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9.魂の使い方

本日2本目。次は6時頃かと。

この戦闘で手に入れた4つの魂を取り込むため、インベントリから魂を取り出した。


「………ん?」

しかし、いつまでたっても反応がない。

1度インベントリに戻し、もう一度取り出してみる。

「…だめかぁ」

結果は同じだった。


どういうことなんだろうか?

レナたちに聞いてみるのがいいかもしれない。


とりあえず、リベンジは果たしたし、ホームに戻ったらキリのいい時刻だったのでログアウトする。

昼飯の時間だ。


自分でチャーハンをサクッと作って食べたわけだが。

ふと思ったんだけど、このゲームで、というか不死系のプレイヤーって食事を楽しむとかできないよね。

食用になりそうな動物も植物もいないし。てかそもそも文字通りの生物がいないし。

それこそ魂を取り込むのがご飯みたいなものなんだろうか。

いやいや、あれは結構稀なことなのだろう。

俺が1個取り込んだだけでもなかなか強いのだ。

そんなに頻繁にできたらプレイヤーが強くなりすぎてしまう。


閑話休題。


飯も食べ終えたので、皿を洗い、トイレにも行った。

これで準備はできた。

ログインするとしよう。


ログインしたらフレンドリストを開く。レナさんはすでにログインしているようだ。


『レナさん、今どこにいますか?』


『あ、わかりやすいので教会の前にいます。』


『了解です。今行きます。』


他のみんなはまだログインしてないし、別に急ぐ必要もないのだが、少しでもスキルレベルを上げるため、〈魔素噴射〉で加速して移動する。

バイクに乗ってるみたいで快適だ。

霊体だけど、風は感じるのだ。

1分ちょっとで教会に到着。

速い速い。

教会の扉の脇にもたれかかっているスケルトンを発見。

レナさんだ。

男女の待ち合わせ、なのだが。

生憎と相手は骸骨、こちらは幽霊である。

緊張とか、ときめきとか、そんなものは感じない。


「こんにちはー」


「こんにちはー。久しぶりだね。他のみんなからもさっき連絡しておいたから、すぐ来ると思うよ。」


「連絡しておいてくれたんだ。ありがとう。あ、そうそう。いきなりで悪いんだけどちょっと聞きたいことがあってさ。」


「答えられるものであれば教えるよ。それでどうしたの?」


「うん。魂を取り込む条件ってなんだろうなって思ってさ。」


「………んー?ちょっと待って中に入ろうか?」


「え?」


突然教会の中に引っ張り込まれた。


「ごめん、ちょっとこっちから質問させて。魂って、チュートリアルの報酬でもらった、あの魂?取り込むってなにそれ?どういうこと?」


「あ、そのー、チュートリアル報酬の方は取り込めたんだけど、午前中に新しく手に入れた魂はどうもそれができないみたいでさ。」


「話が噛み合ってない。魂を取り込めること自体が初耳だよ。どうやったのそれ?」


「そっかー。インベントリから取り出したら、勝手に俺と一体化したってだけなんだけどね。」


「……それ、今やって見せてもらっていい?私もそれくらいはやったんだけど、一体化はしなかったから。」


「いや今残ってるやつではできないんだって。あ、そういえば魂の名前なんだった?俺が取り込んだのは、【剣士】で、取り込めなかったのは、【軍師】、【拳士】、【忍者】なんだけど。」


「私のは【司祭】だった。どうやってそんなに手に入れたのよ…でもレイスなのに剣士かぁ…自分の種族の特性にあった職業の魂しか取り込めないってわけではなさそうね…」


「「うーん…」」


((((……じーっ))))


