気か?」


 メタトロンは天界の門に近づいていく。間違いない、破壊するつもりだ。


 メタトロンの接近に天羽たちも迎撃行動に移る。門から滝のように流れ出る四つの群がメタトロンに群がり、剣もしくは弓で攻撃していく。メタトロンはすぐさに包囲され全身が総攻撃を受けていた。天羽の放つ光矢が直撃するたび爆発が起きている。


 だが、びくともしない。


「まじかよ」


 圧倒的な光景だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