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Recollections of dusk  作者: もちもちもちこ
6/6

August

8月。

私がずっと住んでいたところは、とても大きな花火大会がありました。

部屋でクーラーつけて花火見るという超贅沢なことしてました。

今住んでいる場所は、花火は見えません音は聞こえます生殺しです。

~August~














気分は最悪。


だって真昼とはぐれたんだもん。


周りを見れば、人・ひと・ヒトの山…。


この中から真昼を見つけ出すなんて、相当の運がなけりゃ無理だろう。


今日は年に1度の花火大会。ここの花火はとても綺麗で、遠くから来る人も多いらしい。


だからって多すぎだよ!!!私と真昼を引き裂かないでっ!!


色とりどりの屋台から、威勢のいい声がいっぱい聞こえる。


はぁぁぁ、ここに真昼が居ればなぁ…。


早く私を見つけ出して、真昼………。












ことの始まりは、私がこの前花火大会に誘った事からだった。


結局あの後更に1週間追試を受けて(先生には散々怒られた)


何とかテストも合格して(ギリギリ)やっと楽しい夏休みが始まったのだ(8月になってた)


そんで今日は約束の花火大会。もう私は有頂天ですよ、そうでしょ、普通。


お気に入り(というか1着しか持ってない)の浴衣を華南ねぇに着付けてもらって、私はお兄ちゃんと真昼に見せに行った。


「ねぇねぇ、どーお?似合う?vv」


そう聞いたらお兄ちゃんはにっこり、笑顔で答えてくれたよ。


「あぁ、お前は本当に浴衣が似合うな。胸が無いからか?」


ムカチン。思いっきり足を踏んづけてやった。


お兄ちゃんは声にならない声を上げ、隅っこで足を癒してた。ザマミソ。


「ねぇ、真昼はどう思う??」


お兄ちゃんなんてどうだっていいんだよ!!!要は真昼!!私は真昼に見てもらいたくて…。


「あぁ、似合うんじゃない?」


珍しいお褒めの言葉と思うなかれ。


そうは言ったものの、真昼は1度も私のことなんざ見ちゃあいなかった。


「……本を読んでて、どーして私が似合う似合わないが分かるのかなー……」


私の殺気を感じて、真昼がこっちを見る。


今見たってもー遅いっ!!!!


 


「待てこら真昼――――っ!!!!レディにそんな扱いないでしょーーー!!!!」


「レディって言うんなら、レディらしく大人しくしてろよ!!!!」


ばたばたばたと私は浴衣の着崩れすら気にせず、真昼を追っかけ始めた。


私の怒りを敏感にキャッチしたのか、真昼も本気で逃げる。


いつもだったら5秒で捕まえられるのだが、如何せん慣れない浴衣だ、どうしてもスピードダウンしてしまう。


その様子を傍から見てる、華南ねぇとお兄ちゃん。


「あらー、また後で着付けしなおさなきゃねぇ」


「……いーんじゃねぇの?直してもすぐまたアレだろー……」


「駄目よ。女の子は、滅多に着ない浴衣を、好きな子に見てもらいたいもんなんですから」


「そーなん?……実はお前もそーだったり?」


「鈍感な誰かさんは、まぁーったく気づいてくれませんでしたけどね」


そんな2人の会話は、真昼を追っかけるのに夢中な私と、私から逃げるのに必死な真昼の耳には、届く事が無かった。




そして夕方。


「じゃあ華南ねぇ、行ってくるね!!」


金魚のワンポイントが入った巾着を手に、私は真昼と外に出た。


勿論私の要望どおり、真昼は本日男物の浴衣を着ている。


お兄ちゃんのお下がりだったから、少々大きめだったけど、何だか新鮮な感じだなぁ。


なかなか格好良いしvvv流石私の真昼vvvvv


花火の会場になっている川原を目指して歩いていると、やはり同じく浴衣を着て会場を目指す人たちと会う。


カップルも居れば友達同士って感じのも居る。


周りの人たちから見れば、私達ってやっぱりカップルに見える?見えるかな??