「「うわっ!!」」


びっくりした…いつの間にか全員揃っていた。


「やっほい。どしたの?」

とコウ。


「あ、そうそう。みんなさ、魂についてどこまで知ってる?」


「いや、なにも。あれどう使うの?」

とナツキ。


「俺もなにも知らん。」

とタカアキ。


「私も知らないです…ごめんなさい。」

とキキョウ。


「あ、俺昨日ネームド倒した時に出たよ!どう使うのかはさっぱりだけど!」

とコウ。ネームドとは名前持ちのことである。


「そうかー。俺もさ、午前中に三体まとめて倒したんだよ、ネームドを。これで入手条件は確定かな。」


「そうだね。なんでトウキくんが三体も倒してるのかは置いといて、ネームドモンスターのドロップで間違いないと思う。それでね。トウキくんが言うには、この魂をインベントリから出すと自分と一体化したんだって。」


「へぇ〜。そういえばなんか姿が微妙に違うよね。」


「あー、そう。【剣士】の魂を取り込んだらアバターが変わって、風属性魔法に任意で切断属性が付与できるようになった。たぶん、そのモンスターが持っていた技能の一部を自分のものにできるんじゃないかな?」


「たが、俺もインベントリから出してはみたが、取り込めなかったぞ?」



「それ、みんなで全部出して試してみようよ!他の人になら取り込めるかも!」

とナツキがテンション高めに提案してきた。


「あー、それありかもな。魂が他人に授与できるかの検証ってことだな。」

みんな異存はないらしい。


というわけで、みんなの持っている魂を全部出してみることにした。


「……何も起こらない……ですね。」


「「……そうだな」」


「……みたいだね。ごめんねわざわざ出してもらったのに…」


「まあ、しょうがないよ。そんなに簡単な条件ではないだろうしね。」

俺はそう言って、魂をしまおうとする。


「……いや!まって!」

しばらく考え込んでいたレナがそれを止めた。何かあるのだろうか。


「私たち、まだパーティー組んでやってないよね。パーティーメンバーならどうかしら?」


「………そうだな。よく考えたら、そういう制限がないと赤の他人に魂を取られることになるからな。やってみる価値はある。」


「きっとそれだよ!やろうやろう!」

とタカアキとナツキが賛成する。



そして、2人がレナからのパーティー申請を受理したとき、それは起きた。

タカアキの持っていた、【軍師】の魂が、レナに向けて飛んで行った。

そしてタカアキの手元に表示されたウインドウにはこう書かれていた。

______________________________________________________


軍師:ニコラスが、プレイヤー:レナを気に入ったようです。

魂をレナが取り込むことを許可しますか?』

______________________________________________________


「「「「「「…………………」」」」」」


俺たち6人は顔を見合わせ、打ち合わせしたかのようなぴったり同じタイミングで、


「「「「「「きたぁーーーーーー!!」」」」」」


叫んだ。


そして俺たちは全員でパーティーを組み、全員が魂を受け取ることに成功した。

この時にわかったのは、

・取り込む条件は、魂に気に入られること。

・魂は、基本的に自分と同じ戦闘スタイルの者を気に入る。

・取り込める魂は1種類

・魂は、自分を倒した相手を気に入ることは稀。



一番下の条件だが、このパターンは俺だけだった。

心当たりがあるとすれば、チュートリアルで戦ったスケルトン、ジョセフの剣技に見入ってしまっていたことくらいだ。


結果、

レナは【軍師】の魂、

コウは【忍者】の魂、

キキョウは【司祭】の魂、

ナツキは【拳士】の魂、

タカアキは【衛士】の魂を、

それぞれ2つずつ手に入れた。


そして俺も【剣士】の魂の2つ目を取り込むことができたのだった。




プレイヤー名:〈トウキ〉

系統:〈不死系〉

種族:レイス

【特性】

〈霊体〉〈〈無音詠唱〉

【種族スキル】

〈魔素噴射Lv.6〉〈幻影Lv.4〉

【通常スキル】

〈風魔法:剣戟Lv.7〉〈識別Lv.7〉〈隠密Lv.10〉


次回ようやく登場です新スキル。申し訳なかった。


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