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30.久々のソロ…かと思いきや

ちょっと遅くなりました。すいません。

最近確認していなかったが、今のステータスはどうなんだろう。錬金術のレベルすら把握していない。


プレイヤー名:〈トウキ〉

系統:〈不死系〉

種族:忌魔アボミナ


【特性】

〈忌まわしき者〉

【種族スキル】

〈幻影Lv.10(↑1)〉〈禁術Lv.1〉

【通常スキル】

〈風魔法:剣戟Lv.19(↑4)〉〈識別・改Lv.4(↑3)〉〈魔力遮断Lv.5(↑4)〉New!〈錬金術Lv.6〉


意外に上がってるな。まあ最後に見たのが…

あれ!?

ひょっとして最後にステータス確認したの進化した時か!?

1週間前じゃねえか!

そりゃそんだけ間が開いてればこんだけ上がっててもおかしく無いわな。


〈風魔法:剣戟〉は次で進化できるかな?それとも25か?

とりあえずその辺を目標にやっていこうか。

あとは〈幻影〉のレベル上げ。



ステータス確認も終わったのでホーム、千日楼閣を出て森に向かう。魔力遮断も一応使う。気配は消えてないからほぼ意味はないが。もともと〈幻影〉との併用で取ったスキルだ。レベルは上げておきたい。

肥料をやってないところの木もだいぶ元気になってきたな。

やがて木の数が増えて、二層目に突入した。

しかし、なんだかやけにモンスターの数が多い。

まあハルバードの試運転ができて良いんだけど。


「くそっ!何だこいつ!」


ん?苦戦か?声のした方に向かうと、スカルキマイラと戦っている4人組が。


マジか。パーティー6人じゃないのにここに来るなら、スカルキマイラは警戒して然るべき敵だろうに。


ユニオン(36人以上で組める)を組んでいない状態で6人以上で戦闘すると共闘ペナルティがあるが、今回は俺が加勢しても5人。

このままだと死にそうなので、加勢、してもいいよね?


「手伝うぞ!」


後衛の2人が振り向く。安堵した表情だったのだが、俺が1人と知ったからか、表情が曇った。

悪かったな1人で。

前衛2人は振り返る余裕すらない。

それでもそのうちの1人が叫ぶ。


「助かる!尻尾が邪魔で魔法が効かない!切り落としてくれ!」


ああ、尻尾面倒だよね。懐かしい。

いや、俺たちがキマイラ倒したのって先週の土曜か。

だいぶ前に感じるが、まだ正式稼動から2週間なんだな。

3週目には第2陣が来る。

あと1週間。

第2陣は千日楼閣が完成した状態で来てもらいたいものだ。


そんな場違いなことを考えながらハルバードを構え、キマイラの後ろに回りこむ。

ライオンの身体は目の前の2人の対応で動けない。

蛇の頭が下がり首をもたげて俺に炎弾を発射するが、

進化してレイスの頃よりスピードが上がったおかげで、ギリギリで横に避けられた。

そのまま回転し、ハルバードを尻尾の付け根に叩きつけた。

蛇の頭が呻き、首を俺に向けて突き出してきた。

物理攻撃は当たらないと思っていると、

そのまま俺を通過した頭がハルバードにぶつかり、それを掴んでいた俺も吹き飛ばされる。

物理攻撃もハルバードには当たることを忘れていた。


それを確認してからはハルバードの持ち方にも気をつけた。

そろそろだろう。〈幻影〉を発動して蛇の注意をそらし、

ジャンプして蛇の頭に斬りつけ、弾いた。

その一撃で怯んだ蛇の攻撃の手が止まった。

俺はそのまま落下の勢いで、尻尾の、先程から斬りつけ続けていた部分に思いっきりハルバードを振り下ろした。

蛇がライオンから切り離され、蛇の方は息絶えた。


「斬ったぞ!魔法で攻撃!」


後衛2人が詠唱を始める。どちらもレイスのようだ。

俺もウインドソーサーをコピーして連発する。

それから程なくしてキマイラは倒れた。


「ありがとうございました。」


レイスの1人が言う。


「本当に助かったよ。強いんだな。進化してるみたいだし。」


「いや、そっちこそ2人でスカルキマイラの攻撃に耐えていたんだし、レイスの2人も蛇の頭が残っているうちは攻撃魔法を撃たずに前衛の回復に専念してくれてた。いいパーティーだよ。あ、これだと上から目線だな…」


俺がしまったと思っていると、4人に笑われた。


「なんだか慌ただしい人だね!」


「お前が言えたことじゃないと思うぞエリナ。」

レイスの片方はエリナというらしい。黄色いレイスだな。


「あんただって落ち着きないでしょうよ!バクかユウキならまだしも、あんたにだけは言われたくないわよ!」

名前からして、バクが前衛のゾンビ、ユウキ…は女の子なんだろうな。もう1人の青いレイスの子だ。


「エリナもショウもやめなよ…はぁ。すいません、いきなりこんなに騒がしくなって。」

スケルトンがショウか。自己紹介する前に全員の名前が分かってしまった。俺も名乗らなきゃな。


「いや、いいよ。みんなの名前もわかったし。俺はトウキっていう。種族はアボミナっていうんだけど…わかる?」


ショウとエリナがハッとしてこっちを見る。


「忌魔って…ひょっとして【影法師】?」


「もう!2人とも!【影法師】はソロじゃないでしょう?」


「いや、でもさっきの魔法は掲示板に載ってたよ!【影法師】は変わった魔法を使うって!」


「あー、いつもはパーティー組んでるんだが、今日はみんなそれぞれの生産活動で忙しくてな。俺は錬金術なんだが、あんまりやることなくてソロで出てきたんだ。」


「錬金術を使う忌魔…やっぱり!?」



「…あーどうも、【影法師】です。」






みなさん固まってらっしゃる。

おーい。ここはフィールドのど真ん中だぞー。


「…これからどうするんですか?」


お、ユウキが動いた。


「決めてない。取り敢えず森に行ってみようかなとは思ってたけど。」


「……俺たちとパーティーを組んでくれないか?今回だけ。」


「「「バク!」」」

4人が驚いてバクを見た。表情には、そんな事ある訳ないだろ!と書いてある。


「お前らは俺をなんだとおもってるんだよ…」


「ほ、ほらやっぱり!私達とじゃ実力が違いすぎるし、ね?本当にすいませんトウキさん!」


「いや、やることないんだから別に俺としてはどこでやってもいいんだって。自分が攻略組だって威張り散らしてるようなプライド高いやつらならともかく、パーティーに入るのをわざわざ断る意味がない。今日絶対に森に行きたいって訳じゃないんだから。」


「えっ?ということは…?」


「今日1日よろしくってこと。」


全員で思いっきり頭下げてきた。

だからなんでそんなに腰が低いんだよ。

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