うふふふvvvそれならいいなぁvvvあ、そうだ。


 


「ねぇ真昼、華南ねぇたち、本当に行かないのかな?花火大会」


折角だから華南ねぇたちも出掛ければ?と提案したんだけどねー。


華南ねぇは、『おうちからでも綺麗に見えるから』ってやんわり言って、お兄ちゃんは『面倒臭い』の一言で切り捨ててくれた。


華南ねぇの浴衣、綺麗で好きなんだけどなぁぁぁぁ。


こんな日も仕事の海斗さんが可哀想…と、思わず同情。


「まぁいいんじゃないか?姉さんだってもう大人なんだし。花火大会だからってわざわざ外に出なくったっていいんだしな。……っと。そろそろ人ごみの中に入るぞ。ちゃんと付いてこいよ」


うー…、確かにそうなんだけどー…。


そういえば、華南ねぇ達が高校生の頃は何時もお兄ちゃんと2人で出掛けてたような気が…。


私と真昼は各々の両親と一緒だったんだけど、お兄ちゃん達は何時も別行動。


それってもしかして、今の私達の状況に結構似てる気がしないか?むむむ…。


何て考えてたら、少し真昼との距離が開いてしまった。


私は一生懸命手を伸ばして真昼を掴もうとする。


けど、その事に気づかない真昼は、どんどん遠くに行ってしまう。


「えっ!?ちょっと真昼!!置いていかないでって…わぁ!!!」


えぇい!!本当に多いぞ、人!!!


人の流れに流されて、結局真昼を見失ってしまった。


そして今の状況に至るといったところである。










一方の真昼も、廉を探していた。


「ったく!あいつ、人が言った側からはぐれやがって。…手間がかかるな…」


それでも探さなければいけない。


放っておくとろくな事にならないし、廉自身がかなり怒るだろう。


そうしたら姉さんは絶対廉の味方をするだろうし、俺に勝ち目はない。


それに心配じゃないわけではないから。…一応あいつも女だし。


とりあえず来た道を戻ってみる事にした。あとは廉が寄りそうな屋台を見回してみたり。


屋台の人の威勢のいい声がよく聞こえる。まぁ聞こえなけりゃ商売にならないだろうが。


案外俺は祭りの夜が好きだった。普段の夜は、あんまり好きじゃない。


祭りの夜は明るい。だから好きだ。『妙なもの』を見る回数もぐっと少なくなる。


だから逆に、祭りの日に人ごみ以外のところに行くのは妙に苦手だった。


不良も勿論たむろってるだろうが、それ以外にもたむろってる奴らがいる。


俺は『見える』人だから余計にそういう事に気を使わなけりゃならない。


「………頼むから妙なところで妙な事してるなよ…、廉」


あいつの性格を考えると、それを願うのは無意味な気もするが、一応願ってみる。


そこで俺はふと足を止めた。見知った顔を見つけたからだ。


クラスメートの吉田(下は覚えてない)だ。隣は知らない女の子だ、彼女か?


「お!駿河じゃん!!どーしたんだよ、お前も見に来たの?花火」


「あ…あぁ、まあな。でも連れがはぐれてな、今探してるんだ」


吉田はへぇっと言って、少し黙った。


「なぁ、もしかして連れって昼休みお前のところに来る奴?確か相模、だっけ?」


「!!!もしかして見かけたのか!?」


「あぁ、先刻あっちで………、木登りしてたぞ?恥ずかしくて声かけなかったけど」


嗚呼、あの馬鹿やってくれる。


どうせ『高いところからの方がきっと真昼が見つけやすい!!』とかぬかして自分が今浴衣着てることも忘れて登ってんだろうな…。


「スマン吉田、恩に着る。じゃあ登校日にな!」


そういって俺は足早に教えてもらった場所に向かって走り出した。


「はぁ、……………………………愛だねぇ」


そんな吉田の呟きは今年初めての花火の音でかき消されていた。





























「あ、花火始まっちゃったー……」


廉は木の頂上で夜空に輝く花を見つめていた。


本当だったら今頃、真昼とロマンチックにこれを見ていた筈なのに。


「高いとこから見ても、真昼が何処にいるか、分かんないしねぇー」


それでもう一気に脱力。木から下りる気分にもなれない。


下を見れば、結構ちらほら幸せそうなカップルが見えたりする。


あームカつく。呪いたいー(最低)


私は今こーんなに惨めで悲しい思いをしてるのに、


何で下の人たちはあんなに幸せそうなんですか!


