62.絶望的戦況(レナ視点)
遅れまして大変申し訳ない。
少々時間が進んでおります。
主人公サイドはまた次回。
プレイヤーと魔導アーマーの戦いは未だ終わる気配が見えない状況だった。
斬撃波によって毎回何人か死んでしまうものの、プレイヤー達が油断を取り去ったことで初回ほどの大惨事には至らず、一定の火力は維持できていた。
剣士や拳士など、近接系のプレイヤー達が動き出した頃には、最前列の魔導アーマー達のバリアは剥がれていた。
HPが減るようになったことでこちらの士気は回復し、今まで攻撃できなかった鬱憤を晴らすかのように暴れまわったことで、バリアのなくなった魔導アーマーのHPをあっけなく3割ほどにまで削り取った。
このまま最前列を崩壊させれば、勝利はぐっと近くなる。
みんながそう意気込み、攻勢を強めた時だった。
今まで動かなかった3列目、4列目の魔導アーマーがついに動き出したのだ。
3列目は、自身の魔力をほぼ全て消費して、あろうことか、最前列に再びシールドを展開した。
4列目は3列目と自分たちに攻撃力と移動速度アップのバフをかけた。
それだけではない。
なんと、魔力が僅かになった魔導アーマーは、拳を握ってプレイヤー達に突撃を開始した。
前衛として、拳士として、圧倒的な体格差でプレイヤー達に襲いかかる十数体の巨体。
後衛から飛ばされる斬撃波という反則火力。
それを守護するシールド付きの魔導アーマー。
それに対して、大魔法の連発でMPを消費した上、斬撃波で数を減らされたプレイヤー達。
戦闘開始から1時間半。
開始前よりも悪くなった状況下で、こちらの集中力は尽きかけていた。
徐々に数を減らし、後退を始めるプレイヤー達。
なんとしてでも拠点を守らなければならないというのに、どうしても戦線は千日楼閣に近づいていく。
薬師達の補給するポーションでは、回復が追いつかなくなってきており、もう立て直すことはできそうもなかった。
プレイヤー達の中に諦観の念が広がっていく。
「集中切らすな!拠点壊されたらどうなるかわかんねえんだぞ!」
誰かが叫ぶが、それを言うには遅すぎた。
もうすでに、プレイヤー達の士気は底まで落ちきっていたのだ。
そこから復帰することは期待できなかった。
当初立てた作戦も完全に狂わされ、がむしゃらに攻撃を繰り返すプレイヤー達。
それが招くダメージ効率の悪化は、戦況をより悲惨なものにしていた。
トウキにはメールであれだけ余裕かましてたのに、情けないったらありゃしない。
「レナ!どうする?ちょっとどうしようもないよこれ!」
ナツキが乱戦模様の中話しかけてきた。
どうしようと言われても、1パーティーでしかない私達がどう動いたところで、戦況が動くことなどありえない。
一度ユニオンの統率が崩壊した時点で、再度プレイヤー達がまとまる事は極めて難しくなっていたのだ。
みんながバラバラのことをしていてはまとまるはずがない。敵軍の猛攻の中では尚更だ。
「とにかく死なないことが最優先で!
魔法は敵の盾役に集中させて!一度シールドが破れれば、今度は復活しないでしょうから、何とかなるかも知れない!
タカアキ達タンクは意地でも魔法使いを守って!
キキョウはとにかくバクとタカアキの回復!ユウキとエリナに攻撃にまわってもらう分、あなたは負担が増すけど、どうにか保たせて!その他、拳士と剣士は拳士のアーマーを撹乱!魔法使いを狙わせないこと!
MPについてはMPポーションもガンガン使って!とにかく出し惜しみは無しでいきましょう!」
それでも。
私は指示を出し続ける。
やらなければならないのだ。
止めてはならない。
そう自分に言い聞かせ、動き続けた。
本当にゲームなのかと思うほど、ハードで長時間の戦闘の中、アドレナリンが溢れ出し、頭は回転を続ける。
今の所、私達のユニオンで死に戻っているのは、トウキを含めて3人だけ。
他のユニオンと比べると、相当軽い被害で済んでいる。
だからこそ、まだ諦めてはいけないのだ。
アズール達攻略組も、まだ諦めてはいないようだ。
さすがに自称するだけあるようで、みんな前線に立って戦い続けている。
不覚にも心強いと思っている自分がいる。
どれほどの時間、私達は戦い続けていたのだろうか。
斬撃、魔法、魔導アーマーの移動による地響きや轟音の中で、集中力はすり減り、誤魔化し続けてきた不安が噴出する。
最初はお互いを励ますように飛び交っていたプレイヤー達の声だが、声の主が脱落するたびに一層絶望が広がっていく。
すでに相当な数になっている脱落者は、もう全体の半数を超えているだろう。
さらに、軍師の脱落に伴って、バフの効果が下がり、最初ほどの火力が出せなくなっている。
にもかかわらず、敵の魔導アーマーの数はまだ多い。
シールドは破れそうで破れない。
斬撃を飛ばす魔導アーマー達はまだ一体も仕留められていない。
倒せているのは、拳士のアーマーだけだ。
十数体いた奴らの数はは、つい先ほど漸く10体を切ったところだ。
「もうすぐ敵がホームエリアに到達します!何としても死守してください!」
無茶言うな、とその場にいた誰もが思っているに違いない。
ホームエリアが無くなっても、他の種族の拠点に移ることもできるじゃないか、と一瞬考えてしまった。
もうこれ以上抵抗する気力も、有力な手段も、何も残されてはいなかった。
2作目の設定を考えては消し、考えては消し…
投稿ペースが落ちているのはそのためです。
すいません。




