表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/69

61.ウッドとナギ

お待たせしました。

戦争クエストから完全に遠ざかってしまっている…

「やることは聞いてるー?」


「はい。ナギさんを手伝って薬草の採取ですね。詳細は緋斎から聞きました。」


「タメ口でいいよ。」


「了解。」


「じゃあ端っこの一角をやってもらおうかな。袋がここにあるから、いくつか持って行って、薬草を100本ずつに分けて入れてくれる?」


ナギが指差す方向には、45Lゴミ袋くらいの大きさの麻袋があった。


「わかった。取り敢えず4袋くらい持ってくよ。」


袋を持って、自分の担当する区画に緋斎と共に向かう。


ナギさんか。

的確な指示を出してくれたが、確か生産スペースの薬師の人が「あいつにやらせると時間かかる」って言ってたよな。

そんな風には見えないけど。


「と思うでござろう?」


ん?何か他に理由があるのか?


「すぐにわかるでござるよ。そら、その前にさっさと終わらせるでござる。」


「ああ…これは引っこ抜けばいいのか?それとも葉っぱだけ刈り取れば?」


「引っこ抜けばいいでござる。使うのは葉っぱだけでござるが、根っこだけ残しても邪魔になって結局後で抜かなければならぬゆえ。」


完全に手仕事だな。

刈り取るなら武装魔法で剣を出せば簡単だったのに。


「まあ100本と聞くと多く感じるが、やってみるとそれほど大変でもないでござるよ。」


本当かよ、と思ったが口には出さない。

俺はそのままだと薬草に触れないので、ムーンドロップを染み込ませた手袋を借りて行った。


本当だった。

意外に1区画にかかる時間は多くなかったよ。

100本と言っても10行×10列なのだ。

両手が使えるので一気に2本抜けることを考えると、実質5列しかない。

慣れれば1区画5分もしないくらいで終わってしまった。


持ってきた麻袋4つはすぐに一杯になったので、紐で縛って肩にかけ、ナギさんのいたところに戻る。


ナギさんの姿が見えた瞬間、「あいつにやらせると時間かかる」の意味を理解した。


別に彼女は手際が悪い訳ではない。

基本的に優秀な人なのだろう。

先程のテキパキとした指示からもそれはわかる。


だが。

完璧主義というか、要領が悪い。

妥協できないタイプの人間なのだろう。


俺がナギさんの元に到着した時、ナギさんは、薬草の根に着いた土をものすごく丁寧に払っていた。


「…終わりました。」


余程集中していたのだろう。

彼女の肩がビクッと跳ね上がる。


「速いねぇ。雑に扱ったりしてない?」


「ナギさんの丁寧さを見てると不安にもなりますが、多分大丈夫です。根っこは使わないんでしょう?土払ってないんですけど。」


「ダーメ!やるからにはきち「払わなくていいでござるよ。」ええー?」


緋斎さんも終わったらしい。


「今は1つの質を究極的に追及する時間じゃないでござるよ。一定水準をクリアしていれば問題なし。質より量でござる。」


「でも」


「イベント後ならいくらでもやっていいでござる。いまは自制するでござる。」


「……はぁい。」


緋斎の分5袋、ナギさんの文3袋、俺の文4袋で合計12袋を生産スペースに持っていった。












「戻りましたー。12袋分取れましたー。どこに置いておけばいいですか?」


薬師さんたちは凄まじい集中力で黙々と作業を進めている。

その中で、畑に行く前に話した、ここのリーダーであろう人獅子のプレイヤーが答えてくれた。


「おう。お疲れさん。やっぱ1人いるだけで量が違うな。」


「そう言ってもらえると嬉しいよ。増えたのは緋斎と2人だけどな。」


「そりゃそうだが。緋斎は朝も手伝ってくれてたしな。とにかく、12袋もありゃしばらく大丈夫だ。礼としちゃ少ないが、貰ってくれ。」


そう言って差し出してきたのはHPポーション4本。

1袋につき1本というのは少ないように見えるが、かかる手間がそれほどないことを考えると、割のいい仕事であるように思う。


貰ったHPポーションは、パーティーのみんなに1本ずつメールで送っておいた。

5人なので1本足りなかったが、それはもともと持っていた分を使った。


こうして地味に後方支援が出来るのだから、デスペナ中とはいえ、案外他にもやる事は転がっていそうである。


「じゃあ、俺はこれで…あっ、他にどこか困っているところとかって知ってたりする?」


「まて!まだ他にはお前は渡さん!やる事はまだあるのだよ。」


「はあ、なんでしょう。」


それはな、と、その人が薬草の袋をゴソゴソやりだしたところで、緋斎が口を挟んできた。


「まだ仕事やらせるなら、せめて自己紹介くらいはするべきでござろう?ん?」


俺たち2人して忘れていた。

いや自己紹介はしてなかったけど、怒るほどのことでしょうかね?


「当たり前だ。いくらゲームの中とはいえ、最低限の礼儀は弁えるべきだろうが。」


心の中を読まんでくださいよ!

口調が素に!

一体『ござる』はどこに行ったんですか!


「すまんかった、マジで。」


俺じゃなくて緋斎さんに謝る薬師さん。


「えーと、俺はトウキだ。変な格好してるがスキルで服を召喚しているだけで、種族は忌魔だ。」


「おう。俺は見ての通り人獅子・錬成種で、ウッドという。あんたに進化させてもらったんだが、覚えてるわけないわな。」


マジか。でも人獅子・錬成種って多分進化先では一番メジャーだからな。衛士はほぼこれ一択だし、他のやつを乗せて移動ができることを考えると、他のプレイスタイルの人でも結構これにする人が多かった。


まあスカルレーヴェとかキマイラとかの頭蓋骨が有り余ってたからってのもあるが。


「あんたがトウキだってことは、あんたに薬草取りに行かせた後に気づいてな。だからあんたにわざわざ自己紹介してもらわなくても知ってたんだ。だからついつい自分のこと話すの忘れちまった。すまんな。」


でも武装魔法で衣装が変わってたから、そうとうわかりづらかったと思うんだけど。


「格好が変わったってのは妹から聞いてたし、すぐわかったよ。」


「妹?」


「キキョウだ。」



今回のレギオンクエストへの貢献…ポーション5本

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