理不尽です、神様。今すぐ真昼にあーわーせーてー!あーわーせーろ!!


「でもあれだよなー、もし真昼が見つけてくれて合流できても、きっと第一声は『何やってんだこの馬鹿』なんだろうなー。可愛い彼女に言う台詞じゃないよねー」


この可能性は8割方正解だろうなー。10円かけてもいい(さり気にセコイ)


どんどん花火は打ち上がる。上がるたびに、人々の驚嘆と歓喜の声、そして拍手が巻き起こる。


そんなの聞いてたら、余計に悲しくなってくるよ!!


「うー………真昼ぅ………」


「呼んだか?」


「呼びました。もっと大きな声で言ってみよ、おーい真昼―っ!」


「だからここに居るって」


ん?先刻から私と会話してるのは誰ぞよ?(ぞよって…)


隣斜め下を向くと、よいしょとばかりに登ってくる真昼が!!!


「ったく!!何やってんだ馬鹿。はぐれんなって言っただろ」


あ、正解。相模廉さんに10円贈呈です…。何てやってる場合じゃないですよ!?


「何で分かったの!?私の場所!!!」


愛ですか!?愛の力と信じていいんですね!?


やっと登ってきた真昼は、私の隣に腰掛けて、話してきた。


「クラスの奴が教えてくれた。お前がここに登ってんの見たって」


ちぇ、何だ、教えてもらったのか。…まぁいいや、会えたから。


折角の特等席なんだから、もうちょっとここで花火を見ていくことにした。


「綺麗だーねー、真昼……」


「まぁ、そうだな」


「何かこう、ばぁぁっと自分に向かってくるみたい。そんで、あぁ、空って広いんだなーって思うんだー」


そんな風に言ったら真昼に笑われた。『お前らしいな』って。何か変な事言った?私。


手をぎゅっとしたら、握り返してくれた。珍しい。


この前から結構珍しいなぁ、昔は色々嫌がったのに。大人になったってことか?


そうしたら、ぼそっと、でも私に聞こえる位の声で、真昼が呟いた。


「…心配したんだからな。…もう急に居なくなるなよ」



じぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん。



真昼にこんな優しい言葉言われたの、生まれて初めてかもしれない。


何か一瞬バージンロードが見えたよ(早い早い)


だから私も素直になれた。握ってる手を少し強めて。 


「うん、ごめんね……」


と呟いた。大きい花火が同時に打ち上げられた。









暫く黙ってみてて、ふと下を見た。


下は川原になってて、でも薄暗いので余り人が居る気配も無かった。


でも、不意に人影を見た気がした。しかもよく知ってる人たちを。


「ねぇ真昼、あれ、お兄ちゃんと華南ねぇじゃない?」


「え?………どこだよ…」


私が指差す先を見て、真昼も表情を変えた。


丁度花火が打ち上げられ、一瞬の明るさを与える。


その明るさで見えたのは、お兄ちゃんと華南ねぇのキスシーンだった。


「………え?な……何で?」


そんな言葉しか私の口からは出ない。


えーっと、お兄ちゃんと華南ねぇは幼馴染で、華南ねぇと海斗さんは婚約してて、お兄ちゃんと海斗さんは親友で…。


 


「…廉、このこと、事の真相が明らかになるまで誰にも言うな。分かったな?」


真剣な目をして、真昼が言った。


先刻見たのが幻影でも、冗談じゃないのがすぐ分かった。


私は何も言わず、ただただ頷いた。


もうよく分からない。


ただ、何だか嫌な予感がする。それだけは、確かに感じ取っていた…。




















さて、だんだんドロドロ沼になってきました。


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